米国株は踊り場から次のステージへ!
米国マンスリー2019年2月号
注目されるFRBの米金融政策!
1月初旬、パウエルFRB議長は、元議長のイエレン氏、バーナンキ氏との討論会で「金融政策も柔軟に見直す用意がある」とし、FOMC議事要旨も市場に安心感をもたらした。「金融当局は辛抱強くかつ柔軟で、進展を見守る状況にある。しばらくは様子見」とも発言。
バランスシート(BS)正常化プロセスの堅持も言及したが、市場の注目は今後のBS縮小の工程。4.5兆ドルまで膨らんだBSは、約4兆ドルまで縮小し、圧縮打ち止めも近いとの観測が浮上。米中貿易戦争の影響が米国企業にも及ぶ中FRBがより緩和的な姿勢を示せば、ハイテクなどを中心に米国株は上昇基調を強める可能性もあろう。(庵原)
【注目されるFRBの金融政策!~米国株は上昇基調を強める展開か?】
懸念の中国経済と株価の動向!
2018/12の中国貿易統計は輸出が前年同月比4.4%減、輸入が同7.6%減となった。市場のプラス予想に反し2016/10以来2年2か月ぶりにマイナスとなった。景気減速、米中貿易戦争の影響が顕在化。対して中国当局は1/15、大規模減税実施方針を示した。
国家発展改革委員会は、「1-3月に経済が良いスタートを切れるよう目指す」と表明。2018年の1.3兆元に加え、2019年は1.5兆元超の減税との見方がある。上海総合指数は1/3の昨年来安値2,464.363を底に反転。預金準備率引き下げ等景気対策、米中貿易交渉進展となれば、中国関連株の上昇が見込まれよう。(庵原)
【悪化する中国の経済指標~景気対策で株式市場は底打ちとなるか?】
原油価格と株価との強い相関性
トランプ政権はマドゥロ大統領への退陣圧力を強めるため、ベネズエラ国営石油会社を制裁対象にし、米企業との取引を禁止した。原油価格は世界経済、特に中国経済急減速による需要減退懸念の高まりが悪材料となる一方で、ベネズエラは原油埋蔵量3,032億バレル、原油生産量は2,110億バレルを占め、制裁による供給懸念により、価格上昇を支援している。
原油価格と株価には高い相関性が見られる。昨年のマーケットでは一時的に逆相関が見られる局面もあったものの、株価が原油価格に引っ張られる形で相関性を回復する傾向が見られた。今後の株価動向を占う上でも原油価格動向に要注目である。(笹木)
【ベネズエラへの制裁に揺れる原油価格。株価への影響も無視できず!】
トランプ発言が今後のリスクに
トランプ大統領の就任以降、同氏による不規則発言に市場が振り回されている。多岐にわたる問題に言及しており、昨年には「サウジアラビアとOPECが原油生産を削減しないよう希望する」などと述べ原油相場にも影響を与えた。
直近の発言では、金融当局に対するものと、国会運営に係るものが注目されよう。利上げを嫌うトランプ氏はツイッターなどでFRB批判を繰り返し、パウエル議長の解任を検討しているとの報道も浮上。12/25には「信頼している」と述べ火消に走るなどスタンスが安定しない。国境の壁については、再三必要性を訴えており、政府機関の一部閉鎖を容認するかのような発言も出た。相場の撹乱材料として注意したい。(増渕)
【トランプ大統領の不規則発言~金融政策や議会・政府運営への影響は?】
CES2019がラスベガスで開幕
世界最大級の家電・IT見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)2019」が1/8-11、ラスベガスで開催された。CESは50年以上の歴史があり、過去にはVCRやCDプレイヤー、有機ELテレビなど多くの新製品が発表された。近年では家電の高機能化に伴い、AIや自動運転など最新技術の展示会としての性格を強めている。今年は過去最多の4,500社超が参加した。
今年は5G導入が本格化する「5G元年」であり、注目のテーマとなった。クアルコム(QCOM)はスクリーンに大きく5Gと映し出してアピール。新技術対応の半導体チップを搭載したスマホなど30機種以上を年内発売予定で、来場者の関心を集めた。インテル(INTC)も5Gへの取り組みを発表した。(増渕)
【CES2019は過去最大の参加社数~今年の注目テーマは5G】
米大手金融は軒並み大幅増益
米国の大手金融5社の10-12月の決算が出揃った。前年同期の税制改革に伴う一時費用の反動により、軒並み最終利益が拡大。ただトップラインはまちまちで、市場のボラティリティー拡大により様子見をする顧客が増え、債券トレーディング収益は各社とも減収。市場の変調による企業のファイナンスの手控えにより、引受業務も低迷した。
一方、企業活動や個人消費の活性化による融資の積み増しや利鞘拡大などにより、純金利収益は拡大。株式トレーディング収益やM&Aアドバイザリー収入なども好調だった。決算が市場予想を上回ったゴールドマン・サックス・グループ(GS)やバンク・オブ・アメリカ(BAC)の株価は大幅上昇。昨年から低迷傾向が続く金融株だが、見直しが進む可能性もあろう。(増渕)
【大手金融の10-12月期決算が出揃った~金融株の見直しは進むか!?】
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