【ユーロドル (EURUSD)】今日の見通しとチャートポイント
ユーロドル(EURUSD)は21日線と短期サポートラインに支えられ、再び反発のムードにある。しかし、今後は米欧の景況感格差がユーロドルのメインテーマとなる可能性が高いことを考えるならば、「反発局面での反落」を警戒しておきたい。今日の見通しとチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
サマリー
・21日線と短期サポートラインに支えられ、ユーロドルは1.06台へと反発
・米欧の景況感格差を考えるならば、反発局面では常に戻り売りを意識したい
・注目しておきたい上下のチャートポイントについて
反発相場を維持してはいるが
ユーロドル(EUR/USD)は現在、21日線と短期サポートラインとして意識されているトレンドチャネルの下限を意識する状況が続いている。
昨日の市場でもこれらテクニカルのラインで相場がサポートされ、1.06台へ上昇した(下チャートの青丸箇所を参照)。
しかし、以下で述べるとおり、ユーロドルの反発局面では、戻り売りを意識する局面にある。
ユーロドルのチャート:日足 23年7月以降
低迷するドイツ経済
昨日は、ドイツ経済に関する2つの重要な経済指標が発表された。
ひとつは、7-9月期の国内総生産(GDP)速報値だった。結果は前期比で0.1%減、前年同期比(季調前) で0.8%減と、マイナス成長に陥った。
今日発表された10月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.5と、再び景気判断の分かれ目である「50」を下回った。中国経済との関係が深いドイツ経済は外需(中国需要)の低迷を受け、経済の回復が緩慢となる可能性がある。
ドイツ国内総生産(GDP)の推移:四半期ベース 22年以降
もうひとつの経済指標は、10月の消費者物価指数(CPI)速報値である。結果は前年比(EU基準)で3%の伸びにとどまり、前月の4.3%から鈍化した。国内基準のCPIは同比で3.8%と、こちらも前月の4.5%から鈍化した。
上で述べたとおり3QのGDPがマイナス成長に陥った状況も考えるならば、昨日のドイツ経済指標は、欧州中央銀行(ECB)の利上げサイクル終了を市場参加者に強く意識させる内容となった。
ドイツ 消費者物価指数の推移:月次 22年10月以降
今後は景況感格差の勝負に
ECBと同じく、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げサイクルも最終局面にある。ゆえに、これからのユーロドル(EUR/USD)のメインテーマは「インフレと利上げ」から「景況感格差」へシフトすることが予想される。
上で述べたドイツ経済の不振や直近の米欧の購買担当者景気指数(PMI)の内容(ユーロ圏は製造業、サービス業、総合ですべて景気判断の分かれ目である50を下回る一方、米国のそれらは50以上へ回復する状況にあること)も考えるならば、景況感の勝負では米国に分がある。
ゆえに、ユーロドルの反発局面では、戻り売りを常に意識する必要があろう。
ユーロ圏と米国 購買担当者景気指数(PMI)の動向:月次 22年以降
注目しておきたい上下のチャートポイント
ユーロドル(EUR/USD)の反発局面では、50日線の攻防が最初の焦点となろう(下チャートの緑ラインを参照)。この移動平均線は今日現在、1.0648レベルで推移している。
ユーロドルが50日線の突破に成功しても、上値の水準として意識された経緯のある1.07レベルや1.0750レベルでの反落を警戒しておきたい。
一方、ユーロドルの下落局面では、引き続き21日線と短期サポートライン(トレンドチャネルの下限)の攻防が焦点となろう。前者のラインは今日現在、1.0568レベル、後者のそれは1.0560レベルでそれぞれ推移している。
ユーロドルが短期サポートラインを日足ローソク足の実体ベースで完全に下方ブレイクする場合は、1.05を視野に下落幅が拡大するシグナルと想定しておきたい。
ユーロドルのチャート:日足 23年7月以降:再掲
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