さえない米経済指標で米利上げ見送りの可能性が高まる / ドル円の展望とテクニカルポイント
5月の米ISM非製造業景気指数が予想外に低下した。製造業に続きサービス業の景況感でも先行き不透明感が高まったことで、6月FOMCでの利上げ見送りの可能性がさらに高まった。米金利の反発ムードが後退するなか、ドル円の展望は?注目しておきたいテクニカルポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
サマリー
・ISM指数は製造業だけでなくサービス業でも先行き不透明感を示唆する内容となった
・さえない米経済指標を受け6月FOMCでの利上げ見送りの可能性が高まった
・米金利の反発基調は抑制される可能性が高まった
・目先のドル円は下落を警戒、焦点は138.00レベルのサポート転換
さえない経済指標に米ドル売りの反応
5月のISM非製造業景気指数は50.3と、前月の51.9および市場予想の52.2を下回り、景気判断の分かれ目である「50.0」寸前まで低下した。
製造業に続きサービス業でも景気の先行き不透明感を高める内容となったことを受け、この日の米債市場では利回りが低下した。
ISM製造業/非製造業景気指数
米金利の低下に伴い日米の利回り格差が縮小し、ドル円(USDJPY)は10日MA(139.73レベル)を下方ブレイクし、安値139.25レベルまで下落する局面が見られた。
一方、下落基調にあったユーロドル(EURUSD)は、さえないISM非製造業景気指数を受けた米ドル安がサポート要因となった。しかし、10日MA(1.0721レベル)のブレイクには失敗した。
ポンドドル(GBPUSD)もさえないISM非製造業景気指数を受けた米ドル安にサポートされ、3月8日を起点とした短期サポートラインをかろうじて維持した。だが、陰線引けとなった(日足ローソク足)。
さえない米経済指標の余波で米金利が低下基調へ転じる場合、ポンドドルはサポートラインを維持する可能性が高まるだろう。だが、新たなポンド買いの要因が出ない限り、レジスタンスポイントとして意識されている1.2550レベルを突破することは難しいだろう。
ドル円の展望とテクニカルポイント
ドル円(USDJPY)は、日米利回り格差の動向にトレンドが左右される状況が続いている。
先月29日を境に日米利回り格差の拡大が抑制傾向にある(下チャートの赤ゾーンを参照)。このためドル円の上昇圧力も後退気味である。
昨日は、5月ISM非製造業景気指数のさえない内容を受けた米金利の低下とそれに伴う日米利回り格差の縮小を受け、ドル円は反落した。
ドル円と日米利回り格差の動向
上昇の局面では140.50レベルの攻防に注目
5月31日と昨日の下落により、140.50レベルが目先のレジスタンスポイントとして浮上してきた(4時間足を参照)。
ドル円(USDJPY)がこの水準を突破する場合は、5月30日の高値140.93レベルおよび141.00レベルをトライするシグナルと想定しておきたい。
6月利上げの可能性がさらに低下
しかし、5月の雇用統計で予想を超える雇用の増加が確認されても、6月FOMCでの利上げ見送りの観測は根強い。
そしてISM指数では製造業に続きサービス業でも先行きの不透明感が示唆されたことで、次回の連邦公開市場委員会(FOMC、6月13-14日)では、利上げ見送りの公算がさらに大きくなった。ゆえに、米金利が反発基調を維持することは難しい状況にある。
米金利の反発が抑制される場合、ドル円は下値トライを警戒する必要があろう。下値の水準は米金利の動向次第となるだろうが、注目すべきはIG為替レポートで何度か指摘している138.00レベルのサポート転換の確認である。
下値のチャートポイント
予想どおりドル円(USDJPY)が下値をトライする場合、まずは139.00(フィボナッチ・リトレースメント23.6%の水準)の攻防に注目したい(4時間足を参照)。
ドル円が139円のレベルを難なく下方ブレイクする場合は、先週相場をサポートした138.50レベルの攻防に注目したい(4時間足を参照)。
ドル円が138.50レベルをも完全に下方ブレイクする場合は、138.00レベルをトライする展開を想定しておきたい。
なお、137.90レベルはフィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準にあたる(4時間足を参照)。21日MAが138.12レベル付近まで上昇している状況も考えるならば、テクニカルの面で138.00前後を目先の重要なサポートポイントと想定しておきたい。
ドル円のチャート:日足
ドル円のチャート:4時間
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