強い経済指標を受け米ドル高が進行/ 今日の注目材料とドル円の展望について
米新規失業保険の大幅な減少を受けて米債市場では利回りが上昇した。米金利の上昇は米ドル買いの圧力を高めた。今日の注目材料は5月の米PCEデフレーターとなろう。ドル円の展望は?注目しておきたいチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
サマリー
・29日の外為市場は新規失業保険申請件数の大幅減を受けて米ドル高の展開となった
・ドルインデックスは重要なテクニカル指標を上方ブレイクした
・145円が目前に迫るドル円だが反落リスクも警戒しておきたい
・ドル円の下値トライで注目しておきたいチャートポイントについて
米新規失業保険申請件数と米ドル高
米労働省が29日に発表した24日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は、前週から2.6万件減少の23.9万件となった。減少件数は2021年10月以来の大きさとなった。
この雇用関連指標は週によって大きく変動することがある。4週間でならした移動平均では増加の基調を維持した。しかし、この日の米債市場では申請件数の大幅な減少の方が強く意識され2年債、5年債そして10年債の各利回りが上昇した。
米金利の上昇を受け、外為市場では米ドル買い優勢の展開となった。
米ドル相場の方向性を示すドルインデックス(DXY)は、21日MA(今日現在103.08レベル)と短期レジスタンスラインを大陽線で上方ブレイクした(日足チャートの緑ゾーンを参照)。ストキャスティクスでは短期的な過熱感が見られる。
ドルインデックスのチャート
今日の注目材料
今日はアメリカの5月個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)が発表される。注目すべきは、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアPCEデフレーターの動向となろう。
前月比の予想は0.3%増と、4月の0.4%増から低下する見通しとなっている。一方、前年同月比のそれは4.7%増と、前月から横ばい推移の予想となっている。
昨日の新規失業保険申請件数の大幅減を受けて米金利に再び上昇の圧力が高まるなか、コアPCEデフレーターでインフレ圧力の根強さが確認される場合は、「米金利の上昇→米ドル高」トレンドの進行が予想される。
アメリカ 個人消費支出価格指数の推移
ドル円の展望とチャートポイント
145円台のトライが視野に
米ドル高にサポートされ29日のドル円(USDJPY)は、高値144.89レベルまで上昇した。今日の東京時間序盤には、144.90台へ上昇する局面が見られた。
日米の金融政策スタンスの差を意識する「米ドル買い/円売り」が続いていることを考えるならば、今日もドル円の上値トライを想定しておきたい。
上で述べたコアPCEデフレーターが米ドル高の要因となる場合、ドル円はIG為替レポートで何度か取り上げている145.00-20ゾーンのトライおよびブレイクアウトに成功するか?この点が焦点となろう。
ドル円が145円台へ上昇した後に、調整の反落局面で145円台の維持に成功すれば(上で述べたゾーンが相場をサポートすれば)、地合いの強さを市場参加者に意識させよう。このケースでは146円台を視野に、ドル円のさらなる上昇を想定しておきたい。
今は反落も警戒しておきたい局面にある
ドル円(USDJPY)は上昇トレンドを維持している。しかし、通貨オプション市場のリスクリバーサルの動きを確認すると、3ヶ月と6ヶ月のそれらがドル・プットの状況を維持するなか、1ヶ月のそれもドル・プットへ急速に傾いている(グレーゾーンを参照)。
この動きを重視するならば、今はドル円の上値トライと急反落を同時に警戒する局面にある。上で述べたコアPCEデフレーターが米ドル売りの要因となれば、ドル円は下で述べるチャートポイントの攻防に注目したい。
ドル円とリスクリバーサルのチャート
下値のチャートポイント
ドル円(USDJPY)の反落局面では、144円台の維持が焦点となろう。
144円台で注目しておきたいチャートポイントは、144.15前後である。今週27日のNY時間からこの水準は、相場を下支えしている。今日の東京時間に短期サポートラインが144.15レベルと交錯する。フィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準が144.00レベルにあたることも考えるならば、144.00-15を重要なサポートゾーンと想定しておきたい。
ドル円の下落幅が拡大し143円台の攻防となる場合は、半値戻しの水準143.78レベルをトライする展開を想定しておきたい。この水準も相場をサポートした経緯がある。
ストキャスティクスが売られ過ぎの水準にある局面で、上で述べたチャートポイントをドル円がトライする場合は、反発相場を想定しておきたい。
ドル円のチャート
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