円相場が急伸するも焦点は米金利の上昇と米ドル高の進行
昨日のNY時間に円相場が急伸する展開が見られた。ドル円は147円台へ下落した。しかしドル円の焦点は引き続き上値トライにあろう。また市場全体を俯瞰するならば、今注目すべきは米長期金利の上昇と米ドル高の進行にある。今日のドル円の見通しは?注目のチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
サマリー
・昨日のNY時間に円相場が急伸、ドル円は一時147円台へ下落
・今の市場で注目すべきは、米長期ゾーン利回りの上昇と米ドル高の進行
・ドル円の焦点は上値トライで変わらず
・目先、注目しておきたいドル円のチャートポイントについて
円相場が急伸、円買い介入の観測も
ドル円(USD/JPY)は、昨日のNY時間に高値150.16レベルまで上昇した。その後、安値147.29レベルまで急落する展開となった。ドル円の動きに連動し、クロス円でも円高優勢の展開となった。
突然の円相場急伸を受け、政府・日銀による円買い介入の観測が流れた。しかし本レポートを執筆している時点で、円買い介入についての確かな情報は得られていない。神田財務官は介入の有無についてのコメントを控えると発言している。
ドル円のチャート:4時間足 9月6日以降
ドル円、新たな上下のチャートポイント
昨日の急落を受け、ドル円(USD/JPY)の重要なサポート水準として147.30レベルが新たに浮上してきた。この水準は、9月の中旬から下旬に相場をサポートした経緯がある(上の4時間足チャートを参照)。
一方、テクニカルの面では、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準147.52レベルも意識する必要があろう。
今日以降、ドル円が昨日の高値150.16レベルを突破することなく、ローソク足の実体ベースで147円台へ再び反落する場合は、上で述べた2つのサポート水準での攻防に注目したい。
一方、ドル円が上昇基調を維持する場合は、新たな上値の水準として浮上してきた昨日の高値150.16レベルの上方ブレイクが焦点となろう。
注目すべきは米長期金利の上昇と米ドル高の進行
昨日の市場で注視すべきは円相場の急伸ではなく、米長期金利と米ドル相場の動向である。
この日発表された8月の雇用動態調査(JOLTS)求人件数は961.0万件と、市場予想の881.5万件を上回り、約2年ぶりの高水準となった。また、7月分は882.7万件から892.0万件に上方修正された。
強い雇用関連指標は米長期ゾーン利回りの上昇要因となり、10年債利回りは4.8%の水準へ到達した。一方、30年債利回りは4.9%台へ上昇し、節目の5%を視野に入れる状況にある。
米長期ゾーン利回りの上昇は、米国株の下落要因となった。米金利の上昇と米国株が同時に発生したことで、昨日の外為市場は、日本円を除いた対主要通貨で米ドル高優勢のトレンドを維持した。
ドル円だけを見ていると、「円安」に耳目が集中しがちである。
しかし、現在注視すべきは米ドル高の進行とそれを支えている米長期ゾーン利回りがどの水準まで上昇するのか?これらの点である。
米ドル相場の動向:10月3日
ドル円、今日の見通しとチャートポイント
引き続き上値のトライがドル円の焦点に
米金利の上昇幅が拡大していることで、日米の利回り格差も一段と拡大の傾向にある。
ドル円(USD/JPY)と日米利回り格差との高い相関性、そしてその相関性の土台となっている日米金融政策スタンスの差が意識されている状況にあることを考えるならば、ドル円の焦点は引き続き上値のトライにあると予想する。
米金利とドル円の変動要因として、今日も米国の経済指標-特に9月のADP雇用統計とISM非製造業景況指数の内容に注目したい。JOLTS求人件数に続き強い内容が続けば、「FRBによる金融引き締め政策の長期化観測→米金利の上昇と米株安→米ドル高の進行→ドル円の反発」という展開が予想される。
日米の長期金利差とドル円のチャート:日足 23年3月以降
反発局面での焦点は?
本日、ドル円(USD/JPY)が反発する場合は、節目の150.00レベルを再び上方ブレイクするかどうか?この点が焦点となろう。
ドル円が150円台の攻防へシフトする場合は、昨日の高値150.16レベルのブレイクアウトが次の焦点となろう。
また、150円台の攻防では、150.00レベルがサポートの水準へ転換するかどうか?この点も重要な焦点である。
ドル円が150.16レベルの突破に成功する場合は、昨日のIG為替レポートで取り上げた上値の水準、フィボナッチ・エクステンション76.4%の水準150.35レベルの攻防となるか?この点に注目したい。
ドル円が150.35レベルをも突破する場合は150.50レベル、そして昨日のIG為替レポートで取り上げたフィボナッチ・エクステンション100.0%の水準150.91レベルを視野に上昇するかどうか?これらの点が焦点として浮上しよう。
下値トライの局面での焦点は?
上で述べた米国の経済指標が米金利の低下要因となれば、ドル円(USD/JPY)の続落を予想する。
このケースでは、10日線(今日現在148.98レベル)を日足ローソク足の実体ベースで完全に下方ブレイクするかどうか?まずは、この点が焦点となろう。この状況(10日線の下方ブレイク)が確認される場合は、21日線を視野にドル円の調整相場(反落)が進行する展開を想定しておきたい。この移動平均線(21日線)は今日現在、148.20レベルで推移している。
ドル円が21日線をも完全に下方ブレイクする場合は、上で述べた147円台のサポート水準(147.30レベル/147.52レベル)での攻防を意識したい。
一方、ドル円が再び150円の攻防へシフトする場合は、円買い介入を意識した展開が予想される。上で述べた上値の水準を突破しても、昨日のような不意の反落を常に警戒しておきたい。
ドル円のチャート:日足 23年3月以降
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