【ドル円 (USD/JPY)】焦点は期待インフレ率の動向 / 注目のチャートポイント
直近の雇用関連の経済指標では、アメリカ労働市場の底堅さが示された。今日は1月ミシガン大学期待インフレ率がある。景気の底堅さが意識されている状況でインフレが期待どおりに鈍化しない可能性が意識される場合は、「米金利の反発→米ドル高」のトレンドが続くことが予想される。ドル円の焦点は?注目しておきたいチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
サマリー
・直近の雇用関連指標は、アメリカ労働市場の底堅さを示した
・今日は1月のミシガン大学期待インフレ率が変動要因となる可能性あり
・ドル円は148円ミドルの攻防と149円のトライに注目したい
・ドル円が反落する場合は、147円台の維持が焦点となろう
底堅さ維持するアメリカの労働市場
アメリカの労働省が18日に発表した1月7〜13日の週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は18万7000件と前週の改定値から1万6000件減少し、2022年9月以来、およそ1年4か月ぶりの低水準となった。
4週移動平均が低下の基調にあること(1月7〜13日の週は20万3250件へ減少)、失業保険継続受給者数が180.6万人と、前週の改定値183.2万人から減少したことも考えるならば、アメリカの労働市場は底堅さ維持している。
米国 週間の新規失業保険申請件数の動向:週次 22年9月以降
今日の注目材料は消費者が抱くインフレ期待
23年12月の小売売上高ではアメリカの個人消費の強さが示された。そして雇用統計を含めた直近の雇用関連指標では、労働市場の底堅さが確認されている。
この状況で今日は、1月のミシガン大学消費者信頼感指数と期待インフレ率が発表される。
どちらも重要な経済指標だが、内容次第で外為市場、特に米ドル相場の変動要因となり得るのが、後者の期待インフレ率と思われる。個人消費と労働市場の底堅さに加えて、実際のインフレ動向に影響を与える消費者のインフレ期待が上昇する場合は、米金利のさらなる押し上げ要因となり得るからだ。
事実、米債市場は強い経済指標に反応し反発の基調を維持している。昨日は、週間の米新規失業保険申請件数の内容を受けて、長期金利(10年債利回り)4.15%までは4.15%まで上昇する局面が見られた。30年債利回りも4.3%台へ反発している。
米金利のチャート:5分足 昨日の欧州時間以降
1月の期待インフレ率でインフレ圧力の根強さ、言い換えればインフレの鈍化が止まるリスクが意識される場合は、短期金融市場で3月利下げの確率がさらに低下する可能性がある。米債市場では、米金利の上昇基調が続くことが予想される。
これらの状況となれば、外為市場では米ドル高優勢の展開を想定しておきたい。
なお、直近の市場予想を確認すると、1年の期待インフレ率は23年12月から横ばいが見込まれている。一方、5-10年先のそれは2.9%から3.0%へ上昇する見通しである。
ミシガン大学 期待インフレ率の動向:月次 23年以降
ドル円の見通しとチャートポイント
上値の焦点は148円ミドルと149円前半のトライ
ドル円(USD/JPY)は昨日、調整の反落局面が見られるも147.65レベルでサポートされ、148円台の攻防を維持している。
昨日の日足ローソク足のかたちは上十字。最終的に買いの圧力が勝ったことを考えるならば、今日も上値トライの局面では148円ミドルの攻防に注目したい。
ドル円が148円ミドルの水準を完全に突破する場合、次の焦点は149.00レベルおよびフィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準149.15レベルの攻防となろう。
後者の149.15レベルをも突破する場合は、昨年の11月下旬に相場の反発を連日で止めた149.70レベルをトライするかどうか?この点に注目したい。
ドル円のチャート:日足 23年11月以降
反落局面での焦点は?
日足のストキャスティクスは相変わらず相場の過熱感(買われ過ぎ)を示唆する状況が続いている(上の日足チャート、赤矢印を参照)。RSIも同様に相場が買われ過ぎの水準付近まで上昇しつつある。
上で述べた米経済指標が米ドル売りの要因となれば、ドル円(USD/JPY)は調整の反落を想定しておきたい。
しかし、昨日の動きを考えるならば円安のドル円が反落しても円安の圧力にサポートされ、ドル円の下落幅は限定的となることが予想される。
本日、ドル円が下値をトライする場合は、147円台の維持が焦点となろう。昨日の安値147.65レベルのすぐ下は、直近高安のフィボナッチ・リトレースメント23.6%の水準(147.54レベル)にあたる。昨日の動きを考えるならば、147.50-60レベルがサポートの水準へ転換する可能性がある。
ドル円が147円ミドルの水準を下抜ける場合は、147円台の維持が焦点として浮上しよう。フィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準(146.92レベル)は147.00レベルにあたる。テクニカルの面でも147円台の維持は目先の重要な焦点となろう。
1時間足のストキャスティクスは、買われ過ぎの水準から低下基調へ転じ、反落の可能性を示唆している(下のチャート、赤矢印を参照)。
他のオシレーター指標の動向も見ながら、ストキャスティクスが一転して売られ過ぎの水準へ低下する局面で、上で述べたサポート水準をドル円がトライする場合は、反発相場を想定しておきたい。
ドル円のチャート:1時間足 1月12日以降
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