ドル円 (USDJPY):今日の見通しとチャートポイント
さえない経済指標を受けて米金利には低下の圧力が高まっている。外為市場では米ドル安優勢の状況にある。しかし、円安の圧力は米ドル安のそれ以上に強い。今日のドル円の見通しとチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
※今日のユーロドルの見通しについては、こちらのレポートをご覧ください
サマリー
・連日のさえない経済指標を受けて、米債市場では利回りが低下基調へ転じている
・外為市場では米ドル安以上に円安の圧力が強い
・今日の注目材料は、新規失業保険申請件数と7月PCEコアデフレーターとなろう
・ドル円の上昇局面では、146.50レベルのブレイクアウトに注目したい
・一方、ドル円の反落局面では145円台での底固めが焦点となろう
米経済指標と米金利の動向
8月の米ADP雇用統計は17.7万人と、市場予想の19.5万人を下回った。7月の雇用動態調査(JOLTS)求人件数に続き、労働市場の軟化を示す内容となった。
一方、4-6月期の国内総生産(GDP)改定値は前期比年率で2.1%増と、速報値の2.4%増から下方修正された。また、コアPCE価格指数も同比で3.7%と、速報値の3.8%から下方修正された。
連日のさえない経済指標の結果を受け、米債市場では利回りが低下の基調にある。長期ゾーンの利回りには、トレンド転換のムードが漂っている(下チャート赤ゾーンを参照)。
今日もアメリカの重要経済指標が発表される。経済指標の内容で米長期金利の低下がさらに進行すれば、外為市場では米ドル安ムードがさらに高まろう。一方、米国株をはじめとしたリスク資産の価格は上昇することが予想される。この状況も米ドル安の要因となろう。
欧州通貨やオセアニア通貨(豪ドル/NZドル)は、米ドル安にサポートされる展開が続くことが予想される。
米長期ゾーン利回りのチャート:日足 23年4月以降
ドル円の見通しとチャートポイント
根強い円安の圧力
米金利の低下は米ドル安の要因である。事実、米ドル相場のトレンドを示すドルインデックス(DXY)は昨日、一時103.00の水準を下回り102.93レベルまで低下する局面が見られた。
しかし、今の外為市場では米ドル安の圧力以上に円安の圧力の方が強い。昨日の円相場は、一部の新興国通貨の除き総じて円安優勢の展開となった。
円相場の動向:8月30日
上昇の局面では146.50レベルの攻防が焦点に
根強い円安の圧力は、ドル円(USD/JPY)をサポートしている。昨日のドル円は、難なく146円台へ反発した。そして昨日の反発で、テクニカルの面では新たな短期サポートラインが形成されつつある(下の日足チャートを参照)。
ドル円の変動要因は、引き続きアメリカの経済指標となろう。今日は、新規失業保険申請件数と7月の個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)が発表される。
労働市場の軟化とインフレの低下基調が同時に確認される場合、米長期金利にはさらに低下の圧力が高まることが予想される。しかし、このケースでは米株高の展開が予想される。ゆえに、外為市場では「米ドル安 vs 円安」の展開が予想される。
外為市場が上の状況となる場合は、IG為替レポートで注目しているレジスタンスの水準「146.50レベル」の突破が焦点となろう。昨日は146.53レベルで反発が止められた。米ドル安を受けてもドル円がこのレジスタンスポイント(146.50レベル)を突破する場合は、円安圧力の根強さを市場参加者に印象付けよう。
一方、上で述べたアメリカの経済指標が米金利の反発要因となれば、「米ドル買い優勢→ドル円の上昇幅拡大」が予想される。このケースでは、146.50レベルの突破と147.00レベルのトライを想定しておきたい。ドル円が147円台へ上昇する場合は、29日の高値147.34レベルのブレイクアウトが焦点となろう。
なお、今日の経済指標が強弱まちまちの内容となる場合は、下で述べるPCEコアデフレーターの内容で米金利とドル円のトレンドが左右される展開が予想される。
反落局面でのチャートポイント
ドル円が反落する場合は、昨日の安値145.56レベルの維持が焦点となろう。この水準を下方ブレイクする場合は、145.00を視野に下落幅の拡大を警戒しておきたい。直近高安のフィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準145.13レベルの下方ブレイクは、145.00トライのシグナルと想定しておきたい。
なお、21日MAが今日現在、145.03レベルまで上昇している。テクニカルの面でも145.00レベルはサポートの水準として注目しておきたい。
ドル円のチャート:日足 23年7月以降
PCEコアデフレーターの動向を注視
現在の外為市場と米債市場では、連邦準備制度理事会(FRB)の政策動向(追加利上げの有無)が焦点となっている。パウエルFRBがインフレ抑制重視のスタンスを維持している以上、インフレの動向で金融政策の方向性が左右されるだろう。
ゆえに今日のアメリカ経済指標では、パウエルFRBが重視するPCEコアデフレーターの内容が最も重要となろう。
よって、今日の米金利とドル円は、PCEコアデフレーターの内容がより材料視されることが予想される。
なお、7月PCEコアデフレーターの予想は、前月比が0.2%増と6月から横ばいの見通しとなっている。一方、前年比では4.2%と、6月の4.1%から小幅ながらも上昇することが見込まれている。PCEコアデフレーターが予想以上に上昇する場合は、「米金利の反発と米国株の反落→米ドルの買い戻し→ドル円の上昇幅拡大」を想定しておきたい。
アメリカの個人消費支出価格指数の推移
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