【ドル円 (USD/JPY)】さらなる下値トライを警戒、目先の焦点は146.00レベルの攻防
来週の日銀会合を前に、外為市場では円安を是正する動きが続いている。この状況で今週の米経済指標がさえない内容となれば、日米の利回り格差がさらに縮小する展開が予想される。今のドル円(USD/JPY)は、さらなる下値のトライを警戒する状況にある。今週、注目しておきたいチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
サマリー
・外為市場では米ドル安と円高が同時に発生している
・日米利回り格差がさらに縮小すれば、ドル円の下落幅が拡大しよう
・目先、下値の焦点は146.00レベルの攻防となろう
・ドル円の反発局面では、148.00レベルの攻防に注目したい
下値トライを警戒する1週間
今週のドル円(USD/JPY)は、さらなる下値トライを警戒したい。
3月に入ってから米ドル安と同時に、円高も進行する状況にあるからだ(対G10通貨、下のチャートを参照)。
円相場の動向:月初来
米経済指標次第では日米の利回り格差がさらに縮小も
来週18~19日の金融政策決定会合で日銀はマイナス金利の解除など、金融政策の正常化を推し進める可能性が外為市場で意識されている。
国内の債券市場では2年債利回りが0.2%付近と、2011年4月以来およそ13年ぶりの高水準まで上昇している。上昇幅が抑制されていた5年債や10年債の各利回りにもジワリと上昇の圧力が増している。一方、米債市場では利回りが低下の基調にある。
このような状況のなか、こちらのIG為替レポートで取り上げた米国の2月消費者物価指数(CPI)や同月小売売上高が総じて予想以下となれば、日米の利回り格差がさらに縮小することが予想される。
利回り格差の縮小は、ドル円の売り圧力を高めるだろう(下のチャート、赤ゾーンを参照)。ゆえに今週のドル円は、米経済指標の内容で上下に振れる展開が予想される。
日米利回り格差の動向:23年以降
146.00のブレイクと145.00のトライ
今週、ドル円(USD/JPY)の下落幅がさらに拡大する場合、最初に注目したいのが146.00レベルの攻防である。
先週8日の市場では、フィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準146.82レベルを下方ブレイクする局面が見られた。この時は、日足ローソク足の実体ベースで146.82レベルをかろうじて維持した。
しかし、弱気相場の勢いが増していることを示唆しているモメンタムのトレンド、そして上で述べた日米利回り格差の縮小傾向も考えるならば、ドル円は今週、このテクニカルポイント(38.2%の水準146.82レベル)を完全に下方ブレイクする展開を想定しておきたい。
実際にドル円が146.82レベルを下方ブレイクする場合は、サポート転換が確認された経緯のある146.00レベルの攻防が焦点として浮上しよう。
日足のストキャスティクスは売られ過ぎの水準まで低下し、目先はゴールデンクロスを形成する可能性がある。RSIも売られ過ぎの水準まで低下している。ゆえに146.00レベルをトライする局面では、調整の反発相場が予想される。
ドル円の反発要因として今週注目したいのが、こちらのIG為替レポートで取り上げた米経済指標、2月の消費者物価指数(CPI)と同月の小売売上高である。これら重要経済指標が「米金利の反発→米ドルの買戻し」要因となれば、ドル円のサポート要因となろう。
一方、円高優勢の状況で米国のCPIと小売売上高が総じて市場予想を下回る内容となれば、「米金利の低下幅が拡大→米ドル安がさらに進行」する展開を想定しておきたい。
このケースでのドル円は、一気に146.00レベルを下方ブレイクする展開が予想される。半値戻しの水準145.57レベルをも下方ブレイクする場合は、145.00のトライが焦点として浮上しよう。
なお、上で取り上げた米国の経済指標が発表される前にドル円が146.00レベルを完全に下方ブレイク場合は、外為市場でさらに円高が進行している展開が想定される。
ドル円のチャート:日足 23年11月以降
反発の局面では148.00レベルの攻防に注目したい
今週、ドル円(USD/JPY)が反発する局面では、148.00レベルを突破できるかどうか?この点に注目したい。
今日現在、50日線が148.03 レベルで推移している。21日線(今日現在149.80レベル)はレジスタンスのラインへ転換した。この移動平均線より下の水準で推移している50日線でも同じ状況が確認される場合は、ドル円の地合いの弱さを市場参加者に印象付けよう。
ドル円が50日線をトライするシグナルとして、直近高安のフィボナッチ・リトレースメント23.6%の水準147.43レベルの攻防に注目したい(下の1時間足チャートを参照)。この水準は、先週8日のNY時間に相場の戻りを止めた経緯がある。
なお、今日現在50日線が推移している水準はフィボナッチ・リトレースメント38.2%水準(148.03)と重なる。重要なテクニカルの水準が重なる148.00レベルは、レジスタンスの水準として意識される可能性があろう。
分足や時間足のストキャスティクスとRSIでトレンドを追いながら、これらオシレーター系の指標が売られ過ぎ、または買われ過ぎの水準へ達している局面で、上で取り上げた上下のチャートポイントをドル円がトライする場合は、反発や反落の展開を意識したい。
ドル円のチャート:1時間足 3月以降
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