【ドル円 (USDJPY)】今日の見通しとチャートポイント
先月31日の外為市場では円安が進行し、ドル円(USDJPY)は151円台へと上昇した。一方、米債市場では10年債利回りが4.9%台へ再上昇し、「5%」を再び視野に入れる状況にある。円買い介入に絡んだ円高のリスクを警戒しながらも、ドル円の焦点は新たな上値の水準を探ることにあろう。今日の見通しとチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
サマリー
・日銀イベントを受け円安が進行、ドル円は151円台へ急伸
・FOMCよりも米国債発行計画と雇用関連指標が重要な材料に
・ドル円、今日の見通しとチャートポイントについて
さらに進行する円安
日銀は10月31日の金融政策決定会合で、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)については1%をめどとしながらも、一定程度超えることを容認した。これまでの毎営業日の指値オペについては今後、市場の実勢を踏まえて判断するとした。
一方、財務省はこの日、政府・日銀による9月28日〜10月27日の為替介入の実績がゼロだったことを公表した。
昨日の国内イベントは円売りの要因となり、31日の円相場は主要通貨で全面安の展開となった(下のパフォーマンスチャートを参照)。
ドル円(USD/JPY)は、今月26日に付けた高値150.78レベルを難なく突破し、151円台へと上昇。151.70台まで上昇する局面が見られた。
円相場の動向:10月31日
FOMCよりも重要な2つの材料
重要材料1:雇用関連の経済指標
今日の重要イベントは、連邦公開市場委員会(FOMC)である。
根強いインフレ圧力と物価上昇の再燃リスクがくすぶっていること、そして現在の景気の底堅さも考えるならば連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は「データ重視」の姿勢を貫くだろう。
そのデータの中でもより重要視されるのが、雇用関連の経済指標である。
昨日発表された7-9月期の雇用コスト指数は1.1%と、前四半期の1.0%から上昇した。根強い賃金インフレが押し上げの要因となった。
FOMCは重要なイベントである。しかし、今後の政策動向が「データ次第」である以上、今日以降はFOMCよりも雇用関連の経済指標が各市場、特に米債市場と米ドル相場の変動要因となる可能性がある。
米国 雇用コスト指数の動向:四半期 20年以降
今日は9月の雇用動態調査(JOLTS)求人件数と10月のADP雇用統計が発表される。前者の市場予想は940万件、後者のそれは15万人である。
雇用コスト指数に続き総じて市場予想を上回る内容が続けば、堅調な労働市場とそれを土台とした景気の底堅さを米債市場の参加者に意識させよう。また、インフレ抑制のためにFRBが政策金利を長期に渡り高水準で維持する観測も高まるだろう。
ゆえに強い雇用関連の経済指標は、米金利の押し上げ要因となろう。
米10年債利回り(長期金利)は現在、上限として意識されている5%の水準を再び視野に入れる状況にある。雇用関連の経済指標が米長期金利や他の長期ゾーン利回りの押し上げ要因となれば、外為市場では昨日のような米ドル高優勢の展開が予想される(下のラインチャートを参照)。
また、米長期金利の上昇と米株安が同時に発生すれば、外為市場では米ドル高の圧力が最も高まることが予想される。
米ドル高はドル円(USD/JPY)のサポート要因となろう。
米10年債利回りとドルインデックスのチャート:5分足 31日欧州タイム以降
重要材料2:米財務省の国債発行計画
米財務省は1日、11月から24年1月までの国債発行計画(四半期定例入札)を示す。
ディーラーの予想コンセンサスは3年債、10年債そして30年債を合計した発行規模が1,140億ドル規模となり、3ヶ月前の1,030億ドルから増加することが予想される(ブルームバーグ)。一方、米金利の上昇を防ぐため、前四半期に比べて増加幅は前回を下回るとの見方もある。
今回の発行計画に対する米金利の反応、特に長期ゾーン利回りの反応は、米ドル相場とドル円(USD/JPY)の短期トレンドを左右する要因になり得る。
米10年債利回り(長期金利)が5%へ向けて再び上昇する展開となれば、上で述べたとおり外為市場では米ドル高の展開を想定しておきたい。
逆に国債発行の増加幅が抑制され、それが米金利の押し下げ要因となれば、米ドル安優勢の展開が予想される。
ドル円、今日の見通しとチャートポイント
焦点は151.94レベルの上方ブレイク
国内の長期金利が上昇基調にあることで、直近の日米の利回り格差は縮小の傾向にある。しかし、昨日の国内イベント(日銀金融政策決定会合、植田総裁の会見、為替介入実績ゼロ)を受け、外為市場では円安が進行した。そして米債市場では、10年債利回りが4.9%台へ再上昇している。
これらの状況を考えるならば、今日のドル円(USD/JPY)は、引き続き上値トライの展開を想定しておきたい。
ドル円の上昇局面で注視したいのが、昨年の最高値151.94レベルの攻防である。この水準の上方ブレイクは、152円台へ上昇するシグナルと想定しておきたい。
ドル円が152円台へ上昇する場合、テクニカルの面で注目したいのが、フィボナッチ・リトレースメント100.0%の水準152.80レベルである。
ドル円がこの水準(152.80レベル)をもブレイクアウトすれば、153.00のトライが焦点として浮上しよう。
ドル円のチャート:週足 22年以降
円買い介入に絡んだ円高を警戒する状況に
昨日のドル円(USD/JPY)の上昇率は1.7%超だった。1日の値幅としては相当大きかった。
本日、昨日の高値レベル151.70台をも完全に上方ブレイクし、ドル円の上昇幅(ボラティリティ)がさらに拡大する場合は、円買い介入に絡んだ不意打ちのような円高を警戒しておきたい。
本日早朝、神田財務官から為替についてファンダメンタルズと合っていない動きが見られる、とのけん制発言があった。
反落局面での焦点は?
円買い介入に絡んだ円高以外でドル円(USD/JPY)が反落する場合は、昨日の高安の各リトレースメントの水準での攻防に注目したい。
23.6%の水準151.03レベルは、昨日NY時間の下落を止めた経緯がある。
38.2%の水準150.60レベルは、昨日の欧州時間に相場をサポートした経緯がある。
そして、節目の150.00を挟んでは、半値戻しの水準150.26レベルと61.8%の水準149.91レベルが展開している。
1時間足のストキャスティクスやRSIは、短期的な相場の過熱感を示唆する状況にある。調整の反落局面では、23.6%の水準で反発するかどうか(151円台を維持できるかどうか)?まずはこの点を確認したい。
ドル円が150円台へと反落し、38.2%の水準150.60レベルをも一気に下方ブレイクする場合は、150円台の維持(半値戻しの水準と61.8%の水準の攻防)が焦点となろう。
ドル円のチャート:1時間足 10月30日以降
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