【ドル円 (USD/JPY)】焦点は植田総裁の会見と米金利の動き、注目のチャートポイント
今日の金融政策決定会合で日銀が大規模緩和を解除しても、その後の政策運営では慎重な姿勢を維持する公算が大きい。外為市場では根強い円安が続く可能性がある。日銀イベント以外で注目したいのが反発基調にある米金利の動きである。今日のドル円(USD/JPY)の見通しは?注目のチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
サマリー
・日銀の大規模緩和の解除は織り込み済み
・後退する米利下げ観測、反発基調を維持する米金利
・ドル円は21日線の上方ブレイクと、さらなる上値トライを意識する局面に
・ドル円の反落局面では、3つのチャートポイントに注目したい
外為市場の動向:米ドル買いと円買いが交錯
日本経済新聞は、19日の金融政策決定会合で日銀がマイナス金利の解除の他、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)や上場投資信託(ETF)などのリスク資産を買い入れる枠組みをなくすと報じた。
日銀の政策転換の可能性が意識され、18日の外為市場では円高へ振れる局面が見られた。しかし、大規模緩和の解除は外為市場ではすでに織り込まれており、円買いは限定的だった。
この日のドル円(USD/JPY)は、米ドル買いの圧力が円買いのそれを相殺したことで、149円前半を中心に堅調地合いを維持した。一方、クロス円は強弱まちまちの展開となった。
円相場の動向:3月18日
今日の注目材料:植田総裁の政策スタンスと米金利の動き
本日の注目イベントは、金融政策決定会合の後に開かれる植田和男総裁の定例会見となろう。焦点は大規模緩和を解除した後の利上げ政策の方針にある。
総裁に就任してからここまでの政策スタンスを考えるならば、植田総裁は利上げついては情勢を見定めながら慎重に進めていく姿勢を貫く可能性が高い。日銀の慎重スタンスが続く場合、外為市場では根強い円安基調が続く要因となろう。
植田総裁の会見以外で注目したいのが、米債市場の動きである。短期金融市場では6月の利下げ確率が50%前後まで低下している。
利下げ観測の後退に連動するように、米債市場では利回りが反発の基調にある。金融政策の方向性を織り込んで動く2年債利回りは4.7%台まで反発している。
一方、10年債利回りも先月下旬以来となる4.3%台まで上昇している(いずれも下のチャートを参照)。
米金利のチャート:15分足 2月米雇用統計(3/8)以降
2月消費者物価指数(CPI)と同月生産者物価指数(PPI)でインフレ圧力の根強さが確認された後、米金利の上昇幅が拡大していることが分かる。
この状況を考えるならば、米連邦公開市場委員会(FOMC)後に発表される重要経済指標で景気の底堅さやインフレ圧力の根強さを示唆する内容が続く場合、米金利はもう一段反発する可能性があろう。
米金利が反発基調を維持する場合、外為市場では米ドル相場の下支え要因となろう。
ドル円:今日の見通しとチャートポイント
再び拡大する日米の利回り格差
米金利の反発基調を受け、日米の利回り格差が再び拡大している。大規模緩和を終了した後も日銀が慎重に政策を進めていく可能性があることも考えるならば、今日のドル円(USD/JPY)は上値トライを想定しておきたい。
日米利回り格差のチャート:日足23年以降
21日線、149.80レベルそして150.00の攻防
ドル円(USD/JPY)の上昇局面で最初に注目したいのが、昨日の上昇を止めた21日線の攻防である。この移動平均線は今日現在、149.32レベルで推移している(下の日足チャート、青ラインを参照)。
すぐ下の水準149.30レベルはレジスタンスのポイントとして意識されている(下の1時間足チャート、赤ラインを参照)。本日も米金利が上昇する場合は、21日線(149.30台)を完全に上方ブレイクし、節目の150.00レベルを視野に上昇幅が拡大する展開を想定しておきたい。
ドル円が150.00レベルをトライするシグナルとして、フィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準149.81レベルの攻防に注目したい(下の1時間足チャートを参照)。この水準(149.81レベル)をも難なく突破する場合、ドル円は150円台の攻防へシフトする展開が予想される。
ドル円のチャート:日足23年11月以降
反落局面でのチャートポイント
一方、ドル円(USD/JPY)の反落局面では、3つの水準での攻防に注目したい。
まずは、直近の反落を止めている148.90レベルの攻防である(下の1時間足チャートを参照)。
米金利の低下などを受けてドル円がこのサポートポイント(148.90レベル)を一気に下方ブレイクする場合は、148.00レベルのトライを想定しておきたい。この水準は、先週15日の欧州時間にサポート転換が確認されている。
148.00レベルのサポート転換の確認は、148円の維持を見極めるという観点でも重要な焦点である。短期トレンドチャネルの下限を下方ブレイクする場合は、148.00レベルを視野に下落幅の拡大を警戒したい。
米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に調整の反落相場が進行し、ドル円が148円をも一気に下抜ける場合は、147.50レベルまでの反落を警戒したい。この水準もサポート転換が確認されている。
分足や時間足のストキャスティクスとRSIを中心にトレンドを追い、これらが短期的な相場の過熱感(買われ過ぎ、または売られ過ぎ)の状況にある場合は、ドル円の反落、反発を意識したい。
ドル円のチャート:1時間足 2月下旬以降
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