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米長期金利の上昇と米ドル相場の焦点 / 今日のドル円の展望とチャートポイント

財政問題と格下げを受けて米長期金利の上昇幅が拡大している。悪い金利の上昇が米ドル相場へ与える影響とは?今日のドル円の展望と注目のチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。

出所:ブルームバーグ 出所:ブルームバーグ

サマリー

・米長期金利は一時、昨年11月以来の水準まで上昇する展開に
・悪い金利の上昇は米ドル売りの要因にもなり得る
・今の米金利の上昇が米ドル売りの要因となれば日本円が選好されよう
・ドル円の展望とチャートポイントについて


米長期金利の上昇が止まらず

2日の外為市場は、米ドル高優勢の展開となった。

米財務省は四半期定例入札について、来週の入札で合計1030億ドル規模を発行することを発表した。また、同省は発行規模の拡大が2024年も続く可能性が高いとの見解を示した。

フィッチ・レーティングスによる米国債の格下げ(長期外貨建て発行体格付けを最上級の「トリプルA(AAA)」から「ダブルAプラス(AA+)」に1段階引き下げ)の影響もあり、米債市場では10年債利回り(長期金利)が一時、昨年11月以来となる4.12%まで上昇する局面が見られた(下のラインチャートを参照)。

予想を上回った7月のADP雇用統計も、米長期金利の押し上げ要因になったとの見方もあった。

アメリカ10年債利回りのチャート:高値の水準

アメリカ10年債利回りのチャート:高値の水準 ブルームバーグのデータをもとに作成 / 日足:22年10月以降

悪い金利の上昇と米ドル相場の焦点

今の外為市場、特に米ドル相場の焦点は、米長期金利の上昇が米ドル買いの要因であり続けるかどうか?この点にある。

米ドル相場の方向性を示すドルインデックス(DXY)は現状、米長期金利の上昇に連動し上昇相場を維持している。

この(米ドル高の)背景には、米金利の上昇による米ドル買いの他に、リスク回避相場を受けたリスク性の高い通貨(資源国通貨や新興国通貨)売りの影響を受けている影響もある。

しかし、今の米長期金利の上昇は「悪い金利の上昇」である。ゆえに、現在の状況(悪い金利の上昇)が続けば、それが米ドル売りの要因となる可能性がある。

なお、市場の規模や流動性の高さを考えるならば、筆者は米債市場が大きく混乱する可能性は低いと考えている。そのような状況が発生しても、短期間で終息すると予想している。よって中長期のスパンでは、連邦準備制度理事会(FRB)による利上げサイクルの終了と景気の減速懸念を受けて、米国債が買い戻される(米長期金利が低下する)展開を想定している。

米長期金利と米ドル相場の動向

米長期金利と米ドル相場の動向 ブルームバーグのデータをもとに作成 / 日足:23年5月以降 /米ドル相場:ドルインデックス

悪い金利の上昇が米ドル安の要因となれば

今の米長期金利の上昇(悪い金利の上昇)が米ドル安の要因へ転じるならば、外為市場では日本円が選好される展開が予想される。

昨日の外為市場は、米ドル買いと同時に円買いの展開となった。ドル円(USD/JPY)こそ米ドル買いにサポートされ143円台を維持したものの、クロス円は総崩れ(円高)の展開となった(下のチャートを参照)。

昨日の動向(円高)は、上で述べたリスク回避相場によるリスク性の高い通貨(資源国通貨や新興国通貨)売りの影響が大きい。

この状況で「悪い米金利の上昇→米ドル安」の展開となれば、ドル円も現在の上昇トレンドから下落トレンドへ転じよう。

ドル円までが円高へ振れる場合、短期的に円相場全体が円高へ振れるだろう。その動きが日本株高の調整相場(調整の反落相場)を加速させ、それがまた円高を促すというトレンドへつながる可能性がある。

円相場の動向:8月2日

円相場の動向:8月2日 ブルームバーグの為替データをもとに作成 / 基準日:8月1日

ドル円の焦点は142.00の維持と144.00のトライで変わらず

昨日のドル円(USD/JPY)は米ドル買いにサポートされ、安値142.22レベルで反発し、短期レジスタンスラインより上の水準で推移する状況にある(下の日足チャートを参照)。

しかも、日足ローソク足では長い下ヒゲが示現し(この状況は138.00レベルの攻防の時と同じ)、IG為替レポートで何度も取り上げているサポートポイントの候補142.00レベルの維持に成功した。

これらの状況を考えるならば、ドル円の焦点は引き続き新たなレジスタンスの水準を探ることにある。

目先、そのレジスタンスポイントの候補として注目したいのが、144.00レベルである。この水準は、6月下旬から7月上旬にかけて相場をサポートした経緯がある。

ゆえに、ドル円が144.00レベルをトライする場合は、レジスタンスへ転換するかどうか?この点を確認することが焦点となろう。

昨日のIG為替レポートで指摘したとおり、1日の高値143.54レベルのブレイクアウトは、144.00を目指すシグナルと想定しておきたい(2日の高値は143.47レベル)。

一方、ドル円の反落局面では、142.00レベルの維持が引き続き焦点となろう。

この水準(142.00レベル)で “サポート転換” のムードが高まれば、ドル円の地合いの強さを市場参加者に意識させよう。

しかし現在は、アメリカの財政問題が主要テーマとなり、短期的に日米株高の調整が加速しやすい局面にある。このタイミングで悪い米金利の上昇が米ドル安の要因として意識される場合は、ドル円の142.00ブレイクを警戒しておきたい。

ドル円が141円台の攻防となる場合、まずは昨日のIG為替レポートで指摘した141.70台の攻防に注目したい。

ドル円がこのサポートポイント(141.70台)を難なく下方ブレイクする場合は、141円台の維持が次の焦点として浮上しよう。

ドル円のチャート:日足

ドル円のチャート:日足 IGチャート:6月下旬以降

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