ペンス副大統領の対中国政策演説
米国フィークリー 2019年10月29日号
- 10/24にペンス副大統領が対中国政策に関する演説を行った。昨年10/4の演説が「米中新冷戦時代の幕開け」と捉えられ、昨年12月下旬まで株式相場が大きく下落する契機となった。その意味からも、今回の演説が当面の米中問題の枠組みを認識する上で重要な意味を持つものとして注目された。知的財産権侵害、南シナ海での軍事行動、台湾との断交を迫る札束外交、および香港情勢などに関して強い言葉で中国を批判しつつも「米中の経済関係で長年の懸案である構造改革実現のため、誠意を持って交渉を続ける」と明言したことは株式市場にとって明るい材料と言えよう。交渉さえ続けていれば合意への期待が醸成されて相場を押し上げる要因となろう。その一方、NBAを「中国政府の子会社のようにふるまい、中国共産党の意思を汲んで言論の自由を放棄している」と批判し、ナイキ(NKE)が北京の5店舗からロケッツの関連グッズを撤去した件に対して「社会的正義を追求する企業だと宣伝しながら、中国の要求に屈した」と容赦なく槍玉に挙げた。特に中国売上比率の高い消費・サービス関連の米国企業は米国政府と中国政府との間で板挟みとなる懸念が残るだろう。
- 10/21週の米国株式相場は2019/7-9月期決算発表に影響される展開だった。マクドナルド(MCD)、トラベラーズ(TRV)、フォード・モーター(F)、3M(MMM)などが市場予想を下回った一方、プロクター・アンド・ギャンブル(PG)、ユナイテッド・テクノロジーズ(UTX)が市場予想を上回った。また、減収減益でもキャタピラー(CAT)は中国販売の底入れ見通しが好感され、ボーイング(BA)は737Maxの運航再開予定に変更がなかったことが好感された。更に、同じ半導体業界内でも、テキサツ・インスツルメンツ(TXN)は通期見通しが市場予想を下回る一方、インテル(INTC)は上回るなど明暗が分かれた。同様にパブリック・クラウドのデータセンターで覇権を争うアマゾン・ドットコム(AMZN)とマイクロソフト(MSFT)の間でも、前者が9四半期ぶり最終減益となる一方、後者は7-9月では過去最高の売上高と純利益を記録するなど明暗が分かれた。
- 米国株式市場は、ダウ工業株30種平均株価(NYダウ)が10/25に27,000ドル超えまで上昇するなど米中協議への期待による後押しもあり決算発表シーズンを順調に乗り切っているように見える。チャートのテクニカル面で見れば、2018/1の26,616ドル、2018/10の26,951ドル、2019/7の27,398ドル近辺の上値を結んだ上値抵抗線が目標値になりやすい点には要注意だろう。(笹木)
S&P500業種別およびNYダウ構成銘柄の騰落率(10/25現在)
■主な企業決算の予定
●10月29日(火):カミンズ、ファイザー、コーニング、メルク、IPGフォトニクス、マスターカード、レイドス・ホールディングス、インガソール・ランド、マーシュ・アンド・マクレナン、GM、コノコフィリップス、パブリック・ストレージ、マーチン・マリエッタ・マテリアルズ、A.O.スミス、ウォーターズ、HCAヘルスケア、イートン、エコラボ、S&Pグローバル、ケロッグ、FMC、AMD、エレクトロニック・アーツ、ベリスク・アナリティクス、アムジェン、エクストラ・スペース・ストレージ、マキシム・インテグレーテッド・プロダクツ、ボストン・プロパティーズ
●10月30日(水):WECエナジー・グループ、ベイカー・ヒューズ、ADP、CMEグループ、マケッソン、モルソン・クアーズ、ムーディーズ、ヤム・ブランズ、L3ハリス・テクノロジーズ、マスコ、ナイソース、サイモン・プロパティー・グループ、GE、サザン、ヘス、エンタジー、ロイヤル・カリビアン・クルーズ、リンカーン・ナショナル、フローサーブ、ウエスタンデジタル、MGMリゾーツ・インターナショナル、フェイスブック、ウィリアムズ・カンパニーズ、アップル、アパッチ、デューク・リアルティー、HCP、パーキンエルマー、メットライフ、KLA、エクイニクス、アイデックス、アメリカン・ウォーター・ワークス、スターバックス、モトローラ・ソリューションズ、CFインダストリーズ・ホールディングス、バーテックス・ファーマシューティカルズ、コグニザント・テクノロジー・ソリューションズ
●10月31日(木):エスティローダー、ボルグワーナー、インターコンチネンタル・エクスチェンジ、シグナ、ブリストル・マイヤーズ・スクイブ、グローバル・ペイメンツ、クロロックス、アビオメッド、アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド、クラフト・ハインツ、インターナショナル・ペーパー、アメリカン・タワー、ワブテック、アメテック、ヘインズブランズ、MSCI、マラソン・ペトロリアム、アラガン、ザイレム、ガートナー、チャーチ・アンド・ドワイト、セルジーン、アルトリア・グループ、フリアーシステムズ、ウエスタンユニオン、コルボ、アリスタネットワークス、フォーティネット
●11月1日(金): Cboe・グローバル・マーケッツ、シーゲイト・テクノロジー、シェブロン、アッヴィ、コルゲート・パルモリーブ、ドミニオン・エナジー、エクソンモービル、AIG、ニューウェル・ブランズ、センプラ・エナジー
●11月2日(土):バークシャー・ハサウェイ
●11月4日(月):シスコ、アンダーアーマー、オキシデンタル・ペトロリアム、プルデンシャル・ファイナンシャル、シマレックス・エナジー、インターナショナル・フレーバー&フレグランス、モザイク、ジャック・ヘンリー・アンド・アソシエーツ、ハートフォード・ファイナンシャル・サービシズ・グルー、マリオット・インターナショナル
■主要イベントの予定
●10月29日(火)
・FOMC(30日まで)
・サウジアラビアの投資会議「未来投資イニシアチブ(FII)」(通称:砂漠のダボス会議)(リヤド、31日まで)
・主要20都市住宅価格指数(8月)、中古住宅販売成約指数(9月)、消費者信頼感指数(10月)
●10月30日(水)
・FOMC声明発表およびパウエルFRB議長記者会見、ブラジル中銀が政策金利発表
・ADP雇用統計(10月)、GDP(3Q、速報値)
・ユーロ圏消費者信頼感指数(10月)、独CPI(10月)、独失業率(10月)
●10月31日(木)
・ドラギECB総裁が任期満了、ユンケル欧州委員長が任期満了、英EU離脱期限、ASEAN首脳会議・関連会合(バンコク、11月4日まで)
・個人所得・支出(9月)、新規失業保険申請件数(10月26日終了週)
・ユーロ圏GDP(3Q、速報値)、ユーロ圏失業率(9月)、ユーロ圏CPI(10月)、中国製造業・非製造業・コンポジットPMI(10月)、台湾GDP(3Q)、香港GDP(3Q)
●11月1日(金)
・クラリダFRB副議長が講演、クリスティーヌ・ラガルド氏がECB総裁に就任、ウルズラ・フォンデアライエン氏が欧州委員長に就任
・雇用統計(10月)、ISM製造業景況指数(10月)、建設支出(9月)、自動車販売(10月)
・中国財新製造業PMI(10月)
●11月3日(日)
・夏時間終了
(Bloombergをもとにフィリップ証券作成)
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