プラチナ(白金)は1,100ドル台が視野に、需給と中国回復期待で新高値を目指す展開に
現在、国際商品市況で一番ホットなマーケットが貴金属市場である。スポット金価格は2,400ドルを突破し史上最高値を更新。先週のIGコモディティレポートで取り上げたスポット銀価格は、節目の30ドルを難なく突破した。そしてプラチナ(白金)は、年初来高値を連日更新する状況にある。スポット価格は昨年5月以来となる1,100ドル台の攻防が視野に入ってきた。今後の見通しは?注目のチャートポイントは?
サマリー
・プラチナ(白金)スポット価格は、昨年5月以来となる1,100ドル台の攻防が視野に
・需給のひっ迫と中国製造業の回復期待がプラチナ価格の下支え要因となっている
・次に注目すべき2つのレジスタンスポイント
・反落の局面では、2つの移動平均線の攻防に注目したい
プラチナ価格、1,100ドルの突破が焦点に
現在、国際商品市況で一番ホットなマーケットが貴金市場である。なかでもプラチナ(白金、以下プラチナ価格)のスポット価格が上昇が止まらない。
年初からのトレンドを確認すると、870ドル前後がサポート水準として意識され、5月以降、上昇幅が急速に拡大している。そして現在は、節目の1,100ドルを意識する状況にある。なお先物価格は本日、1,100ドルを突破する局面が見られた。
5日線がサポートラインとして意識されていること、そして強気相場の勢いが増していることを示唆しているモメンタムの動きも考えるならば、プラチナ価格は1,100ドルを突破し、新たな高値水準を目指す状況が続くと予想する。
プラチナ価格のチャート:日足 23年12月以降
プラチナ上昇、2つの土台
需給のひっ迫
国際調査機関の英ワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(WPIC)が13日に公表したリポートによると、2024年通年のプラチナ総供給量は過去最低に近い水準になるとの予想が示された。
一方で、通期の自動車需要は7年ぶりの高水準となる見通しである。24年の工業需要は減少が見込まれてるものの、コロナ禍前(2013~2019 年)の平均を 17%上回る見通しが示された。宝飾品の需要も 6%増の拡大が見込まれているという。
2年連続で供給不足となる状況は、短期的にプラチナ価格の押し上げ要因となろう。
中国製造業の回復期待
需給のひっ迫観測に加えて、中国の製造業が回復の傾向にあることもプラチナ価格(XPT)の押し上げ要因となっている。
※XPT:リンク先のチャートデータは先物価格
4月30日に財新/S&Pグローバルが発表した4月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は、3月の51.1から23年2月以来の高水準51.4へと回復した。
一方、中国国家統計局の 4月製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.4と前月より0.4ポイント低下したが、2カ月連続で景気判断の分かれ目である「50」を上回った。
中国 各製造業指数の動向:23年以降
注目は、これら製造業の指標データが確認された後のプラチナ価格の動向である。
日足チャートで5月以降のトレンドを確認すると、プラチナ価格(XPT)の上昇幅が急速に拡大している。中国製造業の回復期待が相場の押し上げ要因となっていることが分かる。
プラチナ価格のチャート:日足 23年12月以降
プラチナのチャート分析
2つの新たなレジスタンスポイント
需給のひっ迫観測と中国製造業の回復期待を受け、プラチナ価格(XPT)が1,100台へしっかりと上昇する場合、次の焦点はフィボナッチ・エクステンション161.8%の水準1,123レベルのトライとなろう。
この水準(1,123レベル)をも難なく上昇ブレイクする場合は、直近の高安から算出されるE計算値の水準1,145レベルが視野に入る。
プラチナ価格のチャート:日足 23年12月以降
反落の局面では5日線と10日線の維持が焦点に
5月以降、プラチナ価格(XPT)は16%上昇している。10日線の乖離率を確認すると、4月の乖離率を超えている(下のチャート、青ラインを参照)。短期的な相場の過熱感は否めず、1,100ドルを突破した後の達成感による反落相場を警戒したい。
プラチナ価格が下値をトライする場合は、5日線の維持が最初の焦点となろう。この移動平均線は今日現在、1,063前後で推移している。
プラチナ価格が5日線を完全に下方ブレイクする場合は、10日線まで下落するかどうか?この点が焦点となろう。
10日線をトライするシグナルとして、直近高安のフィボナッチ・リトレースメント23.6%の水準(1,045レベル)と短期サポートラインの攻防に注目したい。これらテクニカル水準の下方ブレイクは、10日線をトライするシグナルと想定しておきたい。
プラチナ価格のチャート:4時間足 4月以降
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