ロックウェル・オートメーション(ROK)、PTCやシュルンベルジェとの戦略的提携を通じた「産業IoTプラットフォーム」の基盤拡充により中長期成長へ
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- 2019/9期3Q(4-6月)は売上高が前年同期比2.0%減、純利益が同31.6%増。為替変動の影響を除くオーガニック売上高は同0.5%増。
- セグメント別のオーガニック売上高は、設計・ソフトウェア事業が同1.9%減、制御製品・ソリューション事業が同2.7%増。
- 短期的にグローバル経済に係る景況感減速に左右されるリスクが残るが、中長期的にはPTCやシュルンベルジェとの戦略的提携を通じた「産業IoTプラットフォーム」の基盤拡充が成長に寄与しよう。
What is the news?
7/25発表の2019/9期3Q(4-6月)は、売上高が前年同期比2.0%減の16.65億USD、純利益が同31.6%増の2.61億USD。為替変動の影響を除くオーガニック売上高が同0.5%増、Non-GAAP基準の調整後EPSも同11.1%増の2.40USDと実質的には増収増益だった。石油ガス、紙パルプ、鉱業、ライフサイエンス、および情報ソリューション&接続サービス向けが同2桁台の増収率だったことが貢献した。また、2018/6に出資したPTC(PTC)の公正価値変動額が純利益の増益に寄与した。
セグメント別のオーガニック売上高は、設計・ソフトウェア事業が同1.9%減の7.68億USD、制御製品・ソリューション事業が同2.7%増の9.39億USD。地域別のオーガニック売上高は、北米が自動車・半導体・飲食品業界向けの減収が響いて同0.2%減の10.08億USD、欧州・中東・アフリカがライフサイエンス・石油ガス・タイヤ業界向けの寄与により同2.2%増の3.08億USD、アジア太平洋が中国向けの伸び悩み(同1桁台の増収率)により同1.1%減の2.33億USD、ラテンアメリカが鉱業および石油ガス向けの寄与により同6.3%増の1.16億USD。製品ライフサイクルの長い最終市場が堅調に伸びた一方、短い最終市場が弱含んだ。
How do we view this?
2019/9通期会社計画は、売上高が前期比0.5%減の66億USD、調整後EPSが同4.8-7.3%増の8.50-8.70USD。前回(2019/4)公表時(売上高が68億USD、調整後EPSが8.85-9.15USD)からは下方修正。同社は2018/6に製造業向け製品ライフサイクル関連ソフトウェアを提供するPTC(PTC)と資本業務提携を行い、2019/2にシュルンベルジェ(SLB)との間で、石油ガス業界初の完全統合自動化ソリューションを提供する合弁会社センシアを設立する契約を締結した。産業自動化とIoTの普及が進み大量のデータが超高速で流通する5G通信時代に向けて同社の「産業IoTプラットフォーム」の価値は高まろう。グローバル経済が減速する中で短期的に更なる下方修正リスクは残るが、中長期的な投資対象としての魅力は高まると期待される。2019/9通期の市場予想は、売上高が前期比0.6%減の66.29億USD、当期利益が同77.3%増の9.49億USDである。
配当予想(USD) 3.83 (予想はBloomberg)
終値(USD) 153.24 2019/8/19
会社概要
1903年設立。「設計・ソフトウェア」および「制御製品・ソリューション」の2つの事業セグメントを通じ、産業自動化と情報ソリューションを世界中の地域および幅広い業種の産業向けに提供する。主要ブランドとして「Allen-Bradley」と「Rockwell Software」を有する。
設計・ソフトウェア事業は、コントローラー、各種デバイス、通信ネットワーク製品、および複数の制御分野を実行してアプリケーションを監視する産業用コンピューターを含む自動制御プラットフォームを提供し、併せて自動制御プラットフォームを運用・監視する設定・視覚化ソフトウェア、プロセス制御および生産性向上のための各種ソフトウェアなどを提供する。制御製品・ソリューション事業は、低・中電圧の電気機械や電子モータースターター、回路保護デバイス、AC/DC可変周波数ドライブなどを提供し、併せてテクニカルサポートとメンテナンス、アセット管理、トレーニングなどのライフサイクルサポートサービスも提供する。
企業データ(2019/8/20)
ベータ値 1.13
時価総額(百万USD) 17,930
企業価値=EV(百万USD) 19,257
3ヵ月平均売買代金(百万USD) 152.6
1.ブラックロック 9.03
2.VANGUARD GROUP 7.59
3.UBS 銀行 4.63
(出所:Bloombergをもとにフィリップ証券作成)
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公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員補 増渕透吾
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