シノプシス、ファーウェイ関連の新規受注停止は通期計画に織り込み済み、米政権の5G関連公共投資の追い風に期待。
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- 2019/10期2Q（2-4月）は、売上高が前年同期比7.6％増、営業利益が同9.1％減、純利益が同15.4％増だったが、Non-GAAPの営業利益は同10.4％増であり、実質的には増収増益の好決算だった。
- 最新コンピュータや機械学習の基本設計への投資需要から全事業ともに増収だったが、セキュリティへの関心の高まりからソフトウエア・インテグリティ事業の売上高が同27.8％増と大きく伸びた。
- ファーウェイからの新規受注ストップは通期計画に織り込み済みであり、米政権による5G関連の公共投資積極化が追い風となろう。
What is the news?
2019/10期2Q（2-4月）は、売上高が前年同期比7.6％増の8.36億USD、営業利益が同9.1％減の1.15億USD、純利益が同15.4％増の1.18億USD。ただし、株式報酬費用・償却費用・構造改革費用を含む非現金費用を除いたNon-GAAPの営業利益が同10.4％増の2.09億USD、Non-GAAPの純利益が同7.9％増の1.78億USDと実質的には増収増益の好決算だった。AI・5G・IoT・ビッグデータの潮流が加速し、最新のコンピュータや機械学習の基本設計への投資需要の高まりが追い風となった。
セグメント別の売上高は以下の通り。EDA事業が同9.3％増の5.30億USD。TSMCに提供した「フュージョン設計プラットフォーム」が寄与した。IP・システムインテグレーション事業が同6.7％増の2.36億USD。Samsungに提供した「3Dデバイス・インテグレーション」が貢献した。ソフトウエア・インテグリティ事業が同27.8％増の8,610万USD。セキュリティ問題への関心の高まりが需要を後押しした。地域別の売上高は、欧州および日本が前年同期比で減収だったものの、売上構成比率53％の北米が同17.0％増の4.33億USD、売上構成比率28％のアジア太平洋が同8.5％増の2.40億USDと堅調だった。
How do we view this?
2019/10通期の会社計画は、売上高が前期比5.4-7.3％増の32.90-33.50億USD、Non-GAAPのEPSが同8.4-12.5％増の4.24-4.40USDである。同社の通期計画の幅は、米政権による「エンティティ・リスト」に指定された企業からの受注が見込めなくなる場合を想定した上で設定されており、仮にファーウェイへのサービス提供が解禁されれば、対計画比での業績上振れもあり得よう。その一方で、米政権は4/21に5G関連で地方の通信インフラ改善予算200億USD計上を公表しており、同社の業績を後押しすると見込まれる。また、同社は2/28に1.00億USDの自社株買戻しプログラム実施を発表したのに引き続き、6/14に5.00億USDの自社株買戻し枠設定を発表しており、株主還元に積極的な経営姿勢を示していることは評価されよう。
終値(USD) 134.89 2019/7/3
会社概要
1986年に設立。電子機器や半導体の設計作業を自動化し支援するEDA（Electric Design Automation）ツールを世界中の企業に提供し、企業による半導体チップの設計・検証を支援する。半導体産業は国家戦略的にも重要な産業であり、その半導体チップを設計するツールを開発・販売するEDAベンダーは、半導体設計用IP（集積回路の設計情報権利・資産）に係るベンダーと同様に重要なポジションを築いている。EDAベンダーは同業の買収によって同社を首位とする3社の寡占状態になっており、同社は特に論理合成ツールに強みを有する。 主な事業セグメントは、以下の3つである。①EDA。集積回路（IC）設計プロセスを自動化し検証するためのプラットフォーム、および関連する技術的なサービスとサポートを提供する。②IPおよびシステムインテグレーション。半導体集積回路に係るIP、電子システム統合ソリューション、および関連する技術的なサービスとサポートを提供する。③ソフトウエア・インテグリティ。多様な産業・分野にまたがったソフトウエアの開発に対してセキュリティおよび品質のテストのためのソリューションを提供する。
企業データ（2019/7/4)
ベータ値 1.08
時価総額(百万USD) 20,220
企業価値=EV(百万USD) 19,886
3ヵ月平均売買代金(百万USD) 120.4
1.VANGUARD GROUP 11.05
2.ブラックロック 8.23
3.T.ロウ･プライス･グループ 7.02
（出所:Bloombergをもとにフィリップ証券作成）
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公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員 国際公認投資アナリスト 笹木和弘
公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員補 増渕透吾
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