7日後場の東京株式市場で武田薬品工業が高い。アイルランド製薬大手シャイアーの買収を巡る株式発行数が確定したことなどが背景にある。
終値は前週末比280円(7.54%)高の3995円。前場で10%超上昇する場面があった。
武田は7日、シャイアーの買収対価として約7億7030万株の株式を発行すると発表した。1株あたり約30ドルの現金と今回発行する新株を組み合わせて、シャイアー株主が保有する株を取得する。発行済み株式数は現在の2倍になる。
また、足元の円高で買収額が従来想定より小さくなったことも買い材料だった。買収総額は約6兆3000億円になる見通し。昨年12月5日に開催されたシャイアー買収の是非を問う臨時株主総会の時点では、金額は7兆円弱とされていた。
武田はシャイアー買収後の年間連結売上高が313億ドル(約3兆4000億円)になるとの見通しを示した。2018年3月期の連結売上高は1兆7705億円だった。
資産売却進める
買収によって有利子負債は5兆円を超える見通しで、業績への重しとなる。不要な資産売却を進めて減らす方針だが、売却観測が浮上している大衆薬事業については、売却が最優先事項ではないと表明した。
一方、大阪にある本社ビルの売却を検討しているというが、本店所在地を大阪から動かす意図はないという。
武田は登記上の本社を大阪市に構えており、従来、東京・日本橋の拠点を東京本社と呼んでいた。この東京本社が入居するビルを500億円弱で高島屋に売却し、日本橋の別の場所に新たなビルを建設。昨年5月末からグローバル本社として業務を始めている。