アスクルが急反発、ヤフーに資本・業務提携の解消申し入れ

17日の東京株式市場でアスクル<2678>が急反発。同社が筆頭株主のZ Holdings Corporation＜4689.T＞に資本・業務提携の解消を申し入れたとする17日の日本経済新聞の報道が取引の材料になった。

終値は前日比283円（12.18％）高の2606円。大引け直前に2614円（12.53％高）のこの日の高値を付けた。

アスクルは値上がり率で東証1部で3位。出来高も大きく膨らみ、午後2時54分時点で702万800株となった。

アスクルは報道を受け「提携関係の解消協議を申し入れたことは事実」とのコメントを発表した。

ヤフーは1月、アスクルと共同で立ち上げた消費者向けインターネット通販サイト「LOHACO（ロハコ）」事業を譲渡するよう申し入れた。アスクルはこの提案を拒否し、それ以降両社の関係は悪化していた。資本・業務提携が解消されれば、独自路線での成長を目指すアスクルはロハコ事業を維持し、収益への悪影響が避けられるとの見方が広がった。

ロハコ事業は赤字が続いており、2019年5月期は約92億円の赤字となった。18年5月期は約76億円、17年5月期は約46億円の損失だった。

報道によると、アスクルはヤフーに代わる資本提携先として、複数の事業会社や投資ファンドと交渉している。

ヤフー、アスクル社長再任に反対

ヤフーは17日、アスクルが8月2日に開催を予定している定時株主総会で、同社の岩田彰一郎社長の再任議案に反対する議決権を行使すると発表。アスクルの低迷する業績の早期回復と中長期的な企業価値の向上、株主利益の最大化を実現するためには経営の若返りを図る必要があると判断したという。

ただ、岩田氏の再任案が否決された場合でも、アスクルの上場企業の独立性を重視し、新経営陣とアスクルの意向を尊重するとの考えを示した。

午後に入ると、18年11月時点でアスクル株11.63％を保有する大株主のプラスも、ヤフーに賛同して岩田社長の再任に反対する意向であることが報じられた。

ヤフーとアスクルは2012年に資本・業務提携を締結し、15年にヤフーがアスクルに45.1％を出資して連結子会社化した。

ヤフーの終値は1円（0.3％）高の329円。