モルガン・チェース・アンド・カンパニー、2019/12期1Q(1-3月)は純金利収益が好調に推移、利上げ停止だが通期の純金利収益は伸びる見通し
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4/9発表の2019/12期1Q(1-3月)は、総収益が前年同期比4.7%増の298.51億USD、純利益が同5.4%増の91.79億USD。EPSは2.65USDと市場予想の2.33USDを上回った。純金利収益は、金利上昇や融資残高の伸びが寄与し同8.6%増の144.53億USDと伸びた。非金利収益は同0.5%増の146.70億USD。収益認識基準の変更により前年同期の非金利収益は5.05億USD押し上げられており、これを除くベースでは同5%増。自動車リースや債券引受業務が好調に推移したほか、証券投資に係る損失もなくなった。非金利費用は、同2.0%増の163.95億USD。技術投資やマーケティング費用、賃料などが嵩んだ。自動車リース資産の減価償却費も増えた。貸倒引当金繰入額は同28.3%増の14.95億USD。コマーシャル&インダストリアル(C&I)セクターで一部顧客の債権区分が引き下げられた影響が出た。
セグメント別の業績は以下の通り。①コンシューマー&コミュニティバンキング事業(CCB)は、総収益が同9.2%増の137.51億USD、純利益は同19.2%増の39.63億USD。住宅ローンは減少したものの、消費者・中小企業向け銀行業務やカード、自動車リースが伸びた。②コーポレート&投資銀行事業(CIB)は、総収益が同6.1%減の98.48億USD、純利益が同18.2%減の32.51億USD。債券引受業務が伸びたものの、株式・債券市場業務が落ち込んだ。収益認識基準の変更の影響を除く調整後のトレーディング収入は、株式が同8%減、債券が同10%減だった。③コマーシャルバンキング事業(CB)は、総収益が同7.9%増の23.38億USD、純利益が同2.7%増の10.53億USD。④アセット&ウェルスマネジメント事業(AWM)は、総収益が同0.4%減の34.89億USD、純利益が同14.2%減の6.61億USD。
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2019/12通期計画は、純金利収益が580億USD(前期実績:557億USD)、総費用が660億USD(同:634億USD)、純貸し倒れ償却が55億USD(同:49億USD)。FRBの利上げは打ち止めとなったものの、純金利収益は伸びる見通し。ダイモンCEOは「世界の地政学的不透明にも関わらず経済は成長を続け、雇用・賃金は上昇している。インフレは穏やかで金融市場は健全である。消費者、企業の信頼感は依然強い」と述べた。
終値(USD) 109.94 2019/4/15
会社概要
米国NYに本社を置く世界有数のグローバル総合金融サービス会社。総資産、収益力、時価総額で世界屈指の規模を誇る。2000年にザ・チェース・マンハッタン・コーポレーションとJ.P.モルガン・アンド・カンパニーが合併、さらに、2004年にバンク・ワン・コーポレーションと合併。また、2008年にはザ・ベアー・スターンズ・カンパニー・インクを買収、ワシントン・ミューチュアルの預金、資産、負債の一部を取得し、現在のJPモルガン・チェース・アンド・カンパニーが誕生。
投資銀行、証券取引、資金決済、証券管理、資産運用、プライベート・バンキング、コマーシャル・バンキング、コンシューマー・コミュニティ・バンキングなど多岐にわたる金融サービスを提供。グローバルに展開する法人向け事業は「J.P.モルガン」、米国で展開している中小企業や個人向け事業は「チェース」ブランドを用いている。
企業データ(2019/4/16)
ベータ値 1.07
時価総額(百万USD) 357,070
企業価値=EV(百万USD) -
3ヵ月平均売買代金(百万USD) 1,390.2
1.VANGUARD GROUP 7.98
2.ブラックロック 6.65
3.ステート・ストリート 4.63
(出所:Bloombergをもとにフィリップ証券作成)
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公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員 国際公認投資アナリスト 笹木和弘
公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員補 増渕透吾
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