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株安局面での外為市場の動向 / ドル円の見通しとチャートポイント

再び金融システム不安が再燃するムードにある。株安局面で外為市場のトレンドを考える時に注目したいこととは?今日のドル円の見通しは?そして注目のチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。

出所:ブルームバーグ 出所:ブルームバーグ

サマリー

・25日の外為市場はリスク回避相場を受け円買い優勢の展開に
・株安局面での外為市場の動向について
・リスク回避の局面では「米ドル買いvs円買い」の戦いになりやすい
・ドル円、今日の見通しとチャートポイントについて


リスク回避相場と円買い

25日の主要な欧米株価指数は下落して終えた。期末の預金が22年末比で4割超減少したことが2023年1〜3月期の決算で判明したファースト・リパブリック・バンクは49%の急落となった。

この影響は他の地銀株だけでなく金融セクター全般に広がり、米国株の下落をけん引した。また、景気の先行きリスクが意識され代表的な輸送株20銘柄で構成されるダウ輸送株20種指数は3.6%下落した。

一方、米債市場ではリスク回避相場を受け、米国債を買い戻す展開となった。10年債利回りは3.37%と、2週間ぶりの水準まで低下した。一方、金融政策の方向性を織り込んで動く2年債利回りも今月14日以来となる4.0%割れの状況にある。

株安と米金利の低下という典型的なリスク回避相場では、外為市場で円高の圧力が高まりやすい。昨日は、ドル円(USDJPY)とクロス円が総じて下落した(円高の展開となった)。

円相場の動向:4月25日

円相場の動向:4月25日 ブルームバーグの為替データをもとに作成 / 基準日4月24日

株安局面と外為市場の動向

株安と米金利の低下が同時に発生する場合

昨日のような株安の局面で外為市場のトレンドを考える時、注視すべきは米金利の動向である。

現在は、金融システム不安とそれに伴う景気減速のリスクが意識されやすい状況にある。ゆえに市場では、株安と米金利の低下(米債買い)が同時に発生しやすい状況にある。

この状況下での外為市場では、円高の圧力が高まりやすい。「米金利の低下→米ドル安」によるドル円(USDJPY)の下落と株安(リスク回避)によりオセアニア通貨や資源国通貨の売り圧力が高まるためだ。実際に昨日の円相場は、資源と関わりの深い通貨を中心に円買い優勢となった(上のパフォーマンスチャートを参照)。

株安と米金利が上昇する状況では

一方、インフレのリスクが意識され米金利の上昇が株安の要因となるケースでは、外為市場で米ドル買いの圧力が高まりやすい。米金利の上昇と株安(リスク回避)の両方が米ドル買い要因となる一方、リスク資産と連動しやすい通貨の売りが高まるためだ。

株安は円高の要因である。しかし現在は、日銀と海外中銀の政策スタンスの差が意識され、円安の圧力が高まりやすい状況にある。ゆえにドル円(USDJPY)は、米金利上昇の影響が大きく作用し堅調地合いを維持する状況にある。

一方、このケースではクロス円の上値が重くなりやすい。ドル円の上昇を他のドルストレートでの米ドル買いが相殺するからだ(例えば、ユーロや豪ドルが対米ドルで下落することによるユーロ円豪ドル円の下落)。

リスク回避相場と外為市場の動向

リスク回避相場と外為市場の動向

米ドル買いvs円買い

冒頭で述べたとおり、昨日の外為市場は欧米の株安と米金利の低下が同時に発生したことで、円買い優勢の展開となった。同時に米ドル買い優勢の展開ともなった。米ドル相場のトレンドを示すドルインデックス(DXY)の動向を確認すると、21日MA(101.90レベル)をトライする展開が続いている。

一番上の円相場のパフォーマンスチャートをあらためて確認すると、円は米ドルに対して上昇している。しかし、その幅は主要通貨の中で最も低かった。この動向は、リスク回避相場の局面では外為市場で「米ドル買いvs円買い」の戦いになりやすいことを示唆している。

そして株安と米金利の低下が同時に発生する局面では、ドル円(USDJPY)が下落しやすい状況にあることも示唆している。

ドルインデックスのチャート

ドルインデックスのチャート TradingViewの日足:2月以降

ドル円の見通しとテクニカル分析

目先のトレンドは株式の動向次第

今日のドル円(USDJPY)は、株式にらみ展開が予想される。その株式市場は再び金融システム不安と景気の減速リスクを意識する状況にある。ゆえに株安と米金利の低下が同時に発生する可能性を考え、ドル円の下値トライをより警戒しておきたい。

特に米国株が下落する場合、ドル円は21日MA(133.19レベル)を視野に下落することが予想される。この移動平均線の維持に成功する場合は、反発の局面で3月高安の61.8%の水準134.75レベルを意識する状況が続くだろう。

逆に株安と米金利の低下が同時に進行する場合は、21日MAの下方ブレイクと現在の上昇相場を象徴している短期サポートラインのトライを想定しておきたい。後者のラインは今日現在、131.80前後で推移している。

なお、通貨オプション市場のリスクリバーサルの動向を確認すると、1ヶ月(1M)と3ヶ月(3M)のそれらはともにドルプットへ急速に傾いている。植田日銀による金融緩和政策の維持は円安要因だが、ドル円のトレンドは海外市場の動向次第である。

ドル円をリスクリバーサルの動向

ドル円をリスクリバーサルの動向 ブルームバーグのデータをもとに作成 / 日足:年初来

反発局面での注目点

今日はメタ・プラットフォームズ(META)やボーイング(BA)などの主要企業が決算を発表する。企業決算が金融システム不安を相殺する要因となれば、米国株と米金利が反発する可能性がある。ドル円(USDJPY)も同じ展開となろう。

ドル円の反発局面では、上で述べた61.8%の水準134.75レベルのトライが焦点だが、このレジスタンスポイントを目指すシグナルとして注目したいのが、10日MA(133.92レベル)の攻防である。現在のドル円は、この移動平均線を下抜ける状況にある。反発の局面で10日MAがレジスタンスラインへ転換する場合は、上昇圧力が後退していることを市場参加者に印象付けよう。

MACDは、横ばい推移から低下のムードにあり上昇圧力の後退を示唆している。ゆえに、ドル円の反発局面で10日MAすら突破できない状況が確認される場合は、明日以降の下落相場を警戒したい。

ドル円のチャート


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