銀価格は節目の30ドル突破が目前に、反落相場では28ドルの維持が焦点に
スポット金価格(XAU)の上昇に追随し、スポット銀価格(XAG)は21年2月26日以来となる30ドルを視野に上昇幅が拡大している。米国の利下げ観測、そして産業用の銀需要の拡大が予想される状況を考えるならば、銀価格は30ドル以上の攻防へシフトすることが予想される。しかし、目先は調整の反落を警戒したい。注目のチャートポイントは?
サマリー
・スポット銀価格は、30ドルを突破し中期的に上昇トレンドを形成するだろう
・だが、今の金銀レシオは低下トレンドにあり、銀価格の下落を警戒する必要がある
・銀価格の下落局面では、28ドルの維持が焦点となろう
・銀価格が28ドルを目指すサインとして、2つのサポート水準での攻防に注目したい
節目の30ドルが視野に入る銀価格
スポット銀価格(XAG、以下銀価格)の上昇が止まらない。現在は、21年2月26日以来となる30ドルのトライ&ブレイクを意識する状況にある。金価格と比べて相対的に割安であることが銀価格上昇の一因となっている。
そして銀の産業需要の拡大も重要な相場の下支え要因となっている。シルバー・インスティチュートは、24年の銀の産業用需要について、23年の6億5440万トロイオンス(前年比11%増)に続き7億1090万トロイオンスと、23年比で9%増える見通しを示した。一方、供給は23年比で1%減の見通しとなっている。
需給のひっ迫は、資源価格の重要な押し上げ要因である。ゆえに、銀価格は節目の30ドルを突破し、中期的に上昇トレンドを形成することが予想される。
銀価格が30ドル台の攻防へシフトする場合は、1ドルレンジで新たなレジスタンスの水準を見極めることが焦点となろう。
銀価格のチャート:日足 21年以降
目先は調整の反落を警戒
金銀レシオの低下
中期的な上昇が見込まれる銀価格(XAG)だが、目先は調整の反落相場を想定しておきたい。
この点を金銀比価(以下では金銀レシオ)の観点から考えると、現在の金銀レシオは、銀価格の上昇相場が始まった23年以降の平均を下回る状況にある(下のチャート、赤ラインを参照)。
金銀レシオの上昇は、相対的に金の価格が銀のそれと比べて割高であることを示す。一方、金銀レシオの低下は、相対的に銀の価格が金のそれと比べて割高であることを示す。
金銀レシオが平均を下回る今の状況は、相対的に銀価格が金のそれと比べて割高の状況にあることを示唆している。
金銀レシオと銀価格の関係
注目は23年以降の金銀レシオと銀価格の関係である。下のチャートで示したとおり、金銀レシオが80前後まで低下すると銀価格が下落していることが分かる(下のチャート、赤ゾーンを参照)。
現在の金銀レシオは80.41まで低下している(下のチャート、紫の丸枠を参照)。昨年11月下旬の80.58を下回る水準である(下のチャート、赤丸枠を参照)。
短期間で銀価格の上昇幅が拡大するなか、米連邦準備制度理事会(FRB)の高官が利下げについて慎重姿勢を貫き、短期金融市場の9月利下げ確率が60%台から再び50%台へ低下する状況にある。そしてリスク資産の米国株も最高値を更新し、調整売りが出やすい局面にある。
今の銀価格は、さらなる上昇トレンドを形成する前の調整(反落相場)を警戒しておきたい。
金銀レシオと銀価格のチャート:日足 23年以降
銀価格のチャート分析、反落局面では28ドルの維持が焦点に
焦点は28ドルの維持
金銀レシオの低下に加えて、日足のストキャスティクスとRSIは買われ過ぎの水準で推移している(下のチャート、赤矢印を参照)。前者のストキャスティクスがデッドクロスの状況にあることも、短期的な調整相場(反落)を意識する必要性を示唆している。
今日以降、銀価格(XAG)が反落する場合、最初の焦点は直近高安の半値戻しの水準28ドルの維持となろう。この水準を上方ブレイクした後、銀価格は29ドル台へ一気に上昇した。また、5月10日の反落相場をサポートした経緯がある。
28ドルのトライを見極めるためのサポート水準
銀価格が28ドルをトライするシグナルとして、2つのチャート水準での攻防に注目したい。
最初のポイントは、29ドルである。すぐ下の28.94レベルは、フィボナッチ・リトレースメント23.6%にあたる。
21年以降の動向を確認すると、29ドルのサポート転換が確認される場合は、さらなる上値トライのシグナルとなろう(一番上の日足チャート、赤ラインを参照)。
銀価格が28ドル台へ反落する場合は、28.50レベルの攻防が焦点に浮上しよう。すぐ下の水準28.38レベルはフィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準にあたる。この水準もサポート転換の見極めが焦点となろう。
なお、今日現在10日線が28.40レベルまで上昇している(下のチャート、青ラインを参照)。テクニカルの面で28ドル半ばは、重要なサポート水準と意識しておきたい。
銀価格のチャート:日足 24年4月以降
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