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リスク回避の再来を警戒

5月に入り外為市場の状況に変化が見られます。その変化は、リスク回避相場の再来を示唆するシグナルとして捉える必要があります。そのシグナルとは?今日のドル円の焦点は?マーケットレポートをご参照ください。

Source: Bloomberg Source: Bloomberg

じわじわと高まる米ドルの調達コスト

5月に入り、米国の株式市場は上値の重い状況が続いている。だが、下落幅は限定的である。また、ボラティリティが低下基調を辿っている状況も考えるならば、投資家心理が悪化しているわけではない。しかし今月以降は、この心理が悪化する可能性がある。この点を示唆しているのが、カレンシーベイシススワップ市場の動きである。NY原油先物価格が初のマイナスとなった4月20日以降、米ドルの調達コストがじわじわと上昇している。実際に円やユーロから米ドルへ交換するコストの推移を確認すると、再びマイナス圏へ低下している。この状況は、円やユーロの保有者が、金利の価値を減価してでも米ドルを調達する動きが徐々に高まっていることを示唆している。米国をはじめとした主要国が社会活動の再開へ舵を切ったにもかかわらず、米ドルの調達コストが再び上昇基調にあるということは、実体経済の先行きに対する警戒心が企業間で再び高まっているシグナルとして警戒したい。

米ドルの調達コスト

カレンシーベイシススワップ市場 ドル 円 ユーロ ドル調達コスト

同時に高まる米ドル高と円高の圧力

現時点でリスク回避のムードが高まっているわけではないが、カレンシーベイシススワップ市場と同じく外為市場でも、今後リスク回避相場の再来を警戒する動きが見られる。5月以降のパフォーマンスを確認すると、主要通貨に対し総じて米ドル高圧力が高まっていることがわかる。より注目すべきは、ドル円のパフォーマンスである。唯一のマイナスとなっている。クロス円が総じて下落している状況も考えるならば、現在の外為市場では、米ドル高圧力と同時に円高圧力が高まっていることがわかる。円高圧力はリスク回避相場で高まる傾向が見られる。米ドルの調達コストがじわじわと上昇し、それに伴い米ドル高圧力が高まり、それ以上に円高圧力が高まっている現在の状況は、5月以降のリスク回避相場の再来を警戒すべきシグナルとして捉えておきたい。

米ドル相場のパフォーマンス

騰落率 米ドル 米ドル高 円高

序列が変化した米ドルと日本円

5月以前、リスク回避の局面では円高よりも米ドル高優勢の展開が見られた。しかし、現在はその序列が変化し、リスク回避の円高を意識する局面にある。リスクリバーサルやインプライドボラティリティに大きな変動が見られないことを考えるならば、本日のドル円はレンジ内での攻防が予想される。トレンドは株式動向次第だが、米株が続落する場合は円高圧力の高まりを予想し、105円台の攻防を注視する必要があろう。そのような展開となる場合、まずはビッドが観測されている105.70および105.50の攻防が焦点となろう。可能性は低いが105.50を完全に下方ブレイクする展開となれば、フィボナッチ・リトレースメント61.80%の水準にあたる105.20の攻防が焦点として浮上しよう。
一方、米株が反発する場合は、昨日高値106.62レベルの突破が焦点となろう。これを達成する場合は、4月6日高値109.37を起点とした短期レジスタンスラインの攻防に注目したい。このラインは今日現在、107.00のすぐ下で推移している。106.70および107.00にはオファーの観測あり。

ドル円チャート

USDJPY ドル円

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