ペイパル・ホールディングス(PYPL)、決済プラットフォーマーのデータ分析力を武器に銀行業務の中核分野で大手銀行からシェアを奪取へ
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- 2020/12期1Q(1-3月)は売上高が前年同期比11.9%増、純利益が同87.4%減、貸倒損失準備金の影響を除く調整後EPSが同25.8%増。
- 2020/4の月次業績は、外出規制に伴うオンライン販売増加により営業収益、新規稼働口座数、総取扱金額ともに2020/3から改善した。
- 決済プラットフォーマーのデータ分析力を武器に銀行業務の中核分野で大手銀行からシェアを奪うことで成長が見込まれよう。
What is the news?
5/6発表の2020/12期1Q(1-3月)は、営業収益が前年同期比11.9%増の46.18億USD、純利益が同87.4%減の4.62億USD。Non-GAAPの調整後純利益は同横ばいの0.66USDだったが、マクロ経済見通しの悪化による貸倒損失準備金の追加計上の一時的要因を除けば同25.8%増の0.83USDだった。フリーキャッシュフロー(FCF)は同60.4%増の12.98億USDとなった。総稼働口座数が2020/1のHoney社買収効果もあり同17.3%増の3.25億口座となり、総取扱金額が同18.6%増の1,910億USDとなった。その一方、新型コロナウイルス感染によるユーザーの休業や失業に伴う支出減少が響き、総取扱金額が前四半期比4.0%減の1,910億USD、営業収益が同6.9%減だった。
同時に発表された2020/4の月次業績(為替の影響を除く)は、営業収益が前年同月比20%増、新規稼働口座数が同2.4倍の740万口座(前月比90%増)、総取扱金額が前年同月比22%増の680億USD。これに対し、2020/3の月次業績(為替の影響を除く)は営業収益が同5%増、総取扱金額が同7%増。新型コロナウイルス感染予防のための外出規制に伴うオンライン販売の増加が2020/4の業績改善に貢献した。
How do we view this?
2020/12期2Q(4-6月)の会社計画は、増収率が前年同期比13%以下、貸倒損失準備金計上の影響を除く調整後EPSが同15-20%増。ただし、新型コロナウイルス感染拡大の影響が不透明なことから2020/12通期の会社見通しを撤回した。トランプ大統領が4/24に署名した4,800億USDの追加経済対策では、全雇用の5割弱を占める中小企業の就労対策として給与の支払いを肩代わりする特別資金(6,600億USD)の資金供給のため、大手銀行だけでなく同社などのフィンテック企業も仲介役に選定された。同社は飲食店など大手銀行にチャネルを持たない零細企業が政府資金を得やすくすることに貢献している。今後は決済や融資など銀行業務の中核分野で同社のようなオンライン決済プラットフォーマーがデータ分析力を武器に大手銀行からシェアを奪う可能性があろう。2020/12通期の市場予想は、売上高が前期比13.2%増の201.21億USD、当期利益が同13.4%減の21.28億USDである。
配当予想(USD) 0.00 (予想はBloomberg)
終値(USD) 146.24 2020/5/18
会社概要
1998年設立の電子決済企業。2002年にオークションサイトのイーベイ(EBAY)に買収されて子会社となった後、2015年に独立。同社は、世界中の消費者および販売者に代わってデジタルおよびモバイル決済を可能にするテクノロジープラットフォームを運営しており、その支払いソリューションには、PayPalやPayPal Creditに加え、電子商取引企業向けモバイルおよびウェブ決済システムのBraintree、個人間送金アプリのVenmo、電子送金プロバイダーのXoom、およびスウェーデンの決済プラットフォームであるiZettle製品が含まれている。
同社の支払いプラットフォーム上では、消費者が支払いの送受信や銀行口座からの資金引き出しを行うに際し、PayPalアカウントの残高を100以上の様々な通貨で保持して決済に利用することができる。また、加盟店がクレジットカードまたはデビットカードやデジタルウォレットを使用してオンラインで支払いを受け付けるゲートウェイサービスも提供しており、支払先にクレジットカード番号を教えることなく、安全かつ迅速に支払いができることで定評がある。
企業データ(2020/5/19)
ベータ値 1.08
時価総額(百万USD) 171,683
企業価値=EV(百万USD) 170,238
3ヵ月平均売買代金(百万USD) 1,242.5
主要株主(2020/5) (%)
1.VANGUARD GROUP 8.15
2.ブラックロック 6.41
3.FMR 5.16
(出所:Bloombergをもとにフィリップ証券作成)
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