Market Analysis
米株の不安定な状況が続いている。だが、ボラティリティ(VIX)を確認すると25ポイント付近で抑制された状況となっている。今週も米株は上下に大きく振れるだろう。だが、以下で述べる米国イベント次第で投資家のヒステリックな売りは徐々に後退していくことが想定される。
米株のトレンド決定要因として、引き続き四半期決算の内容を注視したい。本日のフェイスブックやコカ・コーラを皮切りに、11月1日にはアップルそして翌2日にはエクソンモービルやシェブロンといった主要企業の決算発表が予定されている。焦点は今後の見通しにあろう。この点で各企業が強気の見方を示すならば「米株反発→米長期金利の低下圧力後退→米ドル高」の展開を想定したい。逆に厳しい見方が優勢となれば(この場合国際貿易摩擦の影響が指摘されよう)、逆の展開を警戒したい。四半期決算以上に注視すべきは、米指標データである。決算で米株に売り圧力が高まっても、堅調なファンダメンタルズ自体が崩れない限り、米株がこのままダウントレンドを形成する可能性が低いことは2018年のトレンドが示している。特に注視すべきは10月ISM製造業指数と同月雇用統計となろう。
今週のドル円の攻防分岐は、5月安値108.10を起点とした短期サポートラインとなろう。このラインを維持する展開となれば、112.50レベルを上限に戻り高値を探る展開となろう。逆にこのラインを下方ブレイクする展開は、米決算と指標データが総じて市場予想を下回る場合だろう。このケースでは、米株安と金利低下に直面することで節目の110.00をトライする展開を警戒したい。また、110.00トライの材料として国際貿易摩擦直撃の影響も警戒したい。トランプ米大統領は27日、米インディアナ州で開催された農業団体の集会で日本車に20%の関税を課すと指摘。この発言が自動車セクターを中心とした日本株の下落圧力をさらに高める要因となれば、アジア時間から「米ドル安/円高」圧力が高まる局面が見られよう。
一方、ユーロドルは米長期金利の低下を意識した反発局面が見られよう。だが、景気減速に直面する欧州経済とイタリアの財政リスクを考えるならば、21MA前後(今日現在1.1495レベル)までの反発が限界と想定したい。一方、下値の攻防分岐は1.1300(8月15日安値1.1297)となろう。この重要サポートポイントを下方ブレイクする展開は、米国市場がリスク選好相場へ回帰するムードが高まっている状況が想定される(つまり株高により米独利回り格差が再び拡大する状況が想定される)。
【チャート①:ドル円】