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上値の重い米株 株高の恩恵を受けてきた豪ドルにとってはネガティブ / ブラジルレアルは新型コロナウイルスの感染拡大が懸念材料

今日のサマリー。株高の調整は豪ドルにとってネガティブな要因。豪ドル円のトレンドは豪ドル/米ドルの動向次第。ブラジルレアルはコロナショックに直面。詳細はマーケットレポートをご覧ください。

Source: Bloomberg Source: Bloomberg

上値の重い米株 株高の恩恵を受けてきた豪ドルにとってはネガティブ

昨日の米国の株式市場は、ナスダック指数が相変わらずの強さを見せる一方、ダウ平均や多くの機関投資家がベンチマークとするS&P500指数は、売り買いが交錯する上値の重い展開となった。
ボラティリティの急な拡大が見られない状況を考えるならば、現在は、異常なスピードで進行した株高を調整する局面にあると考えられる。

現在の外為市場は、株式動向の影響を受けやすい相場環境となっているが、中でも豪ドルはその代表格となる通貨である。

事実、3月23日に米連邦準備制度理事会(以下FED)が、無制限の金融緩和政策を決定して以降、豪ドルは対米ドルで上昇基調を維持してきた。

対日本円でも同様に、3月19日の安値59.90から76.77(6/8高値)まで上昇一辺倒の展開が続いた。

しかし、先週の後半から米株の上値が徐々に重くなると、豪ドル相場もそれに引きずられるように反落基調へ転じている。

株式市場との関係を具体的な数値(相関係数)で確認すると、豪ドル/米ドルとは0.73と、高い順相関の関係にあることを示している。
一方、資源価格とは0.33と、ある程度の順相関の関係は見られるが、株式ほどではない。

よって、株式市場、特に米株が調整相場にある限り、豪ドル相場も上値の重い展開が続こう。

豪ドル相場と他の市場との相関関係

豪ドル/米ドルと世界の株式および資源価格との相関関係マトリクス

ドル円がこう着状態にあることを考えるならば、豪ドル円のトレンドは、豪ドル/米ドル(AUD/USD)の動向に左右されよう。

そのAUD/USDは現在、0.70がレジスタンスポイントとして意識されている。
短期のリスク・リバーサル(1週間と1ヶ月)が低下基調にある状況も考えるならば、引き続き2つのサポートラインの攻防となるかどうか?この点に注目したい。

0.6250(4/21安値)を起点としたラインは、今日現在0.6740レベルで推移している。一方、0.5978(4/3安値)を起点としたラインは0.66レベルで推移している。

豪ドル/米ドルのチャート

AUDUSD(豪ドル/米ドル)の日足チャート リスクリバーサルのチャート


ブラジルレアルは新型コロナウイルスの感染拡大が懸念材料

豪ドルと同じく、ブラジルレアルも5月以降から株高トレンドとの連動性を高めてきた通貨である。

しかし、米株の上値が重くなった先週以降、ブラジルレアルは対米ドルで再び下落基調へ転じている。

株式の動向も重要だが、筆者がそれ以上に重要と考えているのが、ブラジル国内における新型コロナウイルスの感染拡大である。

現在の感染状況を確認すると、ロシアを抜いて世界第2位となり、感染の拡大が止まらない。
それに伴い死者数も世界第2位となっている。

新型コロナウイルスの問題は、ブラジル社会の停滞と財政リスクに直結するため、この状況が続く限り、レアル安トレンドが続く可能性が高い。

目先の焦点は、5月の高値と6月の安値のフィボナッチ・リトレースメント50.00%の水準5.39前後となろう。
新型コロナウイルスの感染拡大が続けば、このレベルを突破し、61.80%の水準5.5レベルを視野に、レアルの下落トレンドが継続する展開を予想する。

一方、感染拡大が続いても、株式市場が再び上昇トレンドへ戻るならば、5.0の節目を再びトライする展開を予想する。
だが、肝心の感染拡大が止まらない限り、6月8日の高値4.82前後のトライや上抜ける可能性は低いと予想する。

米ドル/ブラジルレアルのチャート

USDBRL(米ドル/ブラジルレアル)の日足チャート フィボナッチ・リトレースメントのチャート

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