米ドル安トレンドと金利の関係について / ドル円のチャートポイント
今日のポイント:『実質金利の低下に連動して米ドル相場も低下基調を辿っている。FEDの金融緩和政策が続く限り、実質金利の低下基調と米ドル安トレンドは続く可能性が高い。ドル円のチャートポイントについて』。詳細はマーケットレポートをご覧ください。
米ドル安トレンドと金利の関係について
昨日の米国市場では米株が上昇し、米長期金利(以下では米金利)は低下した。
株高のトレンドに追随できない米金利という状況を受け、外為市場での米ドル買いは限定的となった。
今年の2月から3月にかけてコロナショックが発生した。それ以降の米ドル相場と実質金利の動向を確認すると、ほぼ同じトレンドを描いていることがわかる。
実質金利は、私たちが世の中で目にする表面上の金利である『名目金利』から、家計や企業、そして市場関係者らが予想する物価の変動率である『期待インフレ率』を差し引いて算出される(実質金利=名目金利-期待インフレ率)。
その実質金利は、コロナショック以降、恒常的にマイナス圏で推移している。『期待インフレ率>名目金利』の状況となっているからだ。
大規模な景気対策により期待インフレ率は上昇基調にある。今後も指標データで景気の回復が確認される状況が続けば、期待インフレ率は緩やかに上昇していくだろう。
問題は名目金利の方である。
景気の回復期待が高まっているにもかかわらず、5年債利回りは0.4%台、10年債利回りは0.9%台でそれぞれ上昇が抑制されている。
これからも金利が上昇する局面は見られるだろう。だが、FEDの金融緩和政策が続く限り、名目金利は低い水準で推移し続ける可能性の方が高い。
よって、実質金利の上昇も抑制されることになろう。実質金利が上昇しなければ、外為市場では米ドル安優勢のトレンドが続く可能性が高い。
実質金利と米ドル相場の関係
ドル円のチャートポイント
株高のトレンドが続く一方、米金利の上昇は抑制されている。このためドル円は『米ドル安vs円安』の戦いとなり、103.65-104.75レンジで上下に振れる展開が続いている。
目先は上限(104.75)と下限(103.65)のどちらをブレイクするか?この点が焦点となろう。
株高の局面で米金利が上昇する局面では104.75を目指す展開を意識したい。この水準を上に抜ければ、次の焦点は105円台の再上昇となろう。105.00にはオファーが観測されている。
一方、昨日のように株高のみのリスク選好相場となるか、米株高が崩れる局面では103.65のブレイクを意識したい。後者のケースでは、米金利も同時に低下する可能性が高い。
よって、11月の安値103.15を視野に下落幅が拡大する展開を警戒しておきたい。103.20および103.00にはビッドの観測あり。
ドル円のチャート
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