ユーロドルがレンジを上方ブレイクした理由と目先のチャートポイント
今日のサマリー。ユーロドルが1.10のレジスタンスポイントを突破した理由は何か?経済活動の再開や復興基金が本当にユーロ買いの要因となったのか?そして短期的なユーロドルのチャートポイントは?詳細はマーケットレポートをご覧ください。
ユーロドルがレンジを上方ブレイクした直接の要因とは
ドル円が「米ドル安vs円安」の戦いに明け暮れている最中に、ユーロドルはレジスタンスとして意識されていた1.10を完全に突破する展開となっている。
経済活動の再開や7500億ユーロのコロナ復興基金の創設がユーロ買いの要因として指摘されている。
だが、これらについては各国も同じように経済滑動の再開に踏み切り、景気の支援策を打ち出している。
よって、上記の材料が直接ユーロ相場に影響し、ユーロ買い圧力を高めた、という説明力はいささか弱いと筆者は考えている。
では、ユーロ買い圧力が高まった直接的な要因は何か?
筆者は、米国とドイツの金利動向にあると考えている。
特に10年債利回りの動向が重要である。直近の動きを確認すると、米国の金利が0.60-0.70%台のレンジ相場を維持する一方、ドイツの金利は5月に入ると上昇基調へ転じている。
特に5月下旬以降、上昇幅が拡大している。
この結果、米独の10年債利回り格差は縮小傾向にある。
そして利回り格差の縮小に歩調を合わせ、ユーロドルは先月18日以降に上昇圧力が高まり、1.10のレジスタンスポイントの突破に成功した。
つまり、経済活動の再開や復興基金が影響を及ぼした市場は、欧州の債券市場ということになる。
その債券市場でドイツの10年債利回りが上昇し、且つ米国のそれが横ばい水準を維持しているが故に、ユーロドルが上昇した。
つまり、ユーロドル上昇の直接的な要因は「米独利回り格差の縮小」にある、と筆者は考えている。
ユーロドルと米独利回り格差の動向
では、このままユーロドルは上昇し続けるのか?
この点をリスクリバーサル(1週間物)で確認すると、緩やかな上昇基調にある。
短期的にユーロドルは堅調地合いを維持することが予想される。
しかし、インプライドボラティリティ(1週間物)の水準を確認すると、5月下旬に5%台から7%台まで上昇する局面は見られたものの、その後は低下基調にある。
よって、短期的に堅調地合いは維持するも、上昇の余地は限られると予想する。
ユーロドルの短期的な展望
ユーロドルの上限を1.1240と想定 下値の焦点は1.10の攻防
現時点では、1.1240レベルを上限と想定している。
この水準は、昨年12月31日と今年3月16日に相場の反転を抑制し、上ヒゲが示現した経緯がある。
このレジスタンスポイントをトライするシグナルとして、まずは今年3月高安の61.80%戻しの水準にあたる1.1165レベルの突破が焦点となろう。
すぐ下の水準1.1160ではオプションバリアの攻防が予想される。
1.1160台の突破に成功する場合は、1.1200の突破が次の焦点となろう。
1.1200にはオファーが観測されている。
一方、下値の焦点は、これまで相場を抑制してきた1.10がサポートへ転換するかどうか、この点が重要となろう。
1.10の維持に成功するならば、レンジの水準が切り上がる可能性が高まろう。
逆にあっさりと下方ブレイクするならば、1.08-1.10をレンジとした売り買い交錯へ逆戻りする展開を想定する。
ユーロドルのチャート
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