今のリスク回避相場では円が最強通貨になりやすい / ドル円とポンドドルの焦点
今日のポイント:『米金利が低下する中で株安となれば円が最強通貨となりやすい。ドル円は短期サポートラインの攻防となるか?この点に注目。ポンドドルは引き続き強気の見通しを維持』。詳細はマーケットレポートをご覧ください。
今のリスク回避相場では円が最強通貨になりやすい
20日の米国市場は株安、金利低下の展開となった。
典型的なリスク回避相場を受け、海外外為市場では円高優勢の展開となった。
同時に米ドル買いの圧力も高まったが、ドル円の下落が示すとおり『米ドル買いvs円買い』の綱引きは、円買いに軍配が上がった。
円買い優勢となった要因は、米長期金利(以下では米金利)の動向にある。
米金利が上昇基調にある中での株安は、米ドル買いの圧力を高める。しかし、米金利が低下しているタイミングでの株安では、円が最強通貨となりやすい。
現在、世界では新型コロナウイルスの感染が拡大傾向にある。
この点が意識され、4月以降米国の株式市場では航空関連、レジャーやクルーズ関連の株価が下落する一方、ヘルスケア関連の株価が上昇している。
このタイミングでネットフリックス(NFLX)のように主要企業の決算ミスが続く場合、『米株売り → 米債の買戻し → 円買い』のトレンドが続くことが予想される。
米長期金利のチャート
ドル円は短期サポートラインの攻防が焦点に
米金利の上昇が抑制されコロナリスクが再燃しつつある現在の状況を考えるならば、ドル円は下値トライを警戒したい。
テクニカル面での焦点は、短期サポートラインの攻防である。このラインは今日現在107.70レベルで推移している。
107.76はフィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準にあたる。
108.00が底堅いだけに、この水準をブレイクした後は、一気に107.70台をトライする可能性がある。
ドル円の上昇トレンドを象徴する短期サポートラインの下方ブレイクは、トレンド転換のシグナルとして捉えたい。
このケースでは、今日以降107円のブレイクおよび50%戻しの水準106.77レベルを視野に下落する可能性を意識したい。
すぐに上には75日MAが推移している。このMAは、昨年の6月から今年の1月を通してドル円の上値を抑制し続けた経緯がある。
75日MAがレジスタンスラインからサポートラインへ転換するかどうか?ドル円の下落幅が拡大する際は、この点にも注目したい。
一方、短期サポートライン(107.70)レベルの維持に成功する場合は、108.00がサポートからレジスタンスへ転換するかどうか?この点が焦点となろう。
108.00レベルがレジスタンスポイントとして意識されるならば、短期サポートラインのブレイクを常に警戒する局面が続こう。
ドル円のチャート
ポンドドルは1.4をブレイクし切れず しかし…
ここ数日、このレポートで注目しているポンドドルだが、昨日は予想どおり1.40へと到達した。
しかし、リスク回避相場により上値が抑制され陰線引け。1.40ブレイクにまたもや失敗した。
3月以降、1.40をトライしては失敗するという展開を繰り返すポンドドルだが、昨日のレポートの中の『ポンドドルは予想どおり1.40台を目指す展開に』の項目でも指摘したとおり、テクニカルはポンドドルの上昇トレンドが続く可能性が高いことを示している。
この説明力を高める材料として注目すべきは、反落の局面で50日MAを維持できるかどうか?この点にある。
このMAは昨年の12月にポンドドルをサポートした経緯がある。
50日MAが再びサポートラインとして意識される場合、それは1.40トライおよびブレイクのシグナルと捉えたい。
ポンドドルのチャート
また、英国内でコロナワクチンが普及している点もポンドドルをサポートする要因となろう。
この点は、米ドル相場の年初来パフォーマンスが示唆している。
コロナワクチンの普及が遅れる日欧の通貨(円/ユーロ)では恒常的に米ドル高の状況となる一方、英ポンドに対しては米ドル安優勢のトレンドが続いている。
この動向からは、コロナワクチンの接種が進む国ほど景気も早期に回復するという市場の思惑が見て取れる。
米ドル相場の年初来パフォーマンス
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