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米ドル相場急騰の可能性は?

昨日はNY原油価格先物が初のマイナス価格となりました。これを受け米株は下落。外為市場では米ドル高圧力が高まりました。3月のような米ドル高となる可能性はあるのか?詳細はマーケットレポートにて。

原油価格のマイナス化→米株の急反落→米ドル高

昨日は歴史的な一日となった。新型コロナウイルスの急拡大で世界的に需要が急減したことを受け、NY原油先物5月限(WTI)は前週末比で55.90ドル安の1バレル=マイナス37.63ドルと、初のマイナス価格で取引を終えた。米国株式市場では資源セクターへの売り圧力が高まり、主要3指数の下落をけん引した。
昨日のグローバルマーケットは、一言でいえばリスク回避相場である。この局面での外為市場で注視すべきは「米ドル高vs円高」の戦いである。昨日の騰落率を確認すると、米ドルと日本円が買われる展開となった(例外はNZドル)。ドル円の動向を確認すると、米ドルが日本円に対してプラス0.09%上昇した。この程度の上昇幅であれば、お互いの買い圧力は互角の戦いを演じたと言えるだろう。だが新型コロナ以前は、円高が圧勝する局面が多く散見された。原油価格のマイナス化、米ドル買い圧力が円買いのそれを上回る等、このウイルスは今まで我々が当たり前と思っていたこと(思い込んでいたこと)を劇的に変える存在であることを改めて思い知らされた。

NY原油先物価格

WTI NY原油先物 原油

3月のような米ドル高が発生する可能性は低い

新型コロナウイルスの感染リスクに対する警戒感が後退気味の中、水面下でくすぶっていた原油安リスクが再び浮上してきた。原油価格の急落は世界経済の先行き不透明感を市場関係者に意識させよう。そうなると、注視すべきは米ドル相場の動向である。3月のようなヒステリックな米ドル高となれば、それは投資家心理の悪化を意味する。ではそのような展開となる可能性は?この点を米ドルの調達コストで考えると、その可能性は現時点で低いと考えられる。対日本円およびユーロでの米ドルの調達コストをチャートで確認すると、3月の時とは違いコストはむしろ低下している(ラインチャートは上昇している)。3月と現在でなぜ真逆の状況となっているのか?それはFEDによる資金供給策の存在である。米ドルの調達コストが急騰した(ラインチャートが急低下した)3月上旬から中旬にかけ、FEDは緊急利下げのみで市場の混乱に対応した。しかし、混乱が尚も続いたことで3月23日に無制限の量的緩和を導入。さらに4月9日にも2.3兆ドルの資金供給を決定した。それ以降、米ドルの調達コストが急速に低下(ラインチャートが急速に上昇)し始めている。米ドルの調達コストが再び急騰し無い限り、米ドル相場が急伸する可能性は低いだろう。
ドル円は引き続き107.00-109.00のレンジ相場を予想する。一方、ユーロドルは20日のレポート「今週の注目ポイント」でも指摘したとおり、リスクリバーサル(1週間)が低下基調にあることを考え、下落リスクを警戒すべきフェーズにある。下値の焦点は昨日と変わらず1.08台もしくは1.07ミドルの攻防となろう。

米ドルの調達コスト

CBS カレンシーベイシススワップ ドル円 ユーロドル USDJPY EURUSD

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