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リスクセンチメントの指標としての米株先物

今回の米国とイランの対立は壮大な「出来レース」でした。この点を先取りしたのが米株の先物指数でした。昨日の動向は、投資家のリスクセンチメントの指標として米株先物が最適であることを教えてくれました。詳細はマーケットレポートをご参照ください。

Source : Bloomberg Source : Bloomberg

リスクセンチメントの指標としての米株先物

昨日の外為市場は米国とイランの壮大な「出来レース」に振り回される展開となった-
昨日のリスク回避局面で筆者が違和感を感じる最初のきっかけとなったのが、米株先物の動向だった。取引序盤の日本時間午前10時あたりから米株先物に反発圧力が高まった。欧州タイム全般は上昇圧力が後退するも、底堅い状況が続いた。そしてNYタイムではトランプ氏の会見を受け中東リスクが完全に後退。主要な米株価指数は全面高となった。今回の対立が出来レース -表向きは真剣に戦っているように見えても、裏では当事者間同士で話がついている戦い- と判断するためにはトランプ氏の発言を確認する必要があった。同氏の発言前までは攻撃された箇所やその被害について情報が錯綜していたからだ。しかし、米株先物がトランプ会見の前に「出来レース」の可能性を意識し、前もって反発していた。この事実が示唆することは、リスクセンチメントの指標として最も注視すべきは米株先物、とうことである。

米株先物のチャート

The us equity market  米株 米株先物 S&P500  ナスダック100  Nasdaq100

米株先物に追随する他の市場

上記のことは、他の市場との関係で考えるとわかり易い。例えば外為市場との関係で考えてみると、リスク回避の局面で最も買われやすいのは日本円である。逆にリスク選好の局面では円売り圧力が高まり易い。昨日の日本円の動向を確認すると、ドル円とクロス円は全く同じ動き-午前10時前はリスク回避の円高 / 午前10時以降はリスク選好の円安という動き-だったことがわかる。上述したように、午前10時は米株先物が反発し始めた時間である。まず米株先物が上昇してから円安圧力が高まった事実を考えるならば、米株先物が円安のけん引役だったことがわかる。次に米債券市場の動きを確認すると、やはり日本時間午前10時ころを境に、米長期金利(以下米金利)に反発圧力が高まっていることがわかる。その後のトレンドも米株先物と全く同じ軌跡を描いている。
では、目先の米株はどのような展開となるか?この点を各ボラティリティ指数の動向から考えてみると、S&P500のオプション価格をベースとしたVIXは13%台の低水準で安定的に推移している。一方、ナスダック100のボラティリティ指数であるVXNも16%台で安定的に推移している。米中対立リスクの後退と米イランの対立がひとまず出来レースで終わったことを考えるならば、米株は現在の株高トレンドを維持する可能性が高い。それでも高値警戒感がある以上、不意の株安(調整)には注意したい。その要因として注視すべきは冴えない米指標データである。目先注目すべきは、明日の12月雇用統計となろう。ISM指数の雇用指数は製造業、非製造業ともに前月から低下した。一方、同月ADP雇用統計は市場予想(16.0万人)を上回る20.2万人だった。強弱まちまちの結果だが、相関性ではISM指数の方が高い。12月の非農業部門雇用者数変化が市場予想(16.4万人)を下回る場合、米株では利確の動きが強まろう。逆に市場予想を上回る場合は、株高トレンドを維持しよう。今日と明日の円相場のトレンドは米株の動きに左右されよう。

円相場のチャート

円相場 JPY market

米株先物と米長期金利

the US treasury yield 米長期金利 米株 S&P500  Nasdaq100  ナスダック100

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