高まる米ドルと円買いの圧力 米国内の新型コロナウイルス感染者数は増加傾向へ / 株高の恩恵を受けてきた豪ドルやメキシコペソの動向に要注意
今回のサマリー。6月の第2週目以降、米ドルと円買いの状況が続ている。米国内の新型コロナウイルスの感染者数は再び増加傾向へ。この傾向が、米株高の調整要因として利用されることを警戒。株高トレンドに上手く乗ってきた豪ドルやメキシコペソの動向に注目。詳細はマーケットレポートをご覧ください。
高まる米ドルと円買いの圧力 米国内の新型コロナウイルス感染者数は増加傾向へ
コロナショックが発生して以降、米ドル相場は投資家の心理を映す鏡の役割となっている。
その米ドル相場のパフォーマンスを確認すると、6月の第2週目あたりから米ドル買い優勢の状況が続いている。
対先進国通貨では、英ポインドやオセアニア通貨で米ドル買い優勢となっていることがわかる。
一方、スイスフランや日本円では米ドル安優勢となっている。
リスク性の高い通貨が売られる一方、リスクを回避する局面で買われやすい通貨が上昇しているこれらの状況は、投資家の強気心理が一時的に後退していることを示唆している。
米ドル相場のパフォーマンス
現在、米ドル相場以上に投資家の強気心理の後退を反映するのが、円相場である。
その理由は、FEDによる超金融緩和政策(大量の米ドル供給策)にある。
米ドル相場と同じく、6月の第2週目以降の円相場のパフォーマンスを確認すると、総じて円高優勢となっていることがわかる。
円相場のパフォーマンス
投資家の弱気心理に敏感なこれら通貨の買い圧力が同時に高まっているタイミングで、米国内の新型コロナウイルスの感染者数は、再び3万人を突破してきた。
7日移動平均線が上昇基調へ転じていることも考えるならば、「コロナショック第2波」が金融市場で意識されることを警戒すべき局面にある。
そのような展開となれば、最高値圏にある米株には調整の売り圧力が高まろう。それに伴い、米ドルと日本円の買い圧力もさらに高まろう。
米国内の新型コロナウイルス感染者数
株高の恩恵を受けてきた豪ドルやメキシコペソの動向に要注意
「コロナショック第2波」が意識される場合、これまで株高の恩恵を受けてきた豪ドルやメキシコペソといった通貨の下落に注意したい。
5月以降、株高トレンドはさらに加速した。
それ以降の通貨(豪ドル/メキシコペソ)と世界の株式動向との相関関係を具体的な数値(相関係数)で確認すると、豪ドルと世界の株式とのそれは0.709とかなり高い順相関の関係にあることがわかる。
一方、メキシコペソと世界の株式のそれは0.595と、こちらも高い。相関が高いがゆえに、株高の調整が続く場合、これら通貨は対米ドルで下落する展開を警戒したい。
株高の調整局面では「米ドル買い vs 円買い」の戦いになることから、ドル円はこう着状態の継続、もしくは緩やかな下落が予想される。
このため、豪ドル円やメキシコペソ円といったクロス円の下値のポイントは、対米ドルの動向により左右されよう。
豪ドル/メキシコペソと株式市場の相関関係
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