米大統領選挙後も米ドル安トレンドは変わらず / ドル円と豪ドル米ドルのチャートポイントについて
今日のポイント:『米大統領選挙後に政治が混乱しても米ドル安のトレンドは変わらず。ドル円は引き続き104円の攻防が焦点。豪ドル/米ドルは0.70-0.73のレンジ相場へシフトする可能性が出てきた』。詳細はマーケットレポートをご覧ください。
米大統領選挙後もドル相場の短期的なトレンドは変わらず
米国の大統領選挙が近くづくにつれ、今回は激戦と混乱が予想されるとの報道が徐々に多くなっている。
個人的に注目しているのはフロリダ州の動向である。この州を落とせばトランプ米大統領の敗北が濃厚となるからだ。
逆にフロリダ州を取ればトランプ米大統領が再選する可能性があるということでもある。
今月2日のレポートで取り上げた調査会社トラファルガー・グループ(Trafalgar Group)によれば、トランプ米大統領の支持率は47.8%なのに対し、バイデン候補の支持率は45.7%となっている(10月29日時点)。しかし、他の世論調査では総じてバイデン候補が優勢となっている。この傾向は他の接戦州でも見られる。
調査結果が割れている状況を考えるならば、今日以降、波乱の展開が待ち受けている可能性がある。
だが、実際に米国の政治が混乱しても、外為市場では『米ドル安』のトレンドが続くと筆者は予想している。
その理由は、現在の米国は財政政策と同時に、『超』が付くほどの金融緩和政策を実行しているからだ。
大規模な財政政策は将来の景気回復を促すだろう。また、超金融緩和政策によってダブついたマネーはインフレ圧力を高める要因となろう。これらは市場や人々が抱く期待(予想)インフレ率を押し上げる要因となる。
一方、米債市場の金利(名目金利)は、FEDの超金融緩和政策の影響により上昇圧力が抑制されるだろう。その結果、米国の実質金利(=名目金利-期待インフレ率)は低下する。実質金利の低下は米ドル安の圧力を高める要因であり続けよう。
ドル円のチャートポイント
米ドル安のトレンドを想定する場合、ドル円は常に104円割れを意識する展開となろう。
実際、チャートを見ると、今のドル円はディセンディング(下降)・トライアングルを形成するかどうかの局面にある。104円ブレイクとなれば、ディセンディング(下降)・トライアングルの形成により下落幅の拡大を警戒したい。
104円ブレイク後の最初の焦点は、先月28日のレポートの中の『ドル円のチャートポイント』の項目で指摘した103.50レベルの攻防となろう。この水準で下落が止まる場合は、ディセンディング(下降)・トライアングル形成による下落が『だまし』となる可能性があるからだ。
一方、103.50をも一気に下方ブレイクする展開となれば、102円台への下落を警戒するフェーズへシフトしよう。
一方、上値の焦点は105円台の回復が焦点となろう。105.00レベルには21日MAが推移している。また、この水準にはオファーが観測されている。
105円台への到達に成功する場合は、108.16(7/1高値)を起点とした短期レジスタンスラインのトライとなろう。このラインは今日現在、105.58レベルで推移している。
ドル円のチャート
豪ドル/米ドル(AUD/USD)はレンジ相場へシフトか
昨日、筆者が注目した通貨ペアが豪ドル/米ドル(AUD/USD)である。
昨日は『リスク選好(株高)→米ドル安』のトレンドにサポートされ、重要サポートポイント0.70の維持に成功しただけなく、短期レジスタンスラインの突破にも成功している。さらに、0.70をトライする局面で大陽線が示現したことも、0.70レベルでの底堅さを市場参加者に印象付けただろう。
これらの動向を考えると、豪ドル/米ドル(AUD/USD)は、0.70-0.73のレンジ相場へシフトする可能性が出てきた。市場の短期的な思惑を反映するリスクリバーサル(1週間)で下げ止まりのムードが出てきていることも、レンジ相場へシフトする可能性を示唆している。
目先の豪ドル/米ドル(AUD/USD)の下落要因は、コロナリスクの再燃と米大統領選挙の結果で政治が混乱することによる株安と予想する。実際にこのような展開となれば、再び0.70をトライする動きが見られよう。このレベルは引き続き重要サポートポイントとして意識しておきたい。
豪ドル/米ドル(AUD/USD)のチャート
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