米ドル相場が示す市場心理の動き
外為市場では米ドルの売り買いが交錯しています。なぜこのような状況となっているのか？市場心理はどのように揺れているのか？そして今日のドル円の展望は？マーケットレポートをご参照ください。
綱引き状態の米ドル相場
市場参加者のリスクリバーサル（1週間）を確認すると、ドル円のそれは上昇基調にある。この状況だけを見るならば、リスク選好によるドル円の上昇を市場が予測していると考えることができる、しかし、日本円と同じく、スイスフランに対しても米ドルは上昇すると市場は予測している。また、ユーロドルとポンドドルのリスクリバーサルは低下傾向にある。つまり対欧州通貨でも米ドルは短期的に上昇すると市場参加者は予測していることになる。これら主要な通貨に対して米ドルが上昇するという予測は、先月同様、再び米ドルの需要が高まりつつあることを示唆している。
しかし、米ドルに対して上昇すると予測されている通貨もある。それがオセアニア通貨である。これらリスクリバーサルは上昇基調にあり、今後1週間、対米ドルで堅調に推移すると市場参加者は予測している。オセアニア通貨は米ドルと比較しリスク性の高い通貨である。これら通貨が対米ドルで上昇するという予測は、米株のボラティリティの低下と同様、投資家心理が改善傾向にあることを示唆している。つまり、先行き不透明感は残るが、政策効果と新型コロナウイルスの感染拡大がピークを迎えたという期待を背景に投資家心理が改善傾向の途上にある、それゆえ現在の外為市場では米ドル安と米ドル高の圧力がぶつかり合う展開になっている、というのが筆者の考えである。
リスクリバーサル：ドル円/ドルスイス
リスクリバーサル：ユーロドル/ポンドドル
リスクリバーサル：豪ドル米ドル/NZドル米ドル
ドル円の展望
上述したリスクリバーサルと米株のボラティリティが低下基調にあることを考えるならば、今日のドル円も堅調地合いを予想する。目先の焦点は109.70（3/27高値）の突破である。オファーが観測されている109.50の突破は109.70トライのシグナルと想定したい。109.70をも突破する展開となれば、110円台の上昇を予想する。109.90および110.00にもオファーが観測されている。110円台へしっかり乗せてくる展開となれば、重要レジスタンスポイントである111.60レベルの再トライを予想する。だが、インプライドボラティリティが低下基調にあることを考えるならば、このレベルを一気にトライするというよりは、階段を一歩一歩上るようなかたちでのトライを想定している。
一方、下値の焦点は、ビッドが観測され始めている108.70および108.50の維持が焦点となろう。
ドル円チャート
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