米中対立リスクの緩和と外為市場の展望
米中対立リスクは一時的に後退しています。しかし、米国債券市場の反応は薄く、外為市場ではリスク性の高い通貨や欧州通貨買いの圧力が高まっています。今後の外為市場の展望は?マーケットレポートをご参照ください。
・上昇圧力が高まらない米長期金利
米中通商協議は「第1フェーズ」を何とかクリアした。依然として様々なリスク要因-中国が合意を履行しないリスク、「第2フェーズ」の交渉が難航するリスク、米国による再度の制裁関税発動リスク、中国市場における米国製品の強制的なシェア拡大が他国の反発を買うリスク-はくすぶるものの、外為市場では米中の対立に敏感なオセアニア通貨や新興国通貨の買戻し圧力が高まっている。また、グローバル株式の堅調地合いが続いている状況も考えるならば、ひとつの市場を除き、米中対立リスクの(一時的な)緩和を素直に好感している。その市場とは米国債券市場である。景気動向に敏感な米長期金利(以下米金利)は、依然として1.95%前後でのキャップ状態が続いている。13日は1.93%台まで急上昇後、1.81%台まで急低下する展開となった。米中対立リスクは米金利の変動要因である。しかし、このリスクが緩和して尚、2.0%の水準をトライそして突破できない状況は、上述した水面下でくすぶるリスク要因や来年FEDが再度利下げ局面に直面する可能性を米債市場の参加者が強く意識していることを示唆している。
【米長期金利(10年債利回り)】
・堅調な欧州通貨と米ドル安転換の可能性
米金利の上昇圧力が抑制されているタイミングで、外為市場では欧州通貨を買い戻す動きが高まっている。政治リスクが後退した英ポンド相場は、対米ドルで一時1.35台へ上昇する局面が見られた。通貨オプション市場のリスクリバーサルを確認すると、1週間および1ヶ月ともに上昇基調へ転じている。また、インプライド・ボラティリティ(1週間/1ヶ月)が急低下している状況も考えるならば、急上昇後の調整売りが散見されても、1.30レベルがレジスタンスからサポートへ転換する可能性が高まっている。この水準を下方ブレイクしても、相場をサポートし続けてきた1.28レベルを維持する可能性が現時点では高いだろう。
【英ポンド/米ドルとリスクリバーサル】
【英ポンド/米ドルとインプライド・ボラティリティ】
ポンド相場以上に今後注目すべきは、ユーロ相場である。対米ドルで1.11台の攻防を制し、13日に重要レジスタンスポイント1.1180の突破に成功した。1.12で上値がレジストされたが、1.11台の維持に成功している状況は英ポンド相場同様、トレンドが転換(=ユーロ安からユーロ高へ転換)しつつある可能性を示唆している。ファンダメンタルの面でユーロを積極的に買う材料はないが、ラガルド新ECB総裁は12日の会見でユーロ圏経済の底打ちの可能性について言及し、且つ先行きのリスクについても多少和らいだと指摘した。インプライド・ボラティリティ(1ヶ月)は依然として4%台の低空飛行状態となっている。しかし英ポンド同様、リスクリバーサルは上昇基調にある。21日MA(1.1067)でサポートされ1.1180をブレイクしたこと、そして1.11台の維持に成功している現在のトレンドも考えるならば、調整を挟みながら緩やかな反発基調を維持することを予想する。
そして、目先最も注視すべきは米ドル安の転換である。米中対立リスクの緩和によるオセアニア通貨と新興国通貨への買い戻し圧力が高まり、米金利の上昇圧力が抑制されているタイミングで欧州通貨までが堅調地合いを維持するならば、市場参加者は近い将来の米ドル安転換を意識するだろう。
【ユーロドルとインプライド・ボラティリティ】
【ユーロドルとリスクリバーサル】
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