米長期金利は低下するもインフレ期待は根強い /ドル円とユーロドルの焦点
サマリー:『米金利は低下するもインフレ期待は根強い。ドル円とユーロドルは引き続き米金利にらみの展開となろう。今日の焦点と上下のチャートポイントは?』。詳細はマーケットレポートをご覧ください。
米長期金利は低下するもインフレ期待は根強い
週明けの米長期金利(以下では米金利)は、一時1.6%を割り込む局面が見られた。
ブレイナードFRB理事はコインデスク主催のオンラインイベントで金利の上昇については『一時的』と指摘した。また、ブラード・セントルイス連銀総裁は、政策変更は経済危機を脱してからとの認識を示した。
米債市場ではこれらの発言が現行の金融緩和政策を支持する内容と受け止められ、米金利に低下の圧力が高まった。
米金利の低下はハイテク株の買いを促し、主要な米株価指数は上昇して引けた。
『株高/金利低下』の局面では、外為市場で米ドル安の圧力が高まりやすい。安全資産としての米ドルの妙味が薄れるからだ。事実、昨日はオセアニア通貨(豪ドル/NZドル)やブラジルレアルで米ドル安が目立った。
しかし、市場参加者が抱く期待インフレ率は下げ止まりつつある。この動向はインフレ期待の根強さを示しており、米金利が1.7%台へ向け再び上昇する可能性は依然としてくすぶっていると言えよう。
米金利の上昇局面では、高PERのグロース株主導で米株が下落する可能性が高いだろう。この局面では、米ドル買いの展開を常に想定しておきたい。
米国の期待インフレ率チャート
ドル円の焦点
昨日のドル円(USDJPY)は米ドル安を受け、108円後半で売り買いが交錯した。今日も米金利をにらんだ展開となろう。
モメンタムは低下基調にあるが、ゼロラインを割り込む状況には至っていない。また、市場の短期的な予測を反映するリスクリバーサル(1週間)も低下基調だが、大きな動きは見られず。これらの動向は、今のドル円には明確なトレンドが発生する可能性が低いことを示唆している。
ドル円の下値の焦点は、引き続き50日EMA(今日現在108.61レベル)の攻防となろう。このEMAを下方ブレイクしても5月上旬に相場をサポートした108.30レベルを維持するならば、EMAのブレイクは『だまし』と想定したい。
逆に108.30レベルをも下方ブレイクする場合は、レンジの下限の候補が108.00まで切り下がる展開を想定しておきたい。
一方、ドル円の上値焦点は109.30レベルのトライとなろう。この水準すら突破できない展開が続く場合は、50日EMAのブレイクと108.00トライを常に意識しておきたい。
逆に突破に成功する場合は、109.80レベルのトライが焦点として浮上しよう。
米金利の上昇局面では109.30 および109.80を目指す展開が予想される。本日は米指標データで金利が上下に振れる可能性がある。
ドル円のチャート
ユーロドルの焦点
米金利の低下を受け、ユーロドル(EURUSD)は再び1.22台へ反発している。今月の19日以降、1.2200を挟んで売り買いが交錯する状況は、ユーロドルの底堅さを示唆している。
だが、モメンタムや短期のリスクリバーサル(1週間)を確認する限り、ユーロドルに対するさらなる強気スタンスは見られない。レジスタンスのポイントとして意識されている1.2240レベルを完全に突破しない限り、21日EMA(今日現在1.2128)を視野に、一度下落幅が拡大する展開に警戒したい。
このMAをトライするシグナルとして1.2150をブレイクするかどうか?この点に注目したい。今月19日以降、米金利が上昇しようが低下しようが、この水準で相場がサポートされている。
米金利の動向はユーロドルの変動要因だが、今日は独指標データもユーロドルの動向に影響を与える可能性がある。5月の独IFO企業景況感指数の市場予想は98.2(前回96.8)。予想以上ならばユーロ買いの展開を予想する。米金利の低下も重なるならば、1.2240のトライおよびブレイクとなるか?この点を確認したい。
一方、IFO指数が市場以下となる場合は、ユーロ売りで反応すると予想する。下落幅が拡大するかどうかは米金利の動向次第となろう。
この日発表される米国の指標データが良好な結果となる場合、米金利は反発する可能性がある。このケースでは『ユーロ売り/米ドル買い』を背景に1.2150レベルのトライおよび下方ブレイクを警戒したい。
一方、米金利の低下基調が続く場合、『さえないIFO企業景況感指数→ユーロ売り』による下落幅は限定的となり、1.2150レベル以上で相場が反転すると予想する。
ユーロドルのチャート
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