今週の注目材料は米欧のインフレ関連指 / ドル円の見通しとチャートポイントについて
今週の外為市場は、週前半に開催されるECBフォーラムでの各国中銀総裁の言動と週後半に発表される米欧の物価指標が材料視される可能性がある。今週のドル円の見通しは?注目しておきたいチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
※今週のユーロ円の見通しについてはこちらのレポートをご覧ください
サマリー
・重要イベントを受けてなお米債市場は落ち着いた反応を見せている
・今週の注目材料はECBフォーラムでの各国中銀総裁の言動と米欧の物価指標
・今週のドル円も新たなレジスタンスの水準を探る展開が続くと予想する
・ドル円が上値を目指す場合は2つのレジスタンスゾーンの攻防に注目したい
落ち着いた反応を見せる米債市場
連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は先週の議会証言で、インフレ抑制重視のスタンスを維持すると同時に、情勢次第で追加利上げの可能性にあらためて言及した。
しかし、短期金融市場(OIS市場)の予想ターミナルレートは、“タカ派の連邦公開市場委員会(FOMC)”やパウエル証言を受けても5.3%前後で推移し続けている。この状況は、市場参加者が抱くインフレリスクへの警戒レベルはパウエルFRBほど高くなく、それゆえ利上げが再開されてもあと1回で終わる可能性を強く意識していることを示している。
一方、米ドル相場のトレンドに大きな影響を与える米債市場では、金融政策の方向性を織り込んで動く2年債利回りは上昇基調ではあるが、4.7%前後でレンジ相場となっている。5年債や10年債の利回りにも大きな変動は見られない。
重要イベント後も落ち着いた反応を見せている米金利の動向を受け、米ドル相場のトレンドを示すドルインデックス(DXY)は102.00-103.00レンジで売り買いが交錯する状況にある。
米金利のチャート
ドルインデックスのチャート
今週の注目イベント
ECBフォーラムと各国中銀総裁の言動
今週26日から28日かけてECBフォーラムが開催される。ラガルドECB総裁をはじめパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長そして植田日銀総裁ら各国中銀総裁の参加が予定されている。
基調講演の他、28日のパネルディスカッションでの各国中銀総裁の言動-インフレの見通しと今後の金融政策の方向性、そしてインフレや利上げ政策が経済に与える影響に関する発言とそれらの内容次第で週前半の外為市場は上下に振れる可能性があろう。
アメリカのインフレ指標:5月PCEデフレーター
今週30日にアメリカの5月個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)が発表される。
現時点での市場予想は前月比で0.1%と、4月の0.4%から低下する見通しとなっている。一方、前年同月比でも3.8%と、4月の4.4%から低下する予想である。
しかし、食品とエネルギーを除くPCEコアデフレーターの市場予想は前月比で0.4%、前年同月比で4.7%と、ともに4月から横ばい推移の予想となっている。
また、今後のインフレ動向の鍵を握るサービス価格は、前年比5.5%と依然として高止まりの状況にある。
連邦準備理事会(FRB)のボウマン理事は22日、昨年の秋以降コアインフレ率は基本的に横ばいで推移しており、インフレを有意かつ持続的に押し下げるために追加利上げの必要性に言及した。
ボウマン理事の発言はパウエルFRB議長の主張に沿ったものであり、ゆえにPCEコアデフレーターでインフレ圧力の根強さがあらためて確認される場合は、米債市場で利上げ長期化の可能性が意識され、2年債や5年債の利回りには上昇の圧力が高まることが予想される。
米金利が上昇すれば、短期間で上昇幅が拡大した米国株の調整要因(下落の要因)になり得る。ゆえに、強いPCEコアデフレーターは米ドル買い要因と想定しておきたい。
一方、PCEコアデフレーターでインフレの鈍化傾向が確認される場合は米金利の上昇が抑制され、かつ米株高の展開が予想される。このケースでは、米ドル安の展開を想定しておきたい。
アメリカの個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)の動向
サービス価格の動向
ドル円の展望とチャートポイント
新たなレジスタンスの水準を探る展開が続く
現在のドル円(USDJPY)は、日米中銀の金融政策スタンスの差が意識され「米ドル高/円安」が進行しやすい状況にある。
目先、この状況が解消に向かう可能性が低いことを考えるならば、今週のドル円は、引き続き新たなレジスタンスの水準を探る展開が続くと予想する。
通貨オプション市場のリスクリバーサルでは、3ヶ月と6ヶ月のそれらがドル・プットへ傾く状況にある。その一方で、1ヶ月のリスクリバーサルはドル・コールに向かうトレンドが続いている。これらの動向は、短期的なドル円の上昇を通貨オプション市場の参加者が意識していることを示している(中期的にはドル円の反落を警戒している)。
ドル円とリスクリバーサルのチャート
145円台でのチャートポイント
今週発表されるアメリカの経済指標(特に上で述べた5月PCEコアデフレーター)で強い内容が確認される場合は「米金利の上昇→米ドル買い」にサポートされ、ドル円(USDJPY)は上値をトライするトレンドが続くだろう。
ドル円の上昇局面では、144.00レベルのトライおよびブレイクアウトが目先の焦点となろう。先週の高値143.87レベルのブレイクアウトは、144.00トライのシグナルと想定しておきたい。
ドル円が144円台へしっかりと上昇する場合は145.00レベル、146.00レベルと1円レンジで新たなレジスタンスの水準を探るしかない。
ドル円が145.00レベルをトライする際に注目したいのが、145.00-20ゾーンの攻防である。昨年9月上旬から11月上旬にかけて、このゾーンはレジスタンスとしてもサポートとしても意識された経緯がある。現在は、レジスタンスとして意識される可能性を想定しておきたい(下の日足チャートを参照)。
ドル円のチャート:日足
146円台でのチャートポイント
ドル円(USDJPY)が145円前半のレジスタンスゾーンを完全に突破する場合は、146.00レベルを視野に上昇幅の拡大を想定したい。
下の週足チャートで146円台のテクニカルポイントを確認すると、フィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準146.11レベルが浮上する。ゆえに、ドル円が145円台へしっかりと上昇する場合は、146.00-10を次のレジスタンスゾーンと想定しておきたい。
ドル円が146.00-10ゾーンをも完全に突破する場合は、IG為替レポートで何度か取り上げたV計算値の水準146.35レベルのトライが焦点として浮上しよう(上の日足チャートを参照)。
ドル円のチャート:週足
下落局面でのチャートポイントは?
一方、さえないアメリカの経済指標による米ドル安、または日米株高の調整(下落)による円高でドル円(USDJPY)が反落する場合は、143円台の維持が目先の焦点となろう。
143.40レベルが ”サポート転換” に失敗する場合は、143.00をトライするシグナルと想定しておきたい。
ドル円が143円以下の攻防となる場合は、直近高安の半値戻し142.73レベルの維持が焦点として浮上しよう。先週23日のNY時間に142.60レベルで相場がサポートされた経緯を考えるならば、142.60-70をサポートゾーンと想定しておきたい。
ドル円が上のサポートゾーンをも下方ブレイクする場合は、フィボナッチ・リトレースメントの各水準(61.8%と76.4%戻しの水準)および短期サポートラインの攻防が次の焦点となろう。今週26日のNY時間後半に短期サポートラインは61.8%の水準142.47レベルと交錯する。
相場の過熱感をストキャスティクスとRSIで確認しながら、これらオシレーター指標が売られ過ぎの水準にあるタイミングで、ドル円が上で述べた各サポートポイントをトライする場合は、短期的な反発相場を想定しておきたい。
ドル円のチャート:1時間足
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