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ドル円110円割れの要因と短期的な円相場の見通し

ドル円は110円台へ上昇、と思ったらあっさりと109円台へ反落。対中関税報道がドル安要因、との指摘がありましたが、本当にそうでしょうか?そして短期的な円相場の見通しは?マーケットレポートをご参照ください。

Source : Bloomberg Source : Bloomberg

昨日のドル円下落(円高)の見解

14日の外為市場に大きな変動は見られなかった。円相場は引き続き主要な株式、特に米株の動向をにらみながら上下に変動する展開を予想する。そう考える理由は14日のレポート「円相場と株式の関係について」で指摘済み。
昨日、ドル円を含めた円相場が一時円高へ振れる局面が見られた。その要因として指摘されたのが、米国サイドによる対中関税の維持に関する報道だった。しかし筆者の考えは違う。分足単位でドル円、クロス円そして米株(S&P500)の動きを確認すると、見事に連動していることがわかる。昨年10月以降、株式との相関関係(株高→円安)の復活を考えるならば、まず対中関税維持の報道に米株が反応し(=上値が重くなり)、その動きを確認した直後、ドル円をはじめとした円相場全体で若干円買い圧力高まった、これが昨日のドル円110円割れとクロス円の下落に関する筆者の見解である。
円相場のトレンド決定要因となっている米株だが、S&P500のオプション価格をベースとしたVIXは12ポイント台の低水準を維持している。一方、ナスダック100のボラティリティ指数であるVXNも15ポイント台の水準で安定的に推移している。米中通商摩擦は今後も続くだろうが、現時点でそれが米株の主要テーマとして浮上していないことを後者のVXNは示している。よって、調整の反落を挟みながら米株は堅調地合いを維持すると予想する。米株が崩れない限り、円相場も円安優勢で推移しよう。

ドル円下落と米株反落

USDJPY S&P500 ドル円 米株

ドル円とクロス円の動向(円高局面)

円相場 ドル円 クロス円

低下傾向のボラティリティ

目先は米株高の維持と円安優勢を予想するも、現在のインプライド・ボラティリティが低下傾向にあることを考えるならば、急速に円安が進行する可能性は低いと考える。ドル円のインプライド・ボラティリティは1週間、1ヶ月ともに4%台へと低下中。一方、ユーロドルのそれらは3%台とドル円よりさらに低い水準にある。1月末のEU離脱が現実味を帯びてきた英国だが、通貨ポンド(対米ドル)のインプライド・ボラティリティは6%前後とドル円やユーロドルより高い水準にある。だが、昨年10月や12月の10%台の高水準と比較すると、やはり低ボラティリティの状況に陥っていると言える。これら通貨ペアのボラティリティが低下基調にある以上、クロス円の変動幅拡大(=円安の加速)も期待できないだろう。ドル円はオファーが観測されている110.20、110.50および110.60レベルの攻防となるか、これらの点に注目したい。インプライド・ボラティリティの低下に加え、米長期金利の上昇が抑制されている状況も考えるならば、110.50前後が新たなレジスタンスとして意識されるかどうか、この点に注目している。一方、ユーロ円はオファーが観測されている122.80の突破が目先の焦点となろう。だが、これを達成しても123.20レベルで上値が抑制される展開を意識したい。123.00にもオファーの観測あり。比較的変動幅が期待できるポンド円はオファーが観測されている143.50の突破が目先の焦点となろう。これに成功する場合、144円台を再トライする展開を予想する。再びこの水準で上値がレジストされる場合、141.00-144.00のレンジ相場を形成する可能性を意識したい。144.00にもオファーの観測あり。

インプライド・ボラティリティ

インプライド・ボラティリティ USDJPY EURUSD GBPUSD ドル円 ユーロドル ポンドドル

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