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第2波リスクをどう投資チャンスへ繋げるか?

米国ウィークリー2020年6月23日号

Source: Bloomberg
  • 新型コロナウイルス感染に関し、5/25に緊急事態宣言が解除され、7/31までを移行期間として徐々に制限を解除している日本とは対照的に、米国では4/16にトランプ政権が経済活動を段階的に認める新指針を発表後、州によっては4月下旬から5月上旬にかけて規制緩和が実施された。早い時期に規制緩和に踏み切った州の中でも全米の人口上位3州のカリフォルニア州、テキサス州、フロリダ州の6/20の新規感染者数が揃って4,000人を超え、過去最多となった。同日にノースカロライナ州とアリゾナ州の新規感染者数も3,000人を超え、全米では新規感染者数が33,894人に達して4/24の過去最多36,188人に近づいた。
  • 米国株式市場では感染「第2波」への警戒に伴う弱気心理と、FRBの社債買入れ強化やトランプ政権による1兆ドル規模のインフラ支出計画への期待に伴う強気心理がせめぎ合い、6/19のダウ平均株価終値は前週末比265ドル高の25,871ドルで引けた。第2波リスクに対し、株式市場では、①ワクチンや治療薬の開発に関わるバイオテクノロジー銘柄への物色が継続している。更に、②テレワークの更なる普及、クラウドサービスの利用拡大、それらに伴うデータ通信量・トラフィックの増加への対応、巣篭もり消費に伴う電子取引や宅配サービス、動画配信サービス、およびゲーム関連などといった銘柄を「相対的に安心して投資しやすい銘柄群」とみなし、感染拡大リスクが高まる時期に物色の中心的存在となっている。また、個人投資家を中心に政府からの給付金を投資資金に加え、オンライントレードで短期の値幅を取ろうとする動きも見られ、③経済活動再開への期待に伴い買われていた景気敏感・外出・レジャー関連銘柄に対し、第2波リスクで急落したタイミングで短期リバウンドを狙った買いを入れるような動きも見られる。これら①~③の銘柄群が循環物色されることで、株価指数全体が下落に対して提供力を増している面があるのかも知れない。
  • 6/20にトランプ大統領がオクラホマ州で開催した集会には、事前に予告されたほどの大観衆が集まらなかった。欠席する前提で大量のチケットをオンライン予約されたのではないかと言われているが、支持率では不利な状況が続くなか、感染拡大が懸念される中で集会を強行したことへの批判も声も聞かれる。米民主党は「政府が自国通貨建ての国債をいくら発行しても財政破綻しない」というMMT理論に基づく「グリーン・ニューディール」政策を打ち出しており、バイデン候補の支持率が上昇すれば積極財政への期待が高まろう。(笹木)

S&P500業種別および NY ダウ構成銘柄の騰落率(6/19現在)


主な企業決算の予定
●6月23日(火): IHSマークイット
●6月25日(木):ナイキ、アクセンチュア、マコーミック、ダーデン・レストランツ
●6月29日(月): マイクロンテクノロジー

主要イベントの予定
●6月23日(火)
米ボルトン前大統領補佐官(国家安全保障担当)のホワイトハウス回顧録が発売予定
・米新築住宅販売件数 (5月)、マークイット製造業・サービス業・ コンポジットPMI (6月)

●6月24日(水)
・米シカゴ連銀総裁と米セントルイス連銀総裁がオンライン討論会に参加
国際通貨基金 (IMF)の経済見通し
・米FHFA住宅価格指数 (4 月)

●6月25日(木)
・米FRBが大手金融機関のストレステスト結果発表
米新規失業保険申請件数 (20日終了週)、耐久財受注 (5 月)、GDP (1Q 確定値)

●6月26日(金)
米個人所得・支出 (5月)、ミシガン大学消費者マインド指数 (6月 確定値)

●6月29日(月)
・中古住宅販売仮契約(5月)、ダラス連銀製造業活動(6月)

(Bloombergをもとにフィリップ証券作成)



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本レポートの作成者: 公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員 国際公認投資アナリスト 笹木和弘
フィリップ証券 リサーチ部 アナリスト 李一承
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