「MAGA+F」銘柄の死角とその次の有望銘柄は?
米国ウィークリー2020年5月12日号
- 5/8現在、S&P500構成銘柄の86%が2020年1-3月期までの四半期決算発表を終えた。ファクトセットのEarnings Insightによれば、実績および市場予想を合計した純利益は前年同期比13.6%減となり、2020/3末時点の同6.9%減から悪化。その一方、ハイテク・半導体株などを中心に構成されるナスダック総合指数は2/19に付けた史上最高値9,838ポイントまであと7.2%に迫る9,125ポイントまで上昇した。ナスダック総合指数は時価総額加重平均の株価指数であり、マイクロソフト(MSFT)、アップル(AAPL)、アルファベット(GOOGL)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)、およびフェイスブック(FB)の5銘柄の時価総額合計が5/8終値で5.48兆ドルに達したことが寄与した。業績が堅調に推移している「MAGA+F」銘柄への資金の一極集中が市場に歪みを生んでいるという見方もできよう。
- 米国を代表する巨大プラットフォーマーである「MAGA+F」に死角はあるのだろうか?民主党のウォーレン上院議員は最近まで「次世代のテクノロジーイノベーションを生み出すには現世代の巨大テック企業を解体する必要がある」と主張していた。かつての民主党のクリントン政権下、米司法省は1998年にマイクロソフトを反トラスト法違反で訴え、同社をOS部門とアプリケーション部門に分割することを目指したことがあった。ブッシュ政権になって同社と司法省は和解したが、同社のWindowsへのWebブラウザやアプリケーションのバンドルが取りやめられ、グーグルやフェイスブックが台頭する助けとなった。民主党のバイデン候補がウォーレンの主張を取り入れる可能性はあるかも知れない。その場合、競合の買収許可を過去に遡って取り消すことや、巨大IT企業からプラットフォームを切り離して公共事業体として公的監視を強め、そのプラットフォームに事業者として参加できなくすることなどが考えられる。時価総額の一極集中化が進めば、大統領選の動向によっては分割論が強まる可能性に注意が必要だろう。
- 「MAGA+F」銘柄のほかの有望銘柄としては、フィンテック企業が挙げられる。新型コロナウイルス対応の景気刺激策の一環としての中小企業向け融資プログラムに関し、ペイパル、クラウド会計・税務ソフトのインテュイット(INTU)、スクエア(SQ)の3社が参加を認められた。これらの企業はソフトウェアで中小企業や自営業者が要件を満たすかどうかを判定し、要件を満たせば即座に融資を実行している。ペイパル・ホールディングス(PYPL)の5/8終値の時価総額がシティ・グループ(C)を超えたことは金融業界の変革の表れと言えよう。
S&P500業種別およびNYダウ構成銘柄の騰落率(5/8現在)
■主な企業決算の予定
●5月12日(火): デューク・エナジー、インガーソール・ランド
●5月13日(水): シスコシステムズ、STERIS PLC
●5月14日(木):ノートンライフロック、アプライド・マテリアルズ
●5月15日(金):エクスペディア・グループ、ロイヤル・カリビアン・クルーズ、VF
●5月18日(月):バイドゥ
■主要イベントの予定
●5月12日(火)
・米セントルイス連銀総裁が経済見通しについて講演 (バーチャル会議)、米フィラデルフィア連銀総裁が講演(電話会議)、米クリーブランド連銀総裁がオンラインセ ミナーに参加
・米CPI (4月)、財政収支 (4月)
●5月13日(水)
・米PPI (4月)
●5月14日(木)
・国際エネルギー機関(IEA)月報
・米新規失業保険申請件数 (9日終了週)、輸入物価指数 (4月)
●5月15日(金)
・米小売売上高 (4月)、鉱工業生産 (4月)、企業在庫 (3月)、米求人件数 (3月)、ミシガン大学消費者マインド指数 (5月)、対米証券投資 (3月)
●5月18日(月)
・NAHB住宅市場指数(5月)
(Bloombergをもとにフィリップ証券作成)
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