「トランプ劇場」本番の大統領選挙イヤーへ
米国ウィークリー 2020年1月7日号
- 令和2年、新年あけましておめでとうございます。今年も何卒、「米国ウィークリー」をご愛顧いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
- 大統領選挙を11月に控え、いよいよ「トランプ劇場」も終盤戦に差し掛かかろうとする局面なのだろうか。1/3にイラクのバグダッド国際空港でイラン革命防衛隊コッズ部隊のソレイマニ司令官が米軍の無人機による空爆で殺害された。12/27以降、イラク駐留米軍がイラクのシーア派民兵の強硬派から繰り返し攻撃を受け、12/31には米国大使館がデモ隊に襲撃されたことに対してトランプ大統領が激怒したことが発端となって指令を発したと伝えられている。これを受け、1/3の米国株式市場はダウ工業株30種平均の終値で前日比233ドル安の28,634ドルに下落した。イランで英雄視されているソレイマニ司令官の殺害によりイラン国民の反米感情が高まる中、米国防総省は1/3に中東地域に約3,500人の部隊を増派する方針を示し、トランプ大統領もイランが米国人や米国の財産に攻撃を仕掛けた場合に「イランの52ヵ所を標的とする」とツイートするなど、米・イランの軍事緊張が高まる様相を呈してきている。
- イランが報復措置の検討に入る中、対立するイスラエルのテルアビブなどが攻撃目標の候補になるとイランのメディアが伝えている。トランプ大統領の選挙対策の観点から言えば、ユダヤ系の票を確保するためにイスラエル寄りの政策を断行する必要性もあろう。また、弾劾訴追の採決直前だった1998/12に当時のクリントン大統領がイラクに空爆した前例がある中、1/3に開会された米議会上院ではトランプ大統領のウクライナ疑惑をめぐる弾劾裁判が予定されている。更に、1/1に核・ICBM実験再開を宣言した北朝鮮に対し、欧米など6ヵ国と締結した核合意を順守しないイランが今後どのような攻撃を受けるのかを示す「見せしめ」としての威嚇効果もあるだろう。現在は、米国主要株価指数が史上最高値圏にあり、景気先行きへの懸念も薄れつつある。それに加え、米中貿易摩擦が「第1段階」の合意によってひとまず休戦中であることから、中東情勢における強硬策をとりやすいタイミングなのかも知れない。トランプ大統領がいよいよ米大統領選再選に向けて重要なカードを切ってきたのだろうか。
- 当面の相場展開は、原油価格上昇が続く場合の企業業績への影響、および昨年末に向けて買いが加速したアップル(AAPL)やマイクロソフト(MSFT)の株価が決算発表を控えて調整するのかどうかなどを注視していきたい。(笹木)
S&P500業種別およびNYダウ構成銘柄の騰落率(1/3現在)
■主な企業決算の予定
●1月8日(水):ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス、コンステレーション・ブランズ、レナー
●1月14日(火):ウェルズ・ファーゴ、JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー、シティグループ、IHSマークイット、ファースト・リパブリック・バンク、デルタ航空
■主要イベントの予定
●1月7日(火)
・・家電見本市「CES」(ラスベガス、10日まで)
・米ISM非製造業総合景況指数(12月)、貿易収支(11月)、製造業受注・耐久財受注(11月)
・ユーロ圏小売売上高 (11月)、ユーロ圏CPI (12月)
●1月8日(水)
・米ADP雇用統計(12月)、米消費者信用残高(11月)
・ユーロ圏景況感指数(12月)、ユーロ圏消費者信頼感指数(12月)、独製造業受注(11月)
●1月9日(木)
・米クラリダFRB副議長講演、米セントルイス連銀総裁講演、ニューヨーク連銀総裁講演
・米新規失業保険申請件数(1月4日終了週)
・ユーロ圏失業率(11 月)、独貿易収支(11月)、独鉱工業生産 (11月)
●1月10日(金)
・米雇用統計 (12月)、米卸売在庫 (11月)
●1月13日(月)
・月次財政収支(12月)
●1月14日(火)
・消費者物価指数(12月)
(Bloombergをもとにフィリップ証券作成)
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公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員補 増渕透吾
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