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米中ハイテク覇権競争がいよいよ幕開けか?

米国ウィークリー 2019年11月12日号

Source:Bloomberg
  • 米中貿易摩擦が「米中5G通信テクノロジー覇権競争」へとその性格を変えつつあるのだろうか?11/7に米調査会社IDCが発表したところによれば、2019/7-9の世界のスマートフォン出荷台数が前年同期比0.8%増の3.58億台となった。シェア2位の中国ファーウェイの出荷台数は同28.2%増の6,660万台と大幅に伸び、メーカー別のシェアも同4.0%ポイント上昇の18.6%となった。米国による事実上の禁輸措置に伴い、Androidの一部機能が搭載できなくなる事態に備えて事前に在庫を積むために出荷を増やしたことも影響したと見られる。更に、中国では11/3までに5G通信システムの商用サービスが開始され、北京や上海など50都市を皮切りとして来年には提供範囲を大幅に拡大させる計画であることが報じられた。当初、中国政府は2020年のサービス開始を計画していたが、これを前倒しさせ、巨大な国内市場でいち早く商用サービスを本格展開することによってハイテク分野での米国との国際競争で優位に立つ狙いがあるものと考えられる。中国は大規模商用サービスの実績を積み重ねて米国とのハイテク覇権に「先行逃げ切り」で勝つ戦法であろうか。半導体製造ファウンドリの台湾積体電路製造TSMの決算においても半導体メーカーの設備投資加速が明らかになり、今秋以降の主要株価指数の上昇加速の要因にもなっている面がある。その背景には米中のハイテク覇権をめぐる競争があるとも考えられよう。
  • 11/4週の米国株式市場もファーウェイ関連の発言が注目された。ロス商務長官はファーウェイへの事実上の禁輸措置について「一部の輸出許可の解禁は間もなくだ」と述べた一方、FCC(米連邦通信委員会)のアジット・パイ委員長はファーウェイを「米国の通信ネットワークにおいて重大な懸念だ」と批判した。中国政府が「米中が発動済みの追加関税を段階的に撤廃する方針で米国と一致した」と発表したことに対し、トランプ大統領が「合意していない」と否定するなど懸念材料を残したものの、米国株式市場は堅調に推移し、ダウ工業株30種平均株価(NYダウ)の終値が11/8に過去最高値を更新して27,681ドルを付けた。
  • ファクトセットの調査によるS&P500構成企業の7-9月期決算では、EPS(1株当り利益)の実績および市場予想の平均値が11/1時点で前年同期比2.7%減となった。10/18時点の同4.7%減よりは改善しているものの企業業績の先行き懸念が残る内容と言えよう。その意味では、米中5G通信テクノロジー覇権競争における米国の追い上げが今後の株価上昇の原動力として期待されよう。(笹木)

S&P500業種別およびNYダウ構成銘柄の騰落率(11/8現在)

■主な企業決算の予定

●11月12日(火):CBS、タイソン・フーズ、DRホートン、ロックウェル・オートメーション、アドバンス・オート・パーツ、スカイワークス・ソリューションズ

●11月13日(水):シスコシステムズ、ネットアップ

●11月14日(木):バイアコムウォルマートエヌビディアアプライド・マテリアルズ

●11月15日(金):ヘルマリック・アンド・ペイン

■主要イベントの予定

●11月12日(火)

・フィラデルフィア連銀総裁の講演、ミネアポリス連銀総裁の講演

・独ZEW期待指数(11月)、英IL・失業率(7-9月)

●11月13日(水)

・パウエルFRB議長が上下両院合同経済委員会で証言、ミネアポリス連銀総裁が質疑応答

・NZ中銀が政策金利発表

大統領がトルコ大統領と会談(ワシントン)下院情報特別委員会がウクライナ疑惑を巡る公聴会を開始

CPI10月)、財政収支(10月)

・ユーロ圏鉱工業生産(9月)、独CPI(10月)、英CPI(10月)、ロシアGDP(3Q)

●11月14日(木)

クラリダFRB副議長の講演、シカゴ連銀総裁の講演、サンフランシスコ連銀総裁がアジア経済政策会議で冒頭の挨拶、ニューヨーク連銀総裁の講演セントルイス連銀総裁の講演、フィリピン中銀が政策金利発表

OPEC月報

PPI10月)、新規失業保険申請件数(9日終了週)

・ユーロ圏GDP(3Q)、独GDP(3Q)、中国固定資産投資・工業生産・小売売上高(10月)、豪雇用統計(10月)

●11月15日(金)

・EU財務相理事会

・国際エネルギー機関(IEA)月報

ニューヨーク連銀製造業景況指数(11月)、輸入物価指数(10月)、小売売上高(10月)鉱工業生産(10月)、企業在庫(9月)

・ユーロ圏CPI(10月)、中国新築住宅価格(10月)、マレーシアGDP(3Q)、香港GDP(3Q)

●11月18日(月)

・MBA住宅ローン申請指数(11月)、CPI(10月)

(Bloombergをもとにフィリップ証券作成)



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