【ドル円 (USD/JPY)】今週の注目材料と展望、そしてチャートポイントについて
今週は個人消費支出(PCE)価格指数など、重要な米経済指標が発表される。米債市場と米ドル相場は経済指標で上下に振れる展開が予想される。FEDスピーカーらの発言も内容次第で材料視される可能性がある。上値トライを維持するドル円(USD/JPY)の展望は?注目しておきたいチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
サマリー
・今週の注目材料は、米国の経済指標とFRB高官の発言内容となろう
・米国のイベント以外では、ユーロ圏の消費者物価指数がユーロ相場の変動要因に
・ドル円、今週の展望と注目のチャートポイントについて
・ユーロ円、今週の展望と注目のチャートポイントについて
今週の注目材料
注目材料1:2つの米経済指標
米債市場では、利回りの反発が一服のムードにある。しかし、経済指標でトレンドが左右されている現在の状況を考えるならば、今週発表される重要経済指標の内容次第で、米金利には再び上昇の圧力が高まることが予想される。米ドル相場のトレンドは、米金利の動きに左右されるだろう。
今週も重要な米経済指標がいくつか発表される。注目すべきは、29日の1月個人消費支出(PCE)価格指数と翌月1日の2月ISM製造業景況感指数となろう。
1月の物価指数(CPIとPPI)では、インフレ圧力の根強さを示唆する内容が続いた。
米連邦準備制度理事会(FRB)が注視する個人消費支出(PCE)価格指数、特にコア指数でインフレ圧力の根強さが確認される場合は、米金利の反発と米ドル買いの要因になり得る。
同日に発表される週間の新規失業保険申請件数で労働市場の堅調さも確認される場合は、米ドル高が進行することが予想される。
米国 個人消費支出価格指数の動向:月次23年以降
2月のISM製造業景況感指数も米債市場と米ドル相場の変動要因になり得る。
現時点での市場予想は49.5と、製造業の回復基調が続く見通しとなっている。新規受注、雇用そして支払い価格などの構成項目全般で改善が見られる場合は、やはり米金利の上昇と米ドル高の要因となろう。
一方、個人消費支出(PCE)価格指数やISM製造業景況感指数が予想を下回る場合は、米金利の低下と米ドル安を想定しておきたい。
米国 ISM製造業景況感指数の動向:月次23年以降
注目材料2:FRB高官の言動
今週は、何人かの米連邦準備制度理事会(FRB)の高官が講演やイベントに参加する。
今週27日にカンザスシティ地区連銀のシュミッド総裁が、経済および金融政策の見通しについて講演を行う。また、アトランタ地区連銀のボスティック総裁も今月28日と29日、そして3月1日に経済や金融政策の見通しについての講演を行う予定である。
その他、NY地区連銀のウィリアムズ総裁、シカゴ地区連銀のグールズビー総裁、サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁、そしてウォラーFRB理事らが討論会やイベントに参加する予定である。
金融政策の方向性に言及する場合は、「経済データ次第」の姿勢を踏襲することが予想される。新味に欠ける発言が続く場合、外為市場で材料視される可能性は低いだろう。
一方、インフレのさらなる鈍化を見越し、将来の利下げについて前向きな発言が聞かれる場合は、米ドル安の要因になり得る。
注目材料3:ユーロ圏のインフレ動向
3月1日にユーロ圏の2月消費者物価指数(速報値)が発表される。
価格の変動が大きい食品やエネルギーを除くインフレ率(前年同期比)は昨年3月に5.7%まで上昇した後に鈍化の傾向へ転じ、直近は3.3%まで低下している。
しかし、欧州で相次ぐ賃上げのストライキは、インフレの鈍化を阻む賃金インフレの要因になり得る。また、中東情勢の混迷を受け直近の原油先物価格は下げ止まりのムードにある。
後者については現状、急騰するムードは見られない。しかし「中東情勢のさらなる緊迫化→原油先物価格の上昇や高止まり→インフレの鈍化を阻む要因」となる可能性がくすぶっている。
先行き不透明な情勢を意識し、欧州中央銀行(ECB)は市場が抱く早期の利下げについて否定的な姿勢にある。この状況で2月の消費者物価指数がユーロ圏のインフレ圧力の根強さを示唆する場合は、ユーロ高の要因になり得る。このケースでは、163円台の攻防にあるユーロ円(EURJPY)の動向に注目したい。
一方、インフレの鈍化傾向があらためて確認される場合は、ユーロ売りで反応することが予想される。
先週22日の外為市場でユーロドル(EUR/USD)は長い上ヒゲが示現し、1.09レベルの手前で上昇が止められた。この動きは、1.09レベルがレジスタンスの水準へ転換する可能性を示唆した。
上で述べた今週の米経済指標が総じて予想以上となり、ユーロ圏の消費者物価指数でインフレの鈍化傾向が確認される場合、ユーロドルはサポートラインとして意識されている10日線のトライおよび下方ブレイクを想定しておきたい。
この移動平均線は今日現在、1.0784前後で推移している。
ユーロ圏 消費者物価コア指数の動向:月次21年以降
ドル円、今週の展望とチャートポイント
高金利の通貨を中心に進行する円安
G10通貨に対する年初来の円相場の動向を確認すると、総じて円安優勢にある(下のチャートを参照)。
注目すべきは、政策金利の水準が5%台にある通貨で円安が進行していることである。この状況は、日銀が金融政策の正常化に対して慎重な姿勢で臨んでいること、そしてマイナス金利の解除が行われた後も緩和姿勢を続ける可能性があることを市場参加者が意識していることを示唆している。
また、日米の株式市場が上昇のトレンドにあることも考えるならば、今週のドル円(USD/JPY)は、新たな上値の水準の見極めが焦点となろう。
円相場の動向:年初来
焦点は151.90レベルの攻防
今週の米経済指標でインフレ圧力の根強さや景気の底堅さが確認される場合、反発基調に一服感が出ている米債市場では、利回りに再び上昇の圧力が高まることが予想される。
米金利の上昇は日米利回り格差の拡大要因となり、ドル円(USD/JPY)のさらなる上昇を促すだろう。ゆえに今週のドル円は、米国の経済指標で大きく動くことが予想される。
日米の利回り動向とドル円のチャート:日足23年7月以降
今週、ドル円が上値をトライする局面では、現在レジスタンスの水準として意識されている151.00レベルの突破が最初の焦点となろう(下の日足チャートを参照)。
ドル円が151円台の攻防へシフトする場合は、22年と23年にドル円の上昇を止めた151.90台のトライが焦点として浮上しよう。
ドル円が151.90台を確実に突破してくる場合は、152円台の攻防へシフトする展開を想定しておきたい。
また、151.90レベルを突破した後、反落の局面でこの水準がサポートへ転換するかどうか?この点の確認も重要な焦点となろう。
151.90前後がレジスタンスからサポートの水準へ転換する場合は、市場参加者に地合いの強さを印象付けるからだ。
ドル円のチャート:日足23年11月以降
反落局面での焦点は?
日足のストキャスティクスは、横ばいで推移しながらも買われ過ぎの水準でデッドクロスの状況が散見されている。RSIも買われ過ぎの水準付近で同じ状況にある(上の日足チャートを参照)。
このタイミングでさえない米経済指標やFEDスピーカーらの発言が米ドル安の要因となる場合は、ドル円(USD/JPY)の反落相場を想定しておきたい。
ドル円が下値をトライする局面で最初に注目したいのが、今月の7日以降、相場をサポートしている10日線の攻防である。今日現在、150.30台で推移しているこの移動平均線を維持する場合は、151円台を目指す展開が予想される。
下の1時間足チャートをみると、短期サポートラインが150.30台で推移し、かつフィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準が150.35レベルにあたる。
上で述べた10日線の動向も考えるならば、テクニカルの面では150.30台の攻防に注目したい。
一方、ドル円が10日線を下方ブレイクする場合は、150.00レベルの維持が焦点として浮上しよう。テクニカルの面では、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準159.09レベルの攻防に注目したい。
ドル円が149円台へ反落する場合は、サポート転換のムードが出ている149.50レベルの維持が再び焦点として浮上しよう(上の日足チャートを参照)。
ドル円のチャート:1時間足:2月20日以降
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