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【ドル円の週間展望】米ドル高が進行、焦点は150円の維持、強い米経済指標が続けば200日線が視野に

外為市場では米ドル高が進行している。今週の米経済指標でソフトランディングの期待がさらに高まる場合は、米ドル高のトレンドが続くだろう。米ドル高にサポートされているドル円は、150円の維持と200日線のトライが焦点となろう。

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記事のポイント

・10月に入り外為市場では、米ドル高が急速に進行している
・原油安でも米長期金利は4.0%台で高止まりしている
・今週も強い米経済指標が続けば、米ドルは上昇トレンドを維持しよう
・ドル円は150円の維持と200日線のトライが焦点に、下値の焦点は148円の維持


急速に進行する米ドル高

10月に入り外為市場では、米ドル高が急速に進行している。米ドルの方向性を示すドル指数(DXY)は先週103.87レベルまで上昇した。テクニカルの面では、200日線とフィボナッチ・リトレースメント61.8%の攻防が焦点に浮上している(下の日足チャート、黒矢印を参照)。

今週、ドル指数がこれらテクニカルのラインをも完全にブレイクアウトすれば、フィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準104.72レベルを視野に米ドル高がさらに進行する可能性が高まるだろう。

ドル指数のチャート:日足 2024年6月以降

ドル指数のチャート:日足 2024年6月以降

出所:TradingView

通貨別の週間騰落率でも米ドル買いの強さがうかがえる。先週は先進国通貨、新興国通貨を問わず、総じて米ドル高優勢の展開となった。

先週の外為市場では円を買う動きも見られた。しかし、下の騰落率チャートを確認すると、小幅ながらも米ドルは対円でも上昇した。この動きも、今の米ドル高圧力の強さを示唆している。

米ドルの騰落率:10月14日~18日

米ドルの騰落率:10月14日~18日

ブルームバーグの為替データで筆者が作成

高止まりする米金利

米ドル高のトレンドを支えているのが、長期金利の上昇である。米金利上昇の背景にあるのが、原油高と景気のソフトランディング期待である。

9月の下旬以降、米長期金利は原油高に連動して反発トレンドへ転じた。今月10日以降、4.11%台まで上昇する局面が何度か見られた。

その原油先物価格だが、直近は中東懸念の後退と石油需要の減少が意識され、NY原油先物価格は70ドルの水準を割り込む状況にある。北海ブレント先物価格も72ドル台まで下落する局面が見られた。

原油安を受け、先週は米長期金利の上昇が抑制された。しかし低下基調へ転じるムードはなく、むしろ4.0%台で高止まりしている。

4%の水準は米国債の投資妙味が意識されやすい水準である。それでも高止まりしている状況は、強い経済指標を受けたソフトランディング期待が、意識されていることを示唆している。

原油先物価格と米長期金利の動向:日足 2024年7月以降

原油先物価格と米長期金利の動向:日足 2024年7月以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成

経済指標次第ではさらなる米ドル高も

今週24日に10月の購買担当者景気指数(PMI)速報値が発表される。PMI総合指数はサービス部門の動向に連動している(下のチャート、赤ラインを参照)。

9月のISM非製造業景気指数は54.9と、2023年2月以来の高水準となった。PMIでもサービス部門の活動が拡大していることが示される場合は、景気のソフトランディング期待をさらに高めるだろう。10月のサービス部門は55.0と、9月の55.2からほぼ横ばいの予想となっている。

ソフトランディング期待の高まりは米金利の高止まり要因となろう。米金利の高止まりは、米ドル高のトレンドを下支えするだろう。

米国 購買担当者景気指数の動向:2021年10月以降

米国 購買担当者景気指数の動向:2021年10月以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成

また、同日に発表される週間の新規失業保険申請件数にも引き続き注目したい。先週は24.1万件と、前週の26.0万件から減少した。しかし、4週移動平均は拡大傾向へ転じている。失業保険継続受給者数も同じ状況にある。労働市場の堅調さが新規失業保険申請件数でも確認される場合は、米ドル高の要因となろう。

一方、PMI速報値が予想を下回り、かつ新規失業保険申請件数が予想以上に増加する場合は、米ドル高の調整(反落)要因となろう。

米国 新規失業保険申請件数の動向:週次 2023年以降

米国 新規失業保険申請件数の動向:週次 2023年以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成

失速する投機筋の円買い

主要な海外中銀の金融政策が緩和サイクルへ転じていることで、先週は過度の円安圧力が後退し、クロス円を中心に円買い優勢の展開となった。

しかし、投機筋の円買いは失速している。米国商品先物取引委員会(CFTC)のデータによれば、10月15日の時点で円のポジションはネットロングの状況を維持している。しかし、その水準は10月以降、ジリジリと切り下がる傾向にある。そしてじわりと円ショートを仕掛ける動きが見られる。

投機筋の動向:円のポジション

投機筋の動向:円のポジション

ブルームバーグのデータで筆者が作成


ドル円の週間展望

150円の維持と200日線の攻防
通貨オプションのリスクリバーサルの動向を確認すると、1週間と1ヶ月のそれらに大きな変動は見られない。一方、予想変動率は低下の基調にある。

今夏のリスク回避局面と対照的な状況にある今の動きは、ドル円(USD/JPY)の上昇トレンドが続く可能性を市場参加者が意識していることを示唆している。

ドル円のリスクリバーサルと予想変動率:日足 2024年7月以降

ドル円のリスクリバーサルと予想変動率:日足 2024年7月以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成

テクニカルの面でも、ドル円の地合いの強さを示唆する動きが見られる。反落の局面では短期の10日線でサポートされている。そして中期の50日線は、緩やかに上昇基調へ転じつつある。日足のMACDは横ばい推移へ転じているが、ゼロラインより上の水準を維持している。

長期金利の高止まりを受け米ドル高優勢の状況にあることも考えるならば、今週のドル円は150円台の維持と151円台へ上昇できるかどうか?これらの点が焦点となろう。ドル円が151円台へ上昇する場合は、テクニカルの面で200日線の攻防が焦点に浮上しよう。この移動平均線は今日現在、151.28レベルで推移している(下の日足チャート、黄色ラインを参照)。

ドル円が200日線を完全に突破すれば、次の焦点はフィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準151.53レベルのトライが焦点に浮上しよう。

ドル円が再び150円台へ上昇した後、150.00レベルがサポートラインへ転換する場合は、強気相場に勢いが増している状況を市場参加者に印象付けよう。ゆえにこのケースでは、上で述べたテクニカルラインの攻防をより強く意識したい。

ドル円のチャート:日足 2024年7月以降

ドル円のチャート:日足 2024年7月以降

出所:TradingView

ドル円のサポートポイント

日足のRSIはデッドクロスへ転じるムードにある(上の日足チャート、紫の矢印を参照)。今週の米経済指標がドル安の要因となれば、ドル円(USD/JPY)の調整相場(反落)を想定しておきたい。また、日米株高の調整で円の買い戻しが進行する場合も同じくドル円の反落相場を意識したい。

だが上で述べたとおり、レポート掲載時点での通貨オプションではドル円の下落幅が拡大する状況を意識する状況にない。直近の経済指標で米国経済の底堅さが確認された状況も考えるならば、今週の経済指標が米ドル安そして米株安の要因となっても、一時的な動きで終わる可能性が高い。ゆえに、ドル円の下落幅も限定的となることが予想される。

ドル円が下値をトライする場合、今週は148円の維持に注目したい。45分足チャートにフィボナッチ・リトレースメントをプロットすると、10日線のすぐ下の水準149.18レベルが38.2%戻しにあたる。10日線とともにサポートゾーンを形成する可能性がある。ドル円が148円台へ反落するかどうか?を見極める水準として注目したい。

ドル円が38.2%戻し(10日線)を下方ブレイクする場合は、148円台への反落を想定しておきたい。このケースでは、リトレースメントの各水準の攻防に注目したい。76.4%戻しの水準は148.00レベルにあたる。テクニカルの面でも148円の維持は重要な焦点となろう。

分足(本レポートでは45分足を採用)のMACDとRSIで相場のトレンドと短期的な過熱感を追い、これらがゴールデンクロスへ転じる局面では、ドル円の上昇相場を意識したい。

特に上で取り上げたサポート水準の攻防でゴールデンクロスが確認される場合は、ドル円の上昇幅が拡大する展開を想定しておきたい。

ドル円のチャート:45足 10月以降

ドル円のチャート:45足 10月以降

出所:TradingView


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