経済活動再開に向けて前向きな話が増え始めた
米国ウィークリー2020年4月21日号
- 4/15、ドイツのメルケル首相が4/20より800平米以下の小・中規模商店の営業再開を認めることを発表したのに続き、4/16に米トランプ大統領が各州の知事の判断で3つの段階に分けて制限の緩和・解除を進めるとするガイドラインを発表。これに歩調を合わせるかのように、ギリアド・サイエンシズ(GILD)の新型コロナウイルス治療薬候補「レムデシビル」の投与が重症患者の急速な回復につながったとのレポートが米医療関連ニュースサイトに掲載された。更に、スタンフォード大学の研究者らが米サンタクララ郡の住民から採取した血液サンプルでウイルス抗体を検査したところ、確認された感染者数の50倍から85倍に当たる全人口の2.5%から4.1%が感染していることが推定されるとした研究結果が4/17に公表された。これによると実際の致死率は0.2%未満となり、従来予測よりも広く拡散しそれほど致死率も高くなく、パンデミックの恐怖が誇張されている可能性を示唆するのではないかという見方も出てきた。投資の観点では、科学的な確からしさよりも欧米主要国が経済活動再開に向けた動きを正当化するようなデータが表に出やすくなり、株式市場を動かす要因となる面があるということが重要であろう。米国株式市場もダウ工業株30種平均株価(NYダウ)の4/17終値が前日比704ドル高の24,242ドルで引け、2/12の高値(29,568ドル)から3/23の安値(18,213ドル)までの下落幅の53%を回復する上昇となった。
- 4/14より始まった米国主要企業の1-3月決算発表では主要金融機関が軒並み大幅減益であるが、これは2020/1から導入された貸倒引当金計上の基準変更による面が大きく新型コロナウイルスの影響だけではない点は要注意だろう。また、ウイルス検査薬や消費者向け医薬品、トイレタリー商品を扱うヘルスケアや一般消費財メーカーの業績が好調であることも示されている。ファクトセット調査によれば、4/9時点におけるS&P500株価指数構成企業の1-3月の予想平均増益率は前年同期比▲10%である。この水準を下回るようであれば、米国株式市場の戻り上昇相場が調整局面を迎える可能性もあろう。ただし、米国株式市場を見る場合、特にS&P500とナスダックは時価総額加重平均の株価指数であり、マイクロソフト(MSFT)、アップル(AAPL)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)、アルファベット(GOOGL)などの時価総額が大きい銘柄の中に好業績銘柄がある場合、その特定少数銘柄が割高に買われることにより、指数全体がある程度まで下支えされる余地がある点には留意が必要だろう。
S&P500業種別およびNYダウ構成銘柄の騰落率(4/17現在)
■主な企業決算の予定
●4月21日(火): ネットフリックス、テキサス・インスツルメンツ、フィリップ・モリス・インターナショナル、ロッキード・マーチン、コカ・コーラ、エマソン・エレクトリック、HCAヘルスケア、トラベラーズ、チポトレ・メキシカン・グリル
●4月22日(水):AT&T、サーモフィッシャーサイエンティフィック、バイオジェン、キンダー・モルガン、デルタ航空、ラムリサーチ、ナスダック、ザイリンクス、ラスベガス・サンズ
●4月23日(木):インテル、キャピタル・ワン・ファイナンシャル、ユニオン・パシフィック、イーライリリー、ベリサイン、Eトレード・ファイナンシャル
●4月24日(金):ベライゾン・コミュニケーションズ、アメリカン・エキスプレス
●4月27日(月): PPGインダストリーズ、F5ネットワークス、セラニーズ、ユニバーサル・ヘルス・サービシズ
■主要イベントの予定
●4月21日(火)
・米中古住宅販売件数 (3 月)
●4月22日(水)
・米 FHFA住宅価格指数 (2月)
●4月23日(木)
・米新規失業保険申請件数 (18日終了週)、新築住宅販売件数 (3月)
●4月24日(金)
・米耐久財受注 (3月)、ミシガン大学消費者マインド指数 (4月)
●4月27日(月)
・ダラス連銀全米活動指数(4月)
(Bloombergをもとにフィリップ証券作成)
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