中国人民元と豪ドルの動向
米中対立リスクを背景にグローバル市場はリスク回避一色となっています。外為市場の焦点は中国人民元と豪ドルの動向です。中国指導部がどこまで人民元安を容認するのか?今日のRBAイベントは豪ドル相場にどのような影響を与えるのか?マーケットレポートをご覧ください。
Analysis Highlights
・中国人民元と豪ドルの動向
米中対立リスクの再燃を背景に5日の主要な株価指数は軒並み下落した。一方、米国債券市場では長期金利(以下米金利)が一時1.709%まで低下する局面が見られた。「株安/米金利の低下」という典型的なリスク回避相場を受け、外為市場では「円高/新興国通貨安」の展開に。米ドル相場は新興国通貨売りにサポートされるも、日本円、スイスフランそしてユーロといった主要な先進国通貨に対しては下落した。だが、5日のレポート「中国の指標データとオセアニア通貨の動向」で指摘したオセアニア通貨 ― 豪ドル&NZドルに対しては上昇した。これら通貨は日本円やユーロに対しても売り優勢の展開となった。特に米中対立が再燃して以降、豪ドルの売り圧力がさらに高まっており、このタイミングで豪準備銀行(RBA)が追加利下げに積極的なスタンスを示すならば、豪ドル相場の下落幅が拡大しよう。株安圧力が高まっている状況を考えるならば、特に注視すべきは豪ドル円の動向である。現状、重要サポートポイントの72.00レベル(プロジェクション61.8%)を下方ブレイクしている。リスク回避相場が続く場合、心理的節目の70.00をトライする可能性が高まってきた。
米中対立リスクのバロメーターとして、目先は中国人民元の動きにも注意する必要がある。米ドル/人民元(USD/CNH)は5日、「1米ドル=7.0元」の天井を突破し、約11年ぶりの水準まで下落している。レポート執筆時点で7.1388元とさらに人民元安が進行している。内需の低迷を輸出で補うために中国指導部が人民元安を容認したとの報道があるが、肝心のマーケットがリスク回避で反応している状況を考えるならば、人民元安の進行は中国市場からのキャピタルフライトを各市場に想起させている。よって、今後の焦点は中国指導部がどの程度の水準まで人民元安を容認するか、この点にある。この水準が明確になるまで人民元安が続くことを想定したい。人民元安を背景としたリスク回避相場下での外為市場では「円高 / 新興国通貨安」の展開が続こう。
【豪ドル円】
・ドル円とユーロドルの展望
今日のドル円も上値の重い展開を予想する。21日MA(107.89前後)との乖離率が2.0%を超えている状況を考えるならば、調整の買戻しは散見されよう。だが、グローバル市場がリスク回避相場から脱却しない限り、昨日高値106.67レベルまでの反転が限界と予想する。5日MAが推移している106.85および107.00にはオファーが観測され始めている。一方、下値の焦点は105.00の維持となろう。この水準には厚いビッドの観測あり。105.50にもビッドが観測されている。
ユーロドルは引き続き米金利にらみの展開が続こう。昨日は米金利の急低下にサポートされ1.1212まで急伸した。本日オセアニアタイムでも反発基調は続き、1.1412(6/25高値)を起点とした短期レジスタンスラインの突破に成功している。米金利の低下基調が続く場合、次のターゲットは7月上旬に上値をレジストし続けた1.1280レベルである。1.1270および1.1290にはオファーの観測あり。一方、下値の焦点は21日MA(1.1186前後)がレジスタンスからサポートへ転換するかどうか、この点を見極めたい。
【ドル円】
【ユーロドル】
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