各国中銀のスタンスと指標データ
9月は米欧中銀イベントが最大の焦点となるでしょう。FED、ECBともに緩和スタンスを鮮明していますが、これが長期にわたって続かどうか、焦点はこの点にあります。両中銀の将来のスタンスは結局のところ指標データ次第でしょう。詳細はマーケットレポートをご覧ください。
Analysis Highlights
・各国中銀のスタンスと指標データ
今月以降、外為市場はこれまで以上に各国中銀のスタンスを注視する局面へとシフトしよう。目先は、FEDとECBの政策スタンスに市場関係者の耳目が集中するだろう。今月、両中銀とも利下げに動くことが予想されているが、最大の焦点は『緩和スタンスが続くかどうか』、この点にある。これを見極める上での重要なファクターは、言うまでもなく指標データである。
中国国家統計局が先月31日に発表した8月製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.5と、前月から0.2ポイント低下し、好不況の分岐点である50.0ポイントを4カ月連続で下回った。その他の指標データでも中国経済の減速傾向が確認される中、今週発表される米国の指標データ、特に8月ISM製造業景況指数や同月雇用統計までが総じて市場予想を下回るならば、米長期金利(以下米金利)の低空飛行状態が続こう。このケースでのドル円だが、昨年10月以降、米金利との相関性が高まっている状況を考えるならば、106円台で上値の重い状況が続こう。一方、米株は景気減速懸念よりもFEDの追加利下げの方が意識されることで、調整の反落を挟みながら堅調地合いの維持しよう。だが今年5月以降、『株高→円安』という従来の関係性は薄れている。よって、株高圧力が高まってもそれによる円安効果は限定的と予想する。ユーロドルは米金利の低下による反発局面が見られよう。だが、ドイツ経済の減速とECBの利下げが強く意識されている状況を考えるならば、6月25日高値1.1412を起点とした短期レジスタンスラインで上値がレジストされる展開を意識しておきたい。米金利の低下と株高の恩恵を受ける新興国通貨は対米ドルで堅調地合いとなろう。
一方、米指標データが総じて市場予想を上回る場合は、米金利の反発と米ドル高を予想する。ドル円は107円台をうかがう展開となろう。一方、ユーロドルは1.09を視野に下落幅の拡大を予想する。主要な新興国通貨も対米ドルで下落しよう。
尚、今週は豪ドル相場の動向にも注視したい。中国および豪州の各指標データの発表が予定されているが、これらが総じて市場予想を下回る場合、市場関係者は10月以降のRBAによる追加利下げを強く意識しよう。最も中国経済の減速傾向はすでに確認されており、今週3日のRBAイベントで追加利下げのシグナルを発信してくる可能性もある。どちらにしても今週の豪ドル相場は下落リスクを警戒する1週間となろう。尚、金利先物市場から算出される10月のRBA利下げ確率は、現時点で54%前後となっている。
【米長期金利(10年債利回り)】
・ドル円とユーロドルの展望
今週のドル円のトレンドは、米中指標データの内容に左右されよう。これらが総じて市場予想を上回る場合は、米金利の反発を土台とした上昇相場を予想する。上値の焦点は、先月中旬以降相場をレジストしている106.80レベルの突破である。これに成功する場合、107.00トライを意識したい。106.70~107.00にはオファーが観測されている。一方、米中指標データが総じて市場予想を下回る場合は『米金利の低下→米ドル安』を予想する。ドル円は105円台へ反落する局面が見られよう。
ユーロドルも米中指標データの内容と米金利の動向にトレンドが左右されよう。総じて良好な指標データが確認される場合は『米金利の反発→ユーロドルの下落』を予想する。このケースでは、ビッドが観測されている1.0950および1.0900を視野に下落幅の拡大を予想する。一方、中国のみならず米国経済の先行き懸念を想起させる指標データの内容が確認される場合は、『米金利の低下→ユーロドルの反発』を予想する。だが、今月12日の理事会でECBが利下げに動く可能性が高まっている現状を考えるならば、上昇幅は限定的となろう。目先の焦点は1.11レベルの回復である。テクニカル面では、6月25日高値1.1412を起点とした短期レジスタンスラインの攻防に注目したい。このラインは今週1.1145→1.1125で推移する。
【ドル円】
【ユーロドル】
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