円高の要因③
米国発のイベントで各市場は右往左往しています。昨日は米債市場で逆イールドが一時的に発生。各市場ではリスク回避圧力が高まりました。リスク回避相場は相変わらずの円高要因です。しかし、真の円高要因は他にあると考えています。その要因とは?マーケットレポートをご覧ください。
Analysis Highlights
・円高の要因③
14日の海外外為市場は、リスク回避相場を背景に円高優勢の展開となった。今回のリスク回避の主因は、米債市場での逆イールド発生-10年債利回り(1.57%)と2年債利回り(1.63%)の水準が一時的にせよ逆転したことだった。昨年12月も逆イールド懸念が意識され各金融市場のボラティリティが高まったが、逆イールド自体は発生していなかった。だが、今回は2007年以来となる逆イールドが発生したことで、米中対立が一時的にせよ後退するという期待はあっけなく雲散霧消してしまった。逆イールドが発生しても、米国経済が実際に景気後退局面へ突入するには約1年後というパターンが見られる。だが、現在は米中対立が激化し、ただでさえ先行き不透明感が意識されている状況にある。このタイミングでの逆イールド発生は、1年後ではなく現在の投資家のリスク許容度を縮小させる要因となろう。そして、逆イールド/米中対立という2つのリスク要因は世界的な緩和競争を加速させよう。事実、今年5月以降、先進国/新興国を問わず各国の主要な中銀は次々と利下げに踏み切っている。そしてこの状況こそ、外為市場で円高圧力を高める要因になると筆者は考えている。なぜなら、日銀には緩和競争に対抗できるだけの効果的な政策オプションがないことを市場が見抜いているからだ。5月以降の円高トレンドはこの点を示唆している。今後、世界的に経済が減速しても日銀が取れる政策は-①フォワードガイダンスの修正=現在の金融緩和策を来年春以降も続けることを表明、②イールドカーブコントロールの許容範囲拡大=現在の±0.2%前後から±0.3%前後への拡大、③ETF購入額の増額=現行の年間約6兆円から6兆円超へ増額-の3つである。しかし①の効果は2015年以降無いに等しい状況にある。②についても現在まで目立った政策効果はなく、実際のマーケットではすでにマイナス0.2%台の水準にある。このタイミングで許容範囲を広げても各国中銀が日銀以上に金利水準を引き下げることができる状況にある以上、円安効果は望めないだろう。そして③については、世界的な株安圧力の前では株価をサポートし続けることができないことが昨年10月以降の混乱で証明されてしまった。日銀が採用できる政策オプションの限界は、今後加速する世界的な緩和競争に追随出出来ないことを意味する。これこそ円高圧力を高める重要な要因となろう。
・ドル円とユーロドルの展望
米金利の低空飛行状態が続いていること、そして通貨オプション市場でリスクリバーサルが低下している状況を考えるならば、今日は上値の重い展開を予想する。下値の焦点は105円台の維持である。105.00には厚いビッドが観測されている。また、この水準は21日MA(107.17前後)からマイナス2%のかい離水準にあたる。トランプ米政権が誕生した2017年以降、マイナス2%の水準を下方ブレイクすると反発するパターンが見られる。よって、105.00を下方ブレイクする場合、昨年3月安値104.55トライよりも調整の反転を意識したい。一方、上値の焦点は昨日相場をレジストした106.50のトライとなろう。106.80にはオファーの観測あり。
ユーロドルは米指標データでトレンドが左右されよう。これらが総じて市場予想を上回る場合は、米金利の一時的な反発を背景に1.1100を目指す展開を予想する。一方、総じて市場予想を下回る場合は、1.1200および短期レジスタンスライン(1.1210前後)をトライする展開を予想する。1.1130から1.1100にかけては断続的にビッドが並んでいる。一方、1.1240-50ゾーンにはオファーの観測あり。
【ドル円】
【ユーロドル】
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