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円高の要因②

トランプ発言に各市場は右往左往しています。しかし、円相場のトレンドを見極める上で重要な焦点は世界的な金融政策のトレンドと考えています。昨日に続き、今回もこの点についてフォーカスしました。詳細はレポートをご覧ください。

Source:Bloomberg

Analysis Highlights

・円高の要因

トランプ米大統領は13日、対中関税「第4弾」の対象となる一部の製品に限り、追加関税の発動を9月1日から12月15日へ延長すると突如発表した。この報を受け投資家のリスク許容度が拡大し、13日の海外外為市場は円売り優勢の展開となった。2018年以降、米中対立リスクに関する市場の思惑はトランプ米大統領の言動に大きく左右されている。今後もその状況は変わらないだろう。そして米中対立の動向は円相場のトレンドに影響を与えよう。だが、そのトレンドを見極める上でより重視すべきは世界的な金融政策のトレンドである。この点は、6月以降の株高局面でも円売りが限定的だった事実が示唆している。この傾向は対先進国通貨で顕著に見られたが、問題は株高の影響を相殺する要因とは何か?である。このヒントはドル円にある。昨年10月以降、国際金融市場のボラティリティが高まったことを意識し、FEDはハト派スタンスへと急転換。直近では利下げにまで追い込まれている。その過程で今年のドル円は株高局面に追随することなく、下落トレンドを形成してきた。一方、クロス円で円高圧力が高まり始めたのは今年の5月以降である。このタイミングは米中対立リスクが再燃した時期と重なる。だがより注視すべきは、5月以降、FED以外の主要な中銀もハト派スタンスへの転換を示唆するか、実際に利下げに踏み切っている点にある。直近ではNZ準備銀行(RBNZ)が0.50%の利下げを決定し市場を驚かせたが、5月以降フィリピン、韓国、インドネシア、インド、トルコそしてタイといった諸外国の中銀も次々と利下げに踏み切っている。9月以降はECBが利下げに踏み切る可能性が意識され、10月以降は豪準備銀行(RBA)も追加利下げに踏み切る公算が高まっている。つまり、世界の金融政策のトレンドは「総」緩和の状況へと急速にシフトしている。よって、今後外為市場では通貨安競争が激化するだろう。この状況下で円高圧力が高まっているということは、黒田日銀の限界を市場が見抜いていることを意味する。その限界とは何か?この点については「円高の要因③」で考察する。

【円相場の年初来騰落率】

Japanese Yen 円相場 円高

・ドル円とユーロドルの展望

トランプ米大統領の言動で米中対立リスクは一時的に後退。米国市場がリスク選好で反応した状況を鑑みるに、今日のドル円は堅調地合いを予想する。上値トライが続く場合、目先は昨日相場をレジストした107.00の攻防が焦点となろう。この水準を突破する場合は、21日MA(107.31前後)が次のターゲットとなろう。107.00および107.30にはそれぞれオファーが観測されている。一方、下値の焦点は106円台の維持である。この水準には5日MA(106.07前後)が推移し且つビッドが観測されている。ユーロドルは独GDP(Q2速報値)と米金利にらみの展開が続こう。米中対立リスクが後退し且つ短期レジスタンスライン(1.1215前後)に上値がレジストされている局面で独GDPが市場予想を下回る場合、21日MA(1.1170前後)を完全に下方ブレイクし、1.1100を視野に下落幅の拡大を予想する。1.1160から1.1130にかけては断続的にビッドが観測されている。一方、独GDPが市場予想を上回り且つ米金利が低下する局面では、短期レジスタンスラインをトライする状況が続こう。1.1240から1.1280にかけてはオファーの観測あり。

【ドル円】

USDJPY ドル円


【ユーロドル】

EURUSD ユーロドル

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