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植田日銀は現行の政策をひとまず維持 / 今後の日銀イベントの焦点は?

日銀の新総裁に就任した植田和男氏は現行の金融緩和政策を維持するのが適当と述べた。外為市場では円安が進行した。今後、日銀イベントで注目すべきことは何か?今日のドル円の見通しは?詳細についてはIG為替レポートをご覧ください。

出所:ブルームバーグ 出所:ブルームバーグ

サマリー

・植田日銀は現行の政策を維持、10日の外為市場では円安が進行
・4月の政策決定会合では植田新総裁の対話姿勢が焦点に
・植田日銀が政策修正に動くなら今年の半ば以降か
・ドル円の見通しとテクニカル分析について


植田日銀は現行の緩和政策を維持

緩和政策維持で円安が進行

植田和男日銀総裁は10日、初の記者会見に臨んだ。長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)を軸とした金融緩和政策について植田新総裁は、現状の経済情勢を考え現行の金融政策を維持するのが適当と述べた。

市場機能の低下など現行の金融政策には副作用があると認めつつも、早期の政策修正をけん制したことで外為市場では円安が進行した。米金利の上昇による米ドル買いも重なり、ドル円(USDJPY)はIG為替レポートで注目していた100日MA(133.30レベル)を日足ローソク足の実体ベースで突破した。

クロス円でも円安が進行しユーロ円は145円台、ポンド円は165円台の攻防へシフトしている。

円相場の動向:4月10日

円相場の動向:4月10日 ブルームバーグの為替データをもとに作成 / 基準日:4月7日


日銀イベントの焦点は植田新総裁の対話能力と6月以降の政策動向

市場の関心は今後、日銀金融政策決定会合に集まるだろう。

短期金融市場(OIS市場)の動きを確認すると、4月27~28日に開催される会合では現行の政策を維持することが予想されている。しかし6月以降の会合では、政策修正に踏み切ることを織り込む動きが見られる。

実際のところ、植田日銀の政策運営については国内のインフレ動向のみならず海外の情勢、特に金融システム不安と海外景気の動向に大きく影響されるだろう。現在は、その金融システム不安と景気リスクがくすぶっている。植田日銀が早期の政策修正に踏み切るハードルが高い状況にあるため、4月の会合が円高要因(政策修正による円高)となる可能性は現時点で低い。日銀イベントが円高要因となるならば、政策修正が強く意識されると予想される今年の半ば以降となるだろう。

だが、4月会合の重要性が低いわけではない。黒田日銀は昨年12月の会合で市場の不意をつく政策修正に踏み切り、市場との対話に課題を残した。植田新総裁はこの点を教訓とし、政策修正に踏み切る場合は事前にそのシグナルを発信することで市場との対話を丁寧に行うことが求められる。よって、植田新総裁の対話能力と今後の政策修正のタイミングを見極めるという観点で4月の会合は重要なイベントとなろう。

短期金融市場の動向

短期金融市場の動向 ブルームバーグのデータをもとに作成 / 8時時点の予想推移

ドル円の見通しとテクニカル分析

134円台が視野に

IG為替レポートでは現在のドル円(USDJPY)の焦点について、新たなレジスタンスの水準を見極めることにある、と指摘してきた。

昨日の外為市場では植田日銀が当面の間、現行の金融政策を維持するとの思惑を受け円安が進行した。米金利の上昇による米ドル買いも重なり、ドル円は今月3日にレジスタンスとして相場の反発を止めた100日MA(133.30レベル)を日足ローソク足の実体ベースで突破してきた。

短期サポートラインを維持しての反発であること、133.00レベルをあっさりと突破したこと、そしてMACDでのゴールデンクロス示現も考えるならば、ドル円は引き続き新たなレジスタンスの水準を見極める状況が続くことが予想される。

今日のドル円の焦点は、134円台への上昇である。昨日の上昇を止めた直近高安の半値戻しの水準133.77レベルの突破は、134.00トライのシグナルと想定しておきたい。

ドル円が134円台へ上昇する場合は、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準134.75レベルのトライおよびブレイクが焦点として浮上しよう。今年の3月中旬にこのテクニカルレベルがレジスタンスとして意識された経緯がある。

ドル円のチャート

ドル円のチャート TradingViewの日足:年初来



反落局面での焦点について

ドル円(USDJPY)が反落する場合は、フィボナッチ・リトレースメントの各水準での攻防に注目したい(下の15分足チャートを参照)。

特に50日MA(133.23レベル)下の38.2%水準133.15レベル、そして89日MA(132.77レベル)下の61.8%水準132.71レベルで相場が反転する可能性がある。

半値戻しの水準132.93レベルは、133円台維持の攻防として注目しておきたい。

なお、今日のNYタイム以降、38.2%から61.8%の間で短期サポートラインが推移する。時間帯によっては、フィボナッチ・リトレースメントとこのラインが意識されドル円が反発する可能性がある。ゆえに今日の海外時間は、テクニカルポイントでの攻防をより意識しておきたい。

ドル円のチャート

ドル円のチャート TradingViewの15分足:年初来

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