WTI原油先物、貯蔵不安が依然重しに 米国在庫は13週連続増加
・クッシング在庫、限界近付く
・サウジが協調減産準備と伝わる
ニューヨーク原油先物相場が日本時間23日午前の時間外取引で、通常取引の終値を上回る水準で推移している。産油国の追加減産観測などが下値を支えている。一方、貯蔵スペース不足に対する懸念で上値を積極的に買う動きもみられない。米エネルギー情報局(EIA)によると、米国の原油在庫は13週連続で増加した。
WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の期近6月限は同午前10時54分現在、通常取引終値を0.48ドル上回る1バレル=14.26ドルで取引されている。
これより前、22日の通常取引で一時、前日比39.8%高の16.18ドルまで上昇した。終値は同2.21ドル(19.1%)高の13.78ドル。
EIAが発表した週間石油在庫統計によると、17日時点の原油在庫は1500万バレル増の5億1860万バレル。2017年に付けた過去最高の5億3500万バレルをわずかに3%下回る。
10日までの週は1920万バレル増となり、過去最大の増加幅を記録した。最新統計での増加幅はこれを下回るものの、増加傾向に歯止めが掛かっていないことを示している。
WTI原油の受け渡し場所である米オクラホマ州クッシングの原油貯蔵施設の在庫は17日時点で5970万バレル。前週比で480万バレル増加した。
EIAによると、実際に使用が可能なクッシングの原油貯蔵能力は昨年9月末現在で7600万バレル。余力はあと約1600万バレル余りだが、このうちの大半が予約済みと伝えられている。
協調減産拡大か
一部メディアは22日、サウジアラビアが一段の協調減産に向けて準備していると伝えた。
石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟の産油国で成るOPECプラスは13日、5月と6月に日量970万バレルの減産を実施することで合意している。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動の低迷で消失する需要は同2000万~3000万バレルと推定されており、このままでは需給が大きく緩んだ状態が続く可能性が高い。
20日にはトランプ米大統領が、米政府による戦略石油備蓄の最大7500万バレル積み増し計画を明らかにしており、さらに供給過剰を是正するため、サウジアラビアからの原油輸入の停止を検討すると述べている。
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