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WTI原油、高値から下げる サウジとロシアの減産に懐疑的な見方

・プーチン氏、サウジ皇太子と話していないとロ高官
・通常取引で一時、前日比35%高

Source: Bloomberg

ニューヨーク原油先物相場が日本時間3日の時間外取引で、通常取引で付けた高値から水準を引き下げている。トランプ米大統領が2日、サウジアラビアとロシアが近く、原油生産を約1000万バレル削減すると見込んでいるとツイッターに投稿したことをきっかけに相場は急伸したが、一部で懐疑的な見方が広がっている。

2日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)でWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)期近の5月限は前日比5.01ドル(24.7%)高の1バレル=25.32ドルで引けた。一時、27.39ドルと前日終値から35%上昇した。

日本時間の3日午前11時32分現在、通常取引終値を1.03ドル下回る24.29ドルで推移している。

トランプ大統領は、サウジのムハンマド皇太子と会談したとツイッターに投稿。皇太子がロシアのプーチン大統領と話したとし、両国が約1000万バレル、最大で1500万バレルを削減すると見込んでいると述べた。

しかし、ロシア大統領府のペスコフ報道官はこの投稿を受けて、プーチン大統領はサウジ皇太子と話しておらず、サウジとの間で減産合意していないと述べた。報道官はさらに、4月2日と3日に高官レベルの会談は予定されていないと語った。

また、メディアの多くが減産の量を日量ベースと伝えているが、トランプ氏は数値のみ述べており、日量とは言っていない。多くが捉えるように、これが日量1000万バレルであれば、減産規模は40%を超えることになる。

ただ、実際のところ、減産があったとしても大統領が示唆した水準をはるかに下回る見通しだ。

サウジアラビアは他の産油国が同調する場合に限り、減産を行う意向。その場合は4月以降の産油量を日量900万バレルとし、当初の予定より同300万バレル絞ると伝えられている。

ロシアはこれまでのところ、減産の意向を示していない。仮に日量50万バレルの減産に合意したとしても、両国の減産は計同350万バレルにとどまる。同50万バレルは、減産協議が決裂した3月6日の石油輸出国機構(OPEC)プラスにおいてOPEC非加盟国に求められた追加の減産水準。

需要見通し

国際エネルギー機関(IEA)のビロル事務局長は3月26日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済活動の縮小で、世界的な原油需要が最大で日量2000万バレル相当減少する可能性があるとの見方を示した。

トランプ大統領が示した最大水準である「日量」1500万バレルの削減がたとえあった場合でも、消失する需要に削減幅が追いつかない可能性が高い。


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